養老山地 三方山、養老山、笙ヶ岳 2005年3月19日

 

 

 2005年は杉花粉の当たり年で、私は花粉症であるが例年だとさほど酷い症状は出ずに薬に頼るのはシーズン中でも数日しかないのだが今年は違う。鼻はまだ大したことがないのだが(これはおかしい。毎年鼻づまりが主症状だったのだが・・・)毎日目は痒いやら痛いやらでゴミが入った様な違和感が続いて屋内に入ったら洗眼がかかせない。会社にいるときでも数時間おきに洗眼しないと目薬を差しても効果がないのだ。山登りで杉花粉が多い場所に飛び込むともっと悲惨な目に遭いそうで怖いが、せっかくの3連休だし残雪期が本格的シーズンを迎える前に体力作りをせねばいけないので出かけることにした。その杉花粉が問題で場所に頭を悩ませたが、残雪期にしてはちと早くて雪が柔らかいと思われたし、3日という時間を考えて思い切って鈴鹿に出かけることにした。鈴鹿は東京から約400kmの距離があり土日で行くのは苦しいし、標高は低いものの季節風の影響で積雪が多く未だ雪があるはずで、山の上の方は杉花粉の飛散もまだ始まっていないだろうと考えた。

 なにせ片道400km以上なので会社が終わってから出発すると当日中の到着は無理で、初日は睡眠時間が短くなるから高速道路からできるだけ近い山に登ることにして養老山系を選んだ。ここなら大垣ICから遠くないので一般道で少し走れば登山口に到着できるし、麓は何回か車で走った経験があるので土地勘が無いわけではない。ただ、困ったことに地図がなかった。エアリアマップではギリギリ範囲外だし地形図も持っていないしガイドブックは関西に出張中の知り合いに貸し出し中で無い。しょうがないのでネットで調べ、養老公園から登れると言うことだけ判明したのであとは現地で標識を探すことにした。

 中央道を西に進み、中央道最高地点の小淵沢でさえ道路脇に雪は見あたらずかなり春らしくなってきたようだ。本当なら真っ白な南アルプスや八ヶ岳が見えるはずだが夜なので視界はない。長野道を分けてなおも中央道をばく進、伊那盆地を突っ切って何年かぶりで恵那山トンネルをくぐって岐阜県に入る。前回ここを走ったときは瑞浪付近で眠気に耐えられずパーキングに入ったが今回は順調である。土岐IC近くでは土岐ジャンクションなる聞いたことがない分岐があり「東海環状自動車道」と書かれていた。まだ未開通でユニコーンが並んでいたが、こんなのは私のロードマップにない(ってもう何年も前のだからなぁ)。翌日、ラジオを聞いていたら愛知万博に伴って建設された道路で会場近くを通っているようだ。しかも東名道と豊田東ICでつながっているそうで、地域によってはなかなか使えそうな道路だ。帰りに通過しようと思ったが、ラジオの交通情報を聞いたら物珍しさからか渋滞が発生していたので名神→中央道と通過した。

 名神では一宮JCT先で工事を行っており渋滞していたが、30分ほど前に工事を終えて車が流れ出したときに渋滞にはまったので被害は少なかった。大垣で降りて養老公園を目指すと要所には案内標識があって迷う様なことはない。もっとも、西に行けば養老山地にぶつかるから細かいことは考えなくていいが。養老公園東の信号で右に入り高度を上げ養老の滝の案内で右の分岐に入り細い道をグングン登ると民間の有料駐車場で行き止まりだった。ここから養老山に登れるのか案内標識を見たが滝はあるが山がない。笙ヶ岳への登山道となる林道はあるのだが、そっちは時間と体力の余裕があったときだけ登る予定で、ここからだと養老山は遠くなるからあまり得策ではない。下って元に道に戻り、公園を目指した。ここも駐車場で通行止めで、案内看板を見たが養老の滝はあっても養老山がない。いったいどういうわけだ??? でも、養老山はここから南西にあるので、最悪は尾根を適当に登ればいいだろうと有料駐車場(\300)に車をつっこんで酒を飲んで寝た。

キャンプ場発見!ラッキーと思ったのだが 登山道はなかった

 翌朝6時に起床、7時前に出発する。幸い、杉花粉はあまり多くないようでくしゃみは出ないが念のためマスクをして出かけた。少しでも山の方に近づくために滝谷を渡った右岸の遊歩道に入るとなにやら尾根に上がる遊歩道を発見したのでそれを上がると尾根上に出てキャンプ場に入った。しめた! 普通、キャンプ場にはオリエンテーリングコースがあって登山道があるので、それを登れば養老山に行けるはずである。相変わらず養老山の標識は皆無であるが上を目指して歩き、最後にバンガローが点在するところでキャンプ場が終わり、その先には道がなかった。おいおい、それは困るど。なんで登山道が無いんだ!!! と文句を言っても始まらないのでこのまま尾根を登ることにする。少し笹があるがその先は杉の植林帯!!!で花粉はあっても藪は無いようだ。まさか養老山で登山道以外を歩くことになるとは思ってもみなかった。藪屋冥利につきる。

藪のない照葉樹の尾根 廃道に遭遇 溝の廃道より尾根の方が歩きやすい

 

 林に入ると縦横無尽に鹿道が走り、藪もなく快適に歩けた。まだ時間が早いので花粉は飛んでいないようで調子が良く、マスクを外したら呼吸がずいぶん楽になったのでそのままマスクをせずに歩いた。少し歩くと杉林は終わって照葉樹林に入り、小さな尾根に乗ってグングン高度を上げ始めた。まだ主尾根ではなく枝尾根のようで西ではなく南に向かって高度を上げる。遠くで鹿がピーと鳴いて逃げていく。鹿道があるのだから鹿が多いようだ。

 主尾根らしき尾根に乗っても植生は変わらず、藪のない快適な傾斜をよじ登っていく。目印もゴミもなくこんなところを歩く人はいないようだ。やがて左手から廃道と思われる溝のように掘れた登山道が合流するが、いかにも歩かれていない雰囲気で人の気配がない。昔は地元の人が登ったのだろうが今では忘れ去られた道らしい。帰ってからネットで地形図を見たらこの道は破線で示されていたが、消した方がいいだろう。ま、どのみち藪はないので道が無くても自由に歩ける。

登山道に出る 三方山/笹原峠分岐

 溝と化した廃道は歩きにくいので尾根の歩きやすいところを適当に歩いていると、今度は右手からまともな登山道が尾根に上がってきた場所にぶつかった。ということはキャンプ場よりもっと上流側に登山道があるということだ。もしかしたら帰りに利用するかもしれないが、時間が余れば笙ヶ岳に行ってしまうから通らないかもしれない。結局帰りも通過しなかったので登山口がどこにあるか分からなかった。

 登山道に出ればあとは足を動かすだけで面白みがないなんて言っては罰が当たるか。でもやっぱり道がないところを歩くのは緊張感があって面白い。まだ8時だというのにもう下ってくる男性とすれ違った。やがて登山道は左に曲がりT字路にぶつかり、左は三方山(1分)、右は笹原峠と書いてある標識があった。地図がないので分からないが三方山は飛び出した位置にあるらしい。1分もかからず山頂に飛び出した。

三方山山頂 三方山から見た平野

 三方山山頂はネットで見たように濃尾平野への展望が開け、絶好の休憩ポイントだ。ただ今日は霞がかかって遠くが見えないのが残念だ。でも眼下には3本の大河が大きくうねり、岐阜に来たんだなぁと実感できた。ここから養老山山頂が見えるかどうかはわからない。なんせいくつもある同じくらいの高さのピーク並んだ1つに過ぎないので始めて登った人間では三角点峰を判別するのは無理だろう。やや西風が強く、東に隠れるように陣取って無線を運用、長時間呼びかけてようやく浜松の局とだけ交信できた。

笹原峠 笹原峠から見た小倉山 小倉山山頂
小倉山から見た笙ヶ岳 小倉山から見た養老山三角点峰

 

 さあ、次は養老山だ。大笹峠に向けて緩やかに登り、峠に着くと養老山手前の小倉山方面と笙ヶ岳方面の旧牧場の標識があり左の小倉山へと進む。その名の通り周囲は笹だが完璧な刈り払いで遊歩道だ。昨晩降ったのだろうか、ほんの僅かな雪を踏んでピークを登ると小倉山山頂だった。まるで伊豆半島の山を思わせるような植生でアセビやヒメシャラなどが生えていた。展望は良く北は霊仙山が白く、笙ヶ岳とおぼしきどっしりしたピークも見えた。南の稜線は小ピークが林立し、どれが養老山なのかわからない。

養老山への分岐 養老山山頂

 小倉山を下ると林道が現れてガックリだ。ゲートの有無は知らないが、もしここまで車で入れたら養老山は歩いて5分かなぁ。稜線に沿って林道はあるが、この付近は路面は荒れておらず普通車でも走れそうだった。林道と登山道は接近しているが別ルートになっていて左に下り、登り返したところに右手の分岐があり、養老山の案内があるので登ると僅かで山頂だった。

 尾根との標高差は10mくらいしかないのではなかろうか、とても山頂という雰囲気ではない。これもネットで見た情報通り周囲は低い樹林で視界はなく、1等三角点でなければお客は少ないのは確実だろう。どう見ても小倉山の方が山だよなぁ・・・。雪は北斜面に多少残っているが、ほぼ無雪といって差し支えない。無線を聞くとこの山の麓の住人が山県市に移動していたので声を掛けた。自宅にいると思っていたがよりによってお出かけとは。その代わりにJP2NJS/3東近江市藤原岳移動の吉原さんとつながった。雪は60cmくらいあって福寿草もまだだとの話だった。

 

 話は変わるが、歩き始めてからここまで全く花粉を感じなかった。そして笙ヶ岳でも同様で、どうやら杉の植林帯よりも標高が高いところは杉花粉があまり上がってこないらしい。これは3連休中ずっと同じで山頂では花粉症を忘れることができて快適だった。こりゃ、花粉シーズンは寒いけど山頂で1泊がいいのか? 意外な発見だった。

旧牧場 もみじ峠

 まだ9時と時間が早いので笙ヶ岳まで足を延ばすことに決定し、大笹峠を通過してピーク群を越えて縦走、地図がないので一つ一つのピークがどれくらいアップダウンがあるのか皆目不明だったが、あまり体力を搾り取られるほどではなかった。大きく下った所に旧牧場があり、林道がここまで上がってきているようだ。笙ヶ岳はまだ先でもみじ峠の案内に従って北上を続ける。そのもみじ峠はもっと下ったところで、登山道は自然に左カーブし大洞登山口へと谷沿いに下っていく。峠の標識は奇妙で、養老登山口へと下る方向を指して「養老山山頂」となっていたが、誰かのいたずらか?

大洞登山口へ向かう途中の笙ヶ岳分岐 まともな踏跡だった

 ネットで見た地形図では、笙ヶ岳へは尾根が遠回りにつながっているせいで尾根上をたどらずに、しばらくは大洞谷に沿って下り、途中で谷と分かれて南斜面を巻き気味に登っていくルートであり、最初はどんどん下っていく。帰りに登りになるのが悔しいが尾根が直線的につながっていないのでしょうがない。笙ヶ岳は有名な山なのか知らないので分岐がはっきりしているか心配だったが、行政が立てた標識の一つに手製の標識が付けられていて踏跡入口が分かった。

 大洞谷を渡り、トラバースしながら緩やかに傾斜を登るルートははっきりした道であり、それなりに人が入っていることがわかる。さすが養老山系最高峰だ。やがて水がない谷に入りグングン高度を上げる。途中で山頂まで20分の標識を見た。そういえば大洞谷渡渉点には40分の標識があったから中間点通過か。谷は浅くなってタダの斜面に変わり、ぬかるんで滑りやすい道には先人の新しい足跡が残っており、既に山頂に行った人がいるようである。形跡から判断するとまだ1人、しかも登りだけなので縦走したか(抜けられるような道があるのか知らないが)まだ山頂か。

笙ヶ岳山頂 笙ヶ岳から見た伊吹山

 鞍部で稜線に出て左にちょっと行くと山頂で単独男性の先人がいた。南側は落葉樹林帯、北側は桧の幼木で隙間から伊吹山やずっと北の白い山々が見えるが山名は分からない。ここまで来ると加賀白山も見えているのだろうか? 笙ヶ岳もほとんど雪はなく、日当たりが良かった。男性はすぐに出発したので遠慮無く山頂にアンテナを張って無線を行った。

 本日の山頂はこれでおしまい。もみじ峠から下山だ。笙ヶ岳南斜面トラバースで2組の登山者とすれ違ったので、養老山の人数にはかなわないがそこそこ人気のある山だとわかった。もみじ峠から人気の少ない廃林道を下ることにしたが、まさか養老公園に通じてい地図がないし案内標識が無いからちょっと不安はあるが、いざとなったら斜面を適当に下れば公園に出られるだろう。今日は天気が良くて視界は良好である。

 やがて立派な林道に出たので下るとさらに別の林道と合流、どうやら夜に最初に車で上った滝駐車場手前の車止めされた林道へと通じているらしい。このまま辿ってもいいがうねうねと左右にトラバースしているのを登りで見ているのでショートカットすることにして適当な場所から恐怖の杉林を直線的に下っていく。どうせ林道も杉林の中だから同じだろう。歩いているとくしゃみが出てきて花粉が飛んでいるのが伺えた。しかし、どれほど飛散なのかを知ったのは下山してからだった。

 うまい具合に再び林道に出て、少し様子を見て歩いて下の方に林道が見えたのでまたもショートカット、砂防ダム手前に出たら人がいて驚かせてしまった。もちろん、こっちには道がないと言っておく。ここまで来ると駐車場は近くてちょっと歩いたら見えてきたのでもう一度ショートカットし、ゲートを潜らないで駐車場に降り、養老の滝へと下った。なかなか立派な滝だったので写真を撮影、川沿いに下って無事駐車場に到着した。滝以降は養老山登山道の案内標識がないか気を付けながら歩いたが発見できなかった。

 車に到着してから花粉症が本格化し、目は痛いし鼻水は止まらずに悲惨そのものだった。抗ヒスタミン薬でも全く効果無しで、風呂に入ったら少しは良くなったが屋外に出たらもうダメ、車を運転しながらも酷かった。暑いくらいの陽気なので車の窓を開けたかったがとても恐ろしくてそんなことはできなかった。東京でもここまで酷くないから、養老山の下りでかなり花粉を浴びたらしい。早く花粉シーズンが終わらないかなぁ。これじゃ山のてっぺんはいいけど登山口が地獄だ〜

 

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