富士山寄生火山 宝永山、腰切塚、片蓋山、赤塚 2002年9月29日

 

 富士山寄生火山である宝永山は有名な山で、標高も2500mを越えて堂々のピークである。今まで登ったことがなかったが、後藤さんとの合同移動に合わせて登ってみることにした。後藤さんが登るにしてもちょっと軽い気もするが、標高が高いのでいいことにしよう。もちろん、登山口は富士宮口新五合目である。

 もう9月も終わりともなれば富士登山シーズンはとっくに終わっていて、広い駐車場も閑散としているが、ちらほらと止まっている車が見られる。まさか富士山に登っているのだろうか? 中にはパラボラアンテナを車の屋根の上にセッティングしたアマチュア無線家も来ており、どこか遠くと交信するようだ。そしてこの中にまさか知り合いがいたとは思いもしなかった。

 ここまで来れば大した登りではないが、できるだけ登山口に近い駐車スペースに車を置く。火山礫でザラザラの登山道を登り、最初の小屋の前で富士山頂に向かう道から外れて東に向かった。登るのではなく水平移動で、噴火口跡と思われる場所から先で本格的な登りが始まる。ザレ場の登りで足下が悪く、1歩登ってはずり落ちる有様で、まるで新雪のラッセルだ。疲れることこの上ない。後ろの後藤さんが徐々に遅れだすのもしかたないだろう。

 標高を上げて火口壁に出ると楽になったが、今度は烈風地獄! 駐車場で風強いなぁと思ったが、ここに来るととんでもない強風で、耐風姿勢を取らないと押し流されそうだ。おそらく富士山頂は身動きできないような強風だろうな。よろめきながら宝永山山頂に達したが、もろに風が吹き付けてとても休憩できる雰囲気ではなく、西風を避けて少し下った所に陣取った。樹木がないので多少標高を下げても視界が遮られることはなく、眼下には御殿場周辺の市街地や遠く相模湾らしき光る海面が見えていた。

 後藤さんが到着して無線を始める準備をしたが、この風では大きなアンテナは無理でヘンテナを立てたが、それでも強風でバラバラになったくらいだった。

 

 下山して風が弱まりやっと安心。本日のメインイベントは終わったが、まだおまけが付いてくる。この近辺の寄生火山巡りだ。五合目周辺には無いが表富士周遊道路まで下ると静岡側にはいくつもピークがあるので、手始めに道路に近い山に登ってみようと思う。まずは道路脇の腰切塚を目指す。ちょうど道路の反対側に駐車余地があり、腰切塚の方向には車止めされた林道があったので林道を歩いてみることに。しかし、林道は上に行かないで水平に東に進路を変えてしまったので、適当に斜面を登り始めた。踏跡はないが樹林帯で歩きやすく、順調に標高を上げると竹藪になり鬱陶しくなってきた。我慢して登り続けると尾根らしき場所に飛び出すと、何と立派な遊歩道があるではないか。そして僅かに歩いたら遊具のある腰切塚山頂に到着した。わざわざ道がないところを登ってしまったが、本来はいい道があったのだ。無線を終えて道を東に辿ると建物と駐車場があり(だったような記憶が・・・・)、ここが遊歩道入口だった。

 

 次は片蓋山だ。同じ名前の寄生火山が富士山を挟んで反対側の山梨県側にもあり、そこには後日登ることになるが、両者とも道路脇でアプローチはいい山だ。静岡の片蓋山は日本ランドに下る道の分岐よりちょっと東側にある。車道から適当に歩いて登ろうと思ったが、現場に行くと林道入口があり、車止めがあるが脇から車1台が通過できる隙間があったので入ってみると、片蓋山にある電波塔のメンテ用道路らしく、うまい具合に東に巻きながら山頂に近づいていく。途中で上に向かう踏跡があったので後藤さんは車で待機してもらい、私だけ無線機を持って上がっていった。かなりのっぺらぼうの山頂で、この当時はまだハンディーGPSを持っていなかったため、適当な場所で運用して同じ道を下った。まあ、顕著に高い場所がないので、登ってしまえばどこでも山頂でいいだろう。

 最後は赤塚。道ばたの小さな山で簡単に登れそうだった。自衛隊演習地に入る道が分岐する場所から取り付くことにするが、この道の入口は段差が高くて一般車は入ることができず駐車スペースとして使うことができなかったので、少し下ったところで後藤さんに待ってもらうことにした。斜面に取り付くと藪のない樹林で、踏跡はないが高いところ目指して適当に登っていった。山頂も落葉広葉樹の疎林であり明るかった。今までの山と同様山頂標識もなくひっそりとしていた。

 今回はこれで終わりにしたが、富士山寄生火山はまだまだあるので、何度かに分けて全部登れたらと思う。ネットを調べても富士山寄生火山にこだわって登った記録は見あたらないので(宝永山と大室山くらいは出てくるが)、もし全部登り終えたら貴重な記録になるかも知れない。武内談によると浅黄塚だかどこかが強烈な笹藪だったそうで、一筋縄ではいきそうもない。

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