東破風

 


 奥秩父破不山は木賊山と雁坂嶺の間に位置し、台形をしていて西側の角が最高峰の西破不山、もう片方の角が東破風である。ずいぶん前に甲武信岳から雁坂峠まで縦走したときに通過しているが、地形図にもコンサイスにも記載がなかったため無線はやっておらず、日本山名事典に記載されたため再び出かけることにした。前日は八ヶ岳のちょっとした山だったので時間も余って体力も殆ど使わないで終わってしまったので問題なかろう。移動距離も短いし、東京への帰り道だから無駄な距離を走らなくて済む。

 登山コースだが、常識的には戸渡尾根から木賊山経由か雁坂峠から往復かだろう。当初は雁坂峠経由で考えたのだが、少しは近道できそうなルートがあったので最終的にはそちらから登ることにした。そのルートは鶏冠山林道東線で、今のエアリアマップでは道の記載がないかもしれないが、10年前のエアリアマップでは林道終点から笹平避難小屋まで赤点線が描かれており、戸渡尾根のように余分な標高を稼ぐ必要もなく東破風に最も近い場所で縦走路に出ることができる。ただ、現状では道がどうなっているのかわからないし、林道が延々と続いて歩きそのものはつまらないという欠点もある。でも逆に言えば最初は林道歩きなので真っ暗な時間からでも歩けるというメリットはある。

 

西沢渓谷入口村営駐車場

 西沢渓谷入口の村営駐車場の一番奥に車をつっこみ酒を飲んで寝た。前夜の天気予報では明日は気圧の谷が東に抜けて天候が回復すると言っていたはずが、夜中も雨が断続的に降り続いて朝になってあがったが真っ暗で空模様が見えなかったが雰囲気は悪かった。少々重くなるが傘を持っていくことにして朝食を取って出発した。まだ5時でこの時期では真っ暗である。

 林道を歩いてゲートを越え、鶏冠山林道に入る頃には明るくなりライトをしまった。この林道は地図を見て分かるように延々と巻いているので距離が長く、入口の標柱に延長10km強の表示を見てクラクラしてしまった。林道歩きだけで2時間以上かかるだろう。傾斜が緩やかで歩くのは楽だが時間はかかり、いくら歩いても高度が上がらない。道の状態は部分的には水流で溝が掘れて普通車では通過できない場所もあったが全体的には非常にいい道だった。おそらく甲武信小屋の荷揚げに使われているのではないだろうか。雨が降ってきても藪がない広い車道なので傘も使えて結果的には登山道よりもよかったかもしれない。雨が降っている時間の方が長く、時々止む程度でずっと傘を差したままだった。高度が上がるとガスの中に入ってしまい視界もなくなる。大きな立派な橋を4カ所越えてようやく林道終点、心配していた踏み跡にはトラロープのフィックスまで張られており、今でも歩く人がいるようで一安心だ。

 

林道終点 林道終点の踏跡入口

 

 しかし、尾根に登ってすぐに石楠花が張り出した切り開きになり、雨で濡れた葉の間を歩くので傘をしまってゴア上下になった。こんな道が続くとなると失敗だったかとも思ったがすぐ樹林帯になって傘が使えるようになりゴアを脱いで涼しくなった。やや踏み跡は薄い部分もあるが全体的には赤点線クラスで今でも充分使えた。膝くらいの笹が出てくると尾根を左に巻き気味に高度を上げ、広場のような所から先はずいぶんと道が細くなってロングスパッツをつけないと靴下がびしょ濡れになってしまう。鹿道と踏み跡の区別が付かないくらいの踏み跡に成り下がるが目印や全体の雰囲気でルートを追っていく。いよいよ縦走路に合流する手前がほとんど踏み跡が消失して低い笹原になるが目印があるのでそれをたどるとすぐに縦走路に出た。踏み跡が無くなったらピークの東を巻き気味に単純に北上すればいいだけだった。縦走路に飛び出したちょっと下には案内標識があって、今来た方向の案内板は切り取られていたが、昔はここから道があったらしい。今では笹原だけで道の形跡は皆無だ。

 

縦走路との合流点 ほとんど踏跡無し 笹平避難小屋


 目の前が笹平避難小屋で、かなりがっちりした小屋でよさそうなところだった。ここで泊まったのか休憩中なのか黄色いゴアを着た男性が1名いた。昨日は強風と雨で台風が来た様な天気だと言っていたが、昨日の八ヶ岳から見た奥秩父はガスの中だったので、あの北西の強風+ガスだとそんな感じかもしれないな。これから雁坂峠経由で下山するようだった。こっちはまもなく出発から4時間歩きっぱなしになるが、もうすぐ東破風なのでこのまま歩くことにする。

 

西破不山(破不山)山頂 東破風山頂


 ガスって先が見えないがそこはGPSの出番で、残り距離を見ながらグングン高度を上げていくと森林限界っぽくなってきて西破不山に到着、雨は止んでいるがガスって視界なしなので写真だけ撮影して先を急ぐ。GPSによると東破不山まで約1kmと出た。奥積さんに呼んでもらうべく残り300mで歩きながらメールを出す。GPSがちょうどゼロになるところで山頂標識がある東破風山頂到着。

 やっぱりガスで視界が無く、やがて雨が降ってきてゴアを着て傘を差して荷物を守りながらアンテナを張るが、幸いにも本降りになる前に止んでくれた。6mで出ると珍しいことに奥積さんと後藤さんが同時にコール、しかし強さは奥積さんがダントツだった。やっぱ2エレの後藤さんはきついか。

 今日の予定はこれで終了、下山だがあの林道歩きは10kmもあるんじゃ下りでも2時間は固い。歩いていても面白みはないし、ここは雁坂峠経由の周遊ルートがいいだろうと東に向かった。GPSの緯度経度データを入れ間違ったようでまだ600m先にあるはずの雁坂嶺に到着、避難小屋で見かけ、運用中に先行した黄色のゴアの人の他にもう1名、雁坂峠から下山する人が休憩中だった。黄色のゴアの人は山梨100名山を狙っている人のようで標柱前で写真撮影していた。既に80山とのことなので完登も間近だろうか。残りの山によって今年にできるかどうか変わってくるだろうな。山梨100名山で3大難関は笊ケ岳、白根南嶺の笹山、鶏冠山とのことだが、笊は便ヶ島なら楽勝だな。

 

雁坂嶺山頂 雁坂峠 増水した峠沢渡渉点


 ここから雁坂峠まではすぐで、低い笹原の峠はガスの中で視界無し。一度歩いたはずだが当時の記憶は全くなかった。ジグザクに下り樹林帯に入り、峠沢の右岸遙か高いところを巻きながら高度を下げていく。1カ所大きな沢があったが増水しても問題なく渡れた。ところが峠沢を左岸に渡るところは増水で渡渉できず、裸足で渡るしかなさそうだった。既に渡った1名が対岸で出発するところで、若い男女がこれから渡渉するところだった。こちらも裸足になってタオルを出し、浅い場所を選んで渡った。水流は見た目ほど強くはなく、沢の底はごつごつした石ではなく水の深さは膝くらいで問題なく渡れた。でもやっぱ靴を脱いで渡ると時間がかかるので登りでここを選ばなくてよかった様だ。

 その次でも増水した沢があったが、こっちは石づたいに渡れた。反対から登ってきた老夫婦はどう渡るか思案していたが、この先には裸足で渡渉する場所があることも伝えると戻ろうかなぁと話し合っていた。ま、個人の力量にあわせて自己責任で判断するのが山だからなぁ。この先は危険箇所は無く淡々と下っていたら突如として完全舗装の車道に出てビックリ! 以前はなかった道だが亀田林業で整備したらしい。ここを歩いていて雁坂峠付近をピストンするのに最短ルートを発見した。雁坂トンネル有料道路料金所のすぐ手前に広い駐車場があり、山梨側から上がってくると反対車線にあたる道路右側の駐車場に入り、一番奥まで行くとゲートで通行止めにされた道路に続いているが、それが登山道なのである。したがってこの駐車場に車を置いて歩き出せば広瀬から歩くより20分くらい時間節約できる。昔歩いたときはトンネル工事中でそのトンネルを歩いた記憶があるが今は全くルートが違っていた。

 

突如として出てきた林道終点 料金所手前駐車場とつながるゲート(右端)  釣り堀横の雁坂峠登山口

 

 なおも舗装された林道を下り、有料道路につながる取り付け道路の橋をくぐると林道から離れて登山道になり、再び林道になると釣り堀脇から上がってくるゲートで閉ざされた林道だ。すぐに釣り堀に出て車道を歩いて駐車場に戻った。

5:13西沢渓谷入口駐車場-5:35鶏冠山林道東線-6:381つ目の橋-6:462つ目の橋-7:253つ目の橋-7:294つ目の橋-7:32林道終点-8:30縦走路-9:01破不山-9:17東破風着-9:55東破風発-10:28雁坂嶺着-10:38雁坂嶺発-10:53雁坂峠-11:33峠沢渡渉点着-11:39峠沢発-11:43沢-11:58車道-12:24料金所脇-12:35林道から分かれる-12:40釣り堀-12:50西沢渓谷入口駐車場

 

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