北ア南部 アカンダナ山、白谷山 2004年4月10日

 

 

 

 2000m以上の山を登り尽くす中でもっとも困難なのが道が無い山の攻略である。単純に道がないだけで藪がなければ割と簡単に登れることが多いが、藪があるとそうは問屋が卸さない。昨年(2003年)から全2000m峰完登を目指して道が無い山を集中的に登ってきたが、思い立ったのが夏であり、当然ながらくそ暑い中で藪漕ぎはやる気が起こらないので強烈な藪山はほとんど登れなかった。

 昨年の経験より、南アルプスはシラビソ樹林がかなりの標高まで発達し、道が無い山でもあまりひどい藪がないことがわかった。しかし北アルプスになると話が違う。積雪量が多いので標高が高いところは木が矮小になって恐ろしい藪が出てくる。また、笹は雪が多いところに生えていることが多く、北アルプスの道無き山は南アルプスのように簡単にはいかないだろう。ただし、標高が高くなるとすぐ森林限界を超えてしまうので、北アの高い山は道が無くても簡単に登れるわけだ。しかし、標高が低いとそうはいかず、強烈な藪の応酬を受けることになり、手っ取り早く登れる手段である残雪で藪が埋もれた時期に登ることになる。

 ただし、残雪期の山は別の意味で難しい。相手が藪ではなく雪だが、藪は滑落したときに人間を絡め取るので藪山で滑落というのはあまり考えられないが、雪山の場合は場所によっては足が滑ると停止できない。急斜面で立木が無い場所がそうである。木があるとそれに掴まりながら登れるし、木にぶつかって止まることもできる(滑落距離が長くスピードが速いとかえって危険だが)。しかし、笹の斜面だと積雪時は全部雪原で止める手段はない。ピッケルを雪に突き刺して停止する技術があるが、それなりに訓練しないと実際に滑落したときに使えないだろう。私は滑落停止できる自信はゼロである(自信を持って書くな!) だから、とにかく足を滑らせないように注意して登ることだけ考えるようにしている。

 滑落の危険がある場所は地形図で傾斜がそれなりのところだが、だいたいの山はそれくらいの傾斜があって当然なので、どこに行っても滑落の可能性が無いとはいえない。これは慣れない人間にとってはとても強いプレッシャーで、ほとんど登られないマイナーな山に挑戦できる楽しみと滑落の不安が半々である。そんなわけで私も残雪期の山はいつも不安なのである。できればやりたくないが、残雪期でないと登るのが難しい山はどうしようもない。

 北アのマイナーな山はあまり登っていないのでどこから登り初めてもいいのだが、まずは登りやすいところからやった方がよかろう。そこで浮かんだのが今回の山である。安房峠の北側にはアカンダナ山、白谷山という登山道のない2000m峰がある。ここなら安房峠近くなので車でのアプローチは良く、日帰りできそうだ。

 昨年は安房峠を挟んで反対側の安房山へ登り、意外にもまともな道があって、さらに驚いたことに山頂南には大きな建物と高い塔が設置されていた。しかし、アカンダナ山への斜面は一面の笹の海で、雨で濡れた中を漕ぐ元気もなく諦めた経緯がある。やはり残雪期に登るのが常套手段だろう。インターネットでも残雪期の山スキー記事がいくつかヒットした。

 コースは平湯温泉から安房平経由が数件だが、釜トンネル側の方が標高が150mほど高く楽ができるので、旧国道入口付近に駐車してアカンダナ山東隣の2119mピークから北東に延びる緩やかな尾根を登ることにした。そのままピークに登ると無駄な労力になるので南を巻いてアカンダナ山との鞍部に回り込んで登り、ついでに白谷山をも往復しようと言う計画だ。おそらくDJFや武内さんが巡ったコースも同様だろう。国道を歩いて安房峠から登ってもいいが、昨年の偵察からするとあの急斜面についた雪の上を歩く自信がないので最初から考えに入れなかった。

 除雪は中ノ湯までなので駐車スペースが問題だ。旧道に入ったすぐが道幅が広くて駐車できるが、路肩まで除雪されているかわからない。だめな場合はトンネルを出てすぐしかないが、あそこは通行量が多いのでうるさくて寝られないだろう。もっと下で寝て登山開始時に移動するか、思い切って登山口を平湯温泉に移すしかないだろう。どうせ日曜日は輝山に登るから平湯に入らないといけないし。

 この日のために残雪期の装備を本格的にそろえようと考えたが、引っ越しやその後の山行で延び延びになってしまい、結局は出発前日に会社帰りに池袋まで出ることになってしまった。タイミングが悪くICIは移転中で金曜日にならないと開店せず、秀山荘に行ってみることにした。残念ながら目的の一つであったプラブーツはなかったが、ピッケルにスノープレート付き12本爪アイゼンを調達した。アイゼンは武内さんからもらった12本爪があるが、なにせ重いのと1本締めで脱着に時間がかかるので新品を調達した。今度のは少し軽いし脱着はかなりやりやすくなっていた。これで使いやすくなるだろう。といいつつも、私が行く範囲の山ではピッケルとアイゼンの出番は僅かでほとんどワカンを履いているだろうが。ゴアの布靴で濡れそうだが、日帰りだから我慢しよう。できれば大型連休までにプラブーツが欲しいところだ。それともオーバーシューズにでもするか。

 ついでに、今回はたぶん午前中くらいでカタが付いて時間が余るだろうと予想し、初めて車にノートパソコン一式を積み込むことにした。下山直後にデジカメとICレコーダのデータを転送し、記憶が薄れないうちに登山記録が書ける。電源は20AHシールドバッテリーで自作のDC-DCコンバータで20Vに持ち上げてPCを直接動かすことで少しでも電源効率を上げてバッテリーの消耗を抑えるようにした。平均すると12V1Aくらい流れているので10時間くらいは使えるはずで遊ぶにはちょうどいい。ゲームとかも入っているが、たぶんデジカメ写真整理と記録文作成で終わってしまうだろう。雨が降ってやることがない場合はゲームをやったりDVD鑑賞とかやるかもしれないが。

 金曜日は軽く腹ごしらえしてシャワーを浴びて食料を2日分調達して出発。平湯にはスーパーがないだろうから食料はあらかじめ準備しておくしかない。あの付近であるのは栃尾手前まで下ったところにA-COOPなので往復できないことはないが、時間がもったいないので買っていった方がいいだろう。生鮮食料品は諦めるか。

 中央道調布ICをPM7時ちょい過ぎに出発、PM9:20松本ICに到着し、走り慣れた(と言っても今年初めてだが)国道158号線をガンガン飛ばし、安房トンネル手前で分岐する旧国道に入るとゲートが閉まっていた。しかしゲートの中に京都ナンバーの車が駐車しており、ゲートを見ると施錠されておらず勝手に入れるようになっていた。といっても除雪情報だと1号カーブまでしかされていないはずで、その先は中ノ湯宿泊客専用だろうし、ゲート近くに駐車し、酒を飲んで寝た。天気は快晴で月明かりが明るかった。気温は釜トンネル付近で3度だから同じだろう。夜中もほとんど冷え込まなかった。

 翌朝は4:30に起床し、食事をとって出発、ゲート付近には他にも車がやってきて出発準備中だがみんな上高地が目的らしい。上高地はまだ除雪されていないのでタクシーでも入れない。写真かな?と思ったが、そのうち1台が私の帰りに帰りの準備をしていたが、スキーの板があった。クロカンスキーらしい。なお釜トンネルは工事を行っていたが幅が広くなるとかあるのかなぁ。

 最初は車道を歩いたが面倒なので最初のヘアピンカーブでショートカットする。雪が消えて藪が出ているかと心配したが、この標高だと落葉樹林で藪はないようだ。雪は8割くらい地面を覆っているので、山の方はちゃんと全面残雪で覆われていそうだ。傾斜はきついが雪が良く締まってアイゼンがなくても滑らないのでそのまま次々にカーブを見送っていく。でも傾斜がきつすぎてやばそうになってきたので水平の車道歩きに戻す。このあたりはまだ除雪していないはずだが、実際は一度除雪して大部分のアスファルトが見えるようにして雪解け促進中らしい。でも部分的に凍っているので夏タイアでは進入は無理だな。

 やがて右側に傾斜が緩い谷が現れたので再びショートカットすることにする。今度は安全確保で新品12本アイゼンをつける。さすが朝の堅い雪にアイゼンが気持ちよく効いてグングン高度を上げていく。するとワカンの跡が出てきた。お、私と同じようにアカンダナ山を目指したのだろうか? 今度は全く除雪されていない国道を横断しなおも高度を上げる。振り向けば前穂から明神岳の荒々しい姿が。いつか登らないとな。危険を感じるほどの急斜面になるが疎らな木を選んで滑ったときの用心に使い、できるだけ傾斜の緩い雪面を上がっていく。ようやく稜線の雪庇が見えてきたので県境尾根だろうか。

 雪庇を巻いて尾根に出て西側を見てびっくり! なんと安房峠が正面に見えるではないか! ということはその右の尾根が県境稜線のはずで、いったい自分がどこを歩いているのか全くわからなくなってしまった。ただ、これで目的の尾根はどこなのかわかったのでそちらに向かうことにする。ボカボカ雪になったのでワカンに履き替え小尾根を下ると国道に出た。小尾根の最後近くで送電鉄塔が出現、その下が急斜面で最短コースが取れず左に迂回しながらだった。あ〜あ、大間抜けなことをして時間と体力を無駄遣いしてしまった。もしかしたら白谷山は無理かなぁと思いつつ再びアイゼンに履き替えて目の前の急斜面にとりついた。これが本来目指していた尾根である。

 さて、間違えたコースであるが下山後はっきりした。私が登った谷は標高1600m地点で車道と交差する谷で、これを登ると国道を突っ切って1911mピークに達する。このまま高いところを目指したら安房山に行ってしまったのだ。ピークから西に下る尾根を伝わって国道に合流、1810m地点のはずだ。これが現場でわからないのだから情けないことである。まじめにGPSで考えればいいのだが、今日みたいに天気がよくて視界がいいと目で見て正しいコースが見えるからそっちに頼ってしまう。まだまだ修行が足りない。

 国道に出た時点で現在地点がはっきりしたのでもう大丈夫。目の前の尾根に登れば2060mピークを越えて2119mピークに至り、西進すればアカンダナ山山頂である。しかし、これだと2119mピークを余分に登らないといけないので無駄があり、2060mピークを南に巻いて県境稜線を超えて西に巻きつつアカンダナ山北東の鞍部を目指すことにした。まずは2060mピークまでがんばろう。藪は完全に雪に埋もれてシラビソを左右に避けながら強引に高度を上げていく。まだこの時間は雪が腐っていないのでアイゼンの効きがいい。斜面は急だがシラビソが密生しているので滑落の恐怖はなく、直線的に登っていく。尾根に乗ると意外に複雑な地形で2重3重山稜の部分もあり、帰りは大丈夫かなと心配になる。ま、尾根を外しても国道に出るか湿地帯に出るかで問題はないけどね。尾根上は潜るようになったのでまたワカンだ。

 2060mピークらしいのが見えてきたところで南に巻いて県境尾根も左に巻き気味に超えるとようやくアカンダナ山がお出ましだ。雪をべっとりまとっており、急斜面を上れるかな? 県境稜線は直上は通らずに岐阜県側を巻く。急斜面だったら巻けないかなと心配していたが、樹林が多くてさほど急でもなかったので安心して巻いて歩けた。うるさい木が無く、やがて低木帯で視界も開け鞍部が見えてきた。さあ、誰かの足跡でもあるかな?

 鞍部付近も低木帯で広い雪面が広がるが足跡はいっさいなかった。尾根が広くてどこを歩けばいいのかわからないので適当に下って最低鞍部を通過、今度は急斜面の登りだ。木が疎らで足を滑らせたら停止できず危険なので、できるだけ木と木をつなぐようなルートをとってピッケルを支えにする。北斜面で雪が堅いのでアイゼンの方がよかったかもしれないがワカンでもがっちりグリップするのでそのまま登り続ける。マジで帰りの下りが怖そう。

 ようやく傾斜が緩むと山頂の一角で、GPSを見ながら西よりに進路をとる。所々穴がぽっかり空いていて笹が見えている。積雪は意外に少なくて1〜2mといったところだろうか。こりゃ大型連休の頃には笹が部分的に出てきてしまうかもしれない。山頂とおぼしき高まりは雪の盛り上がりで、周囲に標識や目印は皆無だった。目印がないのも珍しい。それだけ人が来ない山なのだろう。展望は360度で焼岳が大きい。その左に真っ白な白谷山が見えている。ありゃ上部は木が無いぞ。うわ〜、傾斜がきつかったらどうしよう。穂高に霞沢岳と大きな宿題の六百山。乗鞍はまだ真っ白だからどこでも楽ちんで歩けるだろうな。

 さあ無線だ。ここは立木があるのでDPを張ってワッチするとまずはJG3XTZ/3養父市。今年初めてのQSOだ。先週も聞こえていたが弱くてピコ6では声をかけても無駄な強さだったので声をかけなかった。今度は大丈夫。次はJP2NJ2/3神埼郡御池岳。鈴鹿北部はまだちょっとだけ雪があるとのこと。こっちは北アだからいっぱいあって当然だが鈴鹿でまだあるとは。丹沢はもうほぼ雪は消えてしまったと伝えておいた。QSO中に奥積さんが出てきたがこっちでもMAX53で落ちると聞こえないくらいだから奥積さんではこっちの信号は何かいる程度はわかるが内容が聞き取れるほどのレベルではないとのことだった。明日の輝山はもっと1エリアにロケが悪いから明日も無理かなぁ。ついでに7M3AAU/0阿賀野市が出ていたのでコールしたが無視された(T_T) 圓井さん、まさか1K6使ってないよな?

 アカンダナ山まででかなりの疲労度だが、せっかくここまできて目の前に白谷山が見えているところで諦めるわけにはいかない。常連の吉原さんとQSOできて気分も上々、弱気が失せて白谷山に向けて出発だ。

 心配だった鞍部への下りも、どういうわけだか下りの時の方が気持ちが大きくなって?「これなら滑落は大丈夫じゃん」と思えるようになり、急斜面も一直線で下っていった。このときに腰が引けた姿勢だとかえって滑る可能性があるので、堂々と踵からガンガン歩いた方がいいようである(雪が腐ってなければ)。結局、簡単に鞍部に到着してしまった。

 鞍部から緩く登ってピークを西側から巻いて白谷山南鞍部を目指す。うるさい藪はなく北斜面に入ると背の高い樹林帯で快適に歩ける。しかし、緩やかな鞍部で尾根ははっきりしないので右に左にルートを振りながら鞍部を探す。途中、明らかに熊の足跡と思われるのがあり、同じ方向に向かっているのが気になったので鈴を取り出して鳴らしながら歩いた。もう熊も冬眠から覚めたようだ。

 鞍部はだいぶ東に巻いたところで出てきて雪で埋もれた谷間になっていた。さあ、今度は白谷山への登りだ。しかし、これが予想通りの急斜面で、しかもどこを選んでも木が疎らで滑落したら危険な状態で覚悟を決めて登るしかない。たぶん慣れた人ならこんな傾斜は屁でもないのだろうが、農鳥下降点で間違ったルートをとって急傾斜の雪渓をピッケルなしで何度も渡って以来、雪の急斜面はからっきしだめになってしまったのだ。滑りさえしなければ安全なのは頭でわかっていても体がいうことをきかない。ピッケルを雪面に突き刺して安全を確保しつつできるだけ木の近くを通過したり傾斜が緩いところを選んだりして下を見ないように歩き続けた。やっぱり雪のない丹沢と違って残雪は疲れる。2歩歩いてピッケル刺しての繰り返しでスピードは上がらない。歩幅は意識して狭くした。

 それでもようやく稜線に上がり、今度は雪庇の踏み抜きに注意しながらこれまた急な尾根を登り続ける。今度は熊ではなくカモシカの足跡登場、途中で寝っ転がったようで雪が溶けた場所があった。カモシカは滑落の心配なんかないんだろうなぁ。こんな傾斜じゃ怖がらないだろうなぁ。いいよなぁ。こっちは疲労よりも恐怖心との戦いである。

 いよいよクライマックスで、樹林が切れて巨大雪庇の西側を滑落に注意しながら確実に登っていった。このやせた尾根では転んだらマジで命がない。撤退した方がいいかななんてこれまた弱気が頭をもたげたが、それこそ勇気さえあれば1分で到達する山頂に登らないわけにはいかない。武内さんだって、たぶん DJFだって登っているんだ、ここで踏ん張らずにどうすると自分を叱咤し、とうとう山頂に到着した。

 白谷山はクレバスが口を開けた雪庇が山頂であり、木は全くなく見晴らしを遮る物は何もない。残雪期に登った者しか見られない光景だろう。この光景を目にしたのは何人ぐらいだろうか。正面は水蒸気をあげる焼岳で、雪のついた穂高も迫力がある。きりりと締まった笠ケ岳の形が美しい。その右には北ア核心部の真っ白な山々が連なっていた。たぶん双六岳より手前が見えていたのだと思う。槍は穂高がじゃまで見えない。やっぱ残雪期はこれだよなぁ。樹林に覆われていても雪庇でそれらが埋まって見晴らしがいいのだ。

 6mだが立木がないのでANTが張れない。これがたまに困るんだよな。しょうがないので430ハンディーホイップを延ばして先端にDP片側をくくりつけ、もう片側は雪面においた。完全な地上高0mHよりは多少はいいだろう。しかしこんなアンテナではほとんど聞こえず、唯一吉原さんの信号だけが強かったので他の局とのQSOが終わったところで声をかけてQSOしてもらった。助かったぁ。白谷山もアカンダナ山も2度と6mの電波が出ることはないでしょう。

 これで目標の山頂ハンティングは終了、下山にかかる。恐怖の急斜面の下りは後ろ向きの下りも織り交ぜてどうにかクリアできた。まったく、恐ろしい緊張感である。こんなのが連続すると気力が持たない。たぶんヒマラヤクラスだとそんな精神状態に耐えられる気力が必要なのだろうな。もちろん技術も必要だけど。

 本来の予定では鞍部から2119mピークを越えて緩やかな尾根を下る予定だったが、疲れていたのでこのまま東へ延びる谷を下ってしまうことにした。どうせどこにも道はないし残雪でどこでも好き勝手に歩けるのだから谷だろうが尾根だろうが関係ない。木が生えているだろうから雪崩の心配もないだろうし、小さな谷なので水もないだろう。地図を見ると傾斜は白谷山南斜面と同程度のようだが、木がいっぱい生えていれば滑落の危険は少ないので安心して下れる。標高が下がるほど木はいっぱい生えてるのが通常なので大丈夫だろう。

 そう決めるとそのまま東に向かう。また熊の足跡が出てきたが、やがて左の方へ消えていった。こちらは東に下り続ければどこかで広い谷に必ず出るので適当に歩いていいので気が楽だ。歩きやすいところを木に捕まりながらどんどん下って地形図からも読みとれる広い谷に出た。これでほぼ関門はクリアできたと考えていいだろう。

 そのまま水平の谷を歩くと1622mの湿地に出る。すでに一部の雪が消えて草付きが出ているのは驚いた。やはり雪が少ないらしい。その先の谷が狭まるところからワカンの跡が合流、最後はフェンスを乗り越えて車道に出た。やれやれ。

 このまま車道を歩くのは面倒なので所々でショートカットしたのはいいが、下ったところがのり面で高さ数mで降りられないなんてことに遭遇してからは素直に車道を歩いた。これが歩きには非効率な道で、愚痴を言いながらやっと車に戻ることができた。なお、除雪は中ノ湯までで、ここまで車で来ても大丈夫だったかもしれない。ネットの情報よりも除雪が早まっているようだった。


 これで今年の大きな課題だった武内級の2山ができた。おそらく山ランでも今後登る人間がでるかどうかわからない山だろう。久々の本格的な残雪の藪山だったかどうにか無事に降りられて本当によかった。このペースで残雪があるうちに藪山2000m峰はできるだけ多く登っておかないといけない。2000m峰完全制覇の野望達成の鍵はこのような藪山をどう攻略するかで、一番楽な方法は残雪期に登ることなので経験を積んで技術を磨かないと。少なくとも死なないようにはしたいぞ。

5:14ゲート-5:35車道歩きに切替-5:58道を外れて登る-6:00ワカンの跡-6:31稜線に出る-6:55ワカンに履き替える-7:13国道-7:20アイゼンに履き替え出発-7:45ワカンに履き替える-7:50出発-8:23県境稜線を超える-8:40アカンダナ山鞍部-8:53アカンダナ山山頂着-9:27アカンダナ山山頂発-9:33アカンダナ山北東鞍部-9:55白谷山南鞍部-10:17県境尾根-10:30白谷山山頂着-11:07白谷山山頂発-11:23白谷山南鞍部(休憩)-11:26白谷山南鞍発-11:45平坦な谷-11:55湿地-12:07ワカンの跡-12:10車道-12:12 10号カーブ-12:26中ノ湯-12:50ゲート


 帰りは安房トンネルを出て右折し、坂を下ってすぐの平湯温泉街手前左の「ひらゆの森」で汗を洗い流した。ここは日帰り湯もやっていて\500と標準的なお値段で入れる。平湯で温泉に入るならここがお勧めである。

 

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