中央アルプス南部 越百山、南越百山、仙涯嶺、南駒ヶ岳、赤椰岳、田切岳 1999年7月24〜25日


 最初にお詫び。この記録は登った直後ではなく2005年3月に当時の写真を元に記憶を辿って書いてます。印象が強烈な場所は間違っていないと思いますが。他の記述は正確かどうか自信なし。といっても、この記事で紹介したいのは田切岳のみで、そこについての記憶だけは保証できます。他はネットで捜せばたくさん出てくると思います。

 


 中央アルプスは山登りを本格的に始めて数年後にロープウェイを利用して木曽駒から空木まで縦走したが、それ以南は未踏のままである。1999年の夏は手始めに南越百山から南駒ヶ岳までをやってみることにした。ここを選んだ理由で一番大きいのはレンタカーの有効利用である。今でこそマイカーを持つ身になったので登山の足に不便しなくなったが、当時はマイカーを所有していなくて電車バス利用か知り合いに同乗のどちらかだった。しかし、近場で電車、バスで日帰りできる山はほとんど登り尽くしてしまい、1泊以上の山しか行けない状況に近づきつつあった。車ならば前夜に移動、早朝から登山、下山時間の制限もないので日帰り範囲は大幅に広がるのだが、公共交通機関利用では時間制限が厳しいので行動範囲は狭かった。そこで1999年6月からレンタカー利用を開始したわけだが、どうせ車を使うなら電車バスで行きにくく、車を使うメリットが大きい所を考えるわけで、中ア裏側から登る今回のコースはうってつけであった。今なら超早朝出発で日帰りで登るだろうが、当時はまだ経験不足で体力限界がどのあたりにあるのか分からなかったので、無難に摺鉢窪避難小屋で1泊を考えた。

 

ゲート。ここから歩く

 そろそろ運転に慣れてきたマツダのデミオを駆って大桑村の伊奈川ダムのゲート前駐車場に到着、梅雨明けしたか覚えていないが駐車場にはさほど車がなかったように記憶している(混雑していた記憶はない)。酒を飲んで仮眠し、明るくなってから動き出す。ゲート脇を通って林道を歩き、越百山登山口で登山道に入る。さすが山小屋があるルートなので藪山とは比較にならないいい道が続く。越百小屋は比較的早い時間に通過、まだ休憩には早いので越百山を目指した。

たぶん、越百山から見た越百小屋

越百山山頂

越百山から見た仙涯嶺、南駒ヶ岳 越百山から見た南越百山

 

 いつしか森林限界を超え越百山山頂。今日は西風が強くて体感温度は低いが天気がまあまあよく、山頂からの眺めが素晴らしい。北側にはこれから向かう南駒ヶ岳が大きく立ちはだかり、それ以北のピーク群は邪魔されて見えない。南側は南越百山が近く、遠くにうねる山はどれがどれなのかよく分からない。それらの山は南アルプスで言えば深南部に相当するマイナーピーク群であろう。

 

南越百山山頂

 無線をやってから南越百山に向かう。そこまでは登山道は心配なく、訪れる人もそこそこ多そうだ。伊那側のシオジ平自然園から上がってくる道は思ったよりも薄かった記憶がある。南越百山も森林限界を超え見晴らしがいい。

仙涯嶺山頂

仙涯嶺から見た

南駒(左)、赤椰岳(中央)、田切岳(右)

仙涯嶺手前から見た越百山、南越百山

 

 逆戻りして越百山を越え、仙涯嶺に向かう。なだらかな尾根で稜線漫歩だが、風があって寒いくらいだ。最後に花崗岩を登ると山頂。狭くて人がいると無線は迷惑なので、北側に下った平地で運用した。

もうすぐ南駒ヶ岳 南駒ヶ岳山頂 南駒ヶ岳から見た摺鉢窪避難小屋

 

 次は今回の最高峰である南駒ヶ岳。花崗岩が点在する気持ちいい稜線を上り詰めると山頂。地質は空木と同様だからミニ空木岳の様相だ。花崗岩とそれが風化した砂。東のカールのような窪みには避難小屋の屋根がはっきりと見えた。ここでも無線運用。

 

赤椰岳山頂 赤椰岳から見た田切岳

 赤椰岳はすぐ隣で楽々到着、ここで初めて人に会ったような? まだ山は駆け出しの若い人で、これから向かう田切岳は知らなかった。

鞍部から見た田切岳。ガレに沿って登る(登りやすいところを適当に)。廃道有 田切岳山頂

 さあ、今回のルートで唯一エアリアマップに道の記載がない田切岳に向かう。赤椰岳から東の尾根を下ろうとしたら踏跡皆無でハイマツに覆われていた。最初はまだマシだがすぐに立ったハイマツと化し、下りだから強引に行けたが登りではとんでもない苦労だろう。少なくとも赤椰岳から田切岳に向かう人は皆無のようだ。鞍部が近づくと灌木に変わって歩きやすくなり、右から踏跡(正確には廃道)が合流したではないか! どうも避難小屋からルートがあったらしいが、今では歩かれなくなり、整備もされずに放置され荒れ放題らしい。でも道の形跡は充分に判別でき、完全な藪よりずっと歩きやすい。今は真夏なので草木が生い茂っているが、秋になって草が枯れればずっとルートがはっきりすると思う。

 鞍部から登りはじめても廃道が続くが、1カ所だけガレを通過、というよりガレに沿って登る部分があり、ちょっとだけ危なっかしいので注意が必要だ。そこを登り切ると森林限界になり、廃道とは思えないほどはっきりと道が残っていて山頂に導いてくれる。意外にもケルンがあり、いつ頃までまともなルートだったのかは知らないが往年の面影が残っている。ここは武内さんしか登っていない「武内級」であるが、赤椰岳から近いこともあって意外にあっさりとゲットできた。

 帰りは廃道を追って避難小屋まで下ったが、鞍部から先の樹林帯はルートがはっきりせず右往左往しながら下った。灌木の藪というより草の藪だったので、枯れている時期なら当時のルートは気にせずに歩きやすい所を選べばいいだろう。樹木が切れて開けた場所になるとルートが分からなくなることが多い。

 中央アルプスで水無し無人の避難小屋に泊まるのは私くらいかと思ったら、当時のメモを見ると単独行ばかり4人もいたらしい。私も含めて似たもの同士のへそ曲がり連中だ(^_^;)


 翌日は天候が悪化して朝からガスと小雨。西風も強く、本当なら南駒ヶ岳で長時間遊んでから帰ろうと思ったが、とてもそんな気分にならずちょっとだけ無線をやってから下山開始、エアリアマップに記載されている、南駒から直接下れるコースだ。今までより1段グレードが落ちて濡れたハイマツが体に触れて容赦なく濡らしてくれるが、目印等もあってちゃんと今でも使われている道だった。比較対象が田切岳ではお粗末すぎるか? 標高が下がって樹林帯に入っても迷いやすかった記憶はないので、普通に歩いていても間違うような道ではないと思う。林道に出た後の記憶も無し。メモによると下に降りてもにわか雨で、早めに下山してよかったと書いてあった。やっぱ梅雨明け前だったのだろうか?


 

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