上越国境 堂山、白砂山、冲ノ西沢ノ頭、赤土居山、佐武流山 1997年4月26〜28日








 佐武流山は確か200名山に入っていたように思うが登山道はなく(今はあるけど)、藪漕ぎの山なので登る人は限られていた。藪をかき分けて無雪期に登る超人もいたが、一般には残雪を利用して登られる山だ。ここ数年は日光近辺で残雪の藪山を経験し、一通りの経験もしたのでいよいよ佐武流山に挑戦することにした。大型連休から野反湖までの除雪が終わるのでタイミングはそこに設定し、余裕を持って2泊の荷物を準備した。1泊で往復できる自信もあったのだが、夏道よりも何があるか分からないので余裕を持った方がいい。

 仕事が終わってから東京を出発して実家で車を調達して野反湖目指して飛ばすも、日付が変わってから湖畔に到着、もう少しで登山口の駐車場だが手前の駐車場の方が無人で静かだろうと仮眠し、少し明るくなってから移動する。この年は例年よりも残雪が少なく、駐車場の雪もかなり少なかったがトイレの中は未だ雪に埋もれていました(^_^;)。時を同じくして佐武流山に入るJH1QZW、JI1TLLの車を見つけて早速挨拶。あちらは私と違って二泊の行程で、今日は堂岩山までしか行かないのでのんびり出発とのことだった。

 天気はいいのですが風が強く猛烈に寒い! ほとんど最初から雪道出現で、夏道が良くわからないので尾根筋をほとんど正直に登っていく。さすが早朝は雪が締まって歩行スピードが稼げた。まだこの当時の私は危険な藪山や残雪の山は登っていない頃で、この位の山だったらワカンに軽アイゼン、ピッケル無しで入っていた。今考えると無謀だ〜(^_^;)

 堂岩山から白砂山の稜線は強風のためかほとんど夏道が出ていて雪はなかった。ここを通過したときは猛烈な強風でフラフラしながら歩きました。雪庇の根元を歩きながら白砂山山頂。さすがにここは巨大雪庇に覆われて地面は数m下だろう。数年前に登ったときにはガスって何も見えなかったがが今回は快晴で360度の大展望!! 雪で地面は高くなっているし楽しめた。ここまでは夏道があるので何の心配もなく歩けるが、(もっとも、雪に埋もれて道の有無などわかんないけど)、ここから先は道はなく、いよいよ核心部に突入する。

 あの猛烈な根曲竹は雪の下に隠れて姿は見えず、楽々と長野/新潟県境の尾根を北上し、大きく下って沖の西沢の頭を越えて赤樋山へ。結構広い尾根で恐怖感は無かったように記憶している。それに予想外にトレールがあって連休にあわせて何人も入っているようで、ルートファインディングの心配もなく悠々と歩けたのには驚いた。これぞ200名山効果だろうか。当初は佐武流山まで行って幕営、一晩無線をやろうかと考えたが体力の限界で赤樋山に変更、その代わりに1日目で佐武流山を往復することにし、幕営装備をデポしてアタック装備で佐武流山を目指した。途中小規模なナイフリッジがあったが慎重に越え、その他には危険を感じる場所はなかった。佐武流山山頂は全面が雪に覆われ(深さは数m)、シラビソが点在しており、GWVの山頂標識が雪面上に顔を出していた。登頂の日付は真夏! よくぞこんな藪山に8月に登ったもんだ! 当時の大学ワンゲルはかなり強烈な活動をしていたらしい。2時間弱滞在して赤樋山に戻り、テントの中でくつろいだ。

 赤樋山で1晩過ごして白砂山に引き返し、ここでJI1TLL/JH1QZWの2人と交差、それまで無線でお互いに連絡をとっていて、あっちがテントにフィルムを忘れてきたのを知っていて、私の余った24枚のフィルムを手渡した。それから彼らは佐武流山に向かい、私は予定外で追加した上ノ間山に向かった。




 上ノ間山まではどころどころ雪庇が崩壊した不安定な雪の上で、場所によっては笹が出てしまっている。雪庇崩壊に気を付けながらアップダウンを歩きようやく山頂。こちらの山頂は南半分は雪でベッタリ覆われていたが北半分は雪がきれいに消えて三角点も頭を出している。ここでも6mを運用したが、ピコ6単体にDPの貧弱にも関わらず予想外のドパイル。標高は2000mで関東平野は直接見通せる範囲で下界まで59で届いたこと、それと南魚沼郡はレアーなのが原因か。

 白砂山に戻ってピークを越えて堂岩山まで下り、時間があるのでこれまたオプションの、お隣の八十三山に向かうことにした。たっぷりの残雪で難なく山頂に到着、設営中に壊れてしまったアンテナを騙し騙し使って知り合いと交信した。

 この日はJI1TLL/JH1QZWのテントの隣に私のテントを設営して宿泊。翌朝、野反湖に下り始めた。彼らは山スキーを使っての入山で私は歩き、当然ながら私の方が下山の時間はかかるとみて少し早めに出たのだが、結果的には歩きの方が速くて私の方が1時間も早く到着してしまった。尾根を直滑降したり、ワカンを滑らせてのグリセード(^_^;)とかの技を駆使して所要時間は夏道の半分近い快速だったし、少ない雪+多い樹林でスキーを有効に使える場所が少なかったのが原因らしい。

 この日はお昼から雨が落ちてきたが、行動中は薄日がさすくらいだった。ジャストのタイミングで車に乗って出発してすぐに雨が落ちてきた。十日町に向かうJH1QZWと分かれて私とTLLは温泉に入ってから渋川で飯を喰い、TLLを渋川駅で落として実家に戻った。


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