富士寄生火山 二ッ山、永山 2005年3月27日

 

ゴルフ場から見た二ッ山、永山

 二ッ山、永山は富士寄生火山の中でも山梨/静岡県境付近にある山で、地形図を見ると近くを林道が走っているので簡単に登れそうに見えるが、おそらく林道はゲートが閉じていて一般人は歩かなくてはいけないと予想した。よって大半は林道を歩き、ちょっとだけ斜面を歩くと山頂の山であろう。登り口は富士ヶ嶺地区別荘地付近で、新しい地図によるとゴルフ場ができたらしく、その案内に従えば林道入口まで行けそうだ。しかし、地図を見る限りは林道はゴルフ場を突っ切って山を登っているようだが、ゴルフをしない人間を通してくれるだろうか?

 大室山から下山し、ゴルフ場の案内に従って片側2車線の立派すぎる道路を上がっていくとゴルフ場私有地に入り、直進はバリケードで進入不能、右折はクラブハウス駐車場への入口でこれまた入れない。どうも地図に出ている道とはルートが異なるような気がするが、とにかくここからはゴルフ場を突っ切らないと予定地点にたどり着けないので登れそうになく、地形図の判立場へと向かう道に入る。細いが舗装された道でゴルフ場を取り巻くように道が付いており、ゴルフ場から離れて墓地へ行く道とゴルフ場沿いに行く道とに分かれるところに車を置いて歩くことにした。地図を見る限りはゴルフ場沿いに歩いていけば十字路があって目的の林道にたどり着くはずである。

駐車したゴルフ場脇の分岐 広場の先の廃林道

 ゴルフ場沿いの道は細く、雪も残っているので車を置いて歩いて入ったのは正解であった。やがて広場に出てかなり荒れた廃林道に入りところで右手に廃林道が分岐していたが、ゴルフ情報面はフェンスで仕切られ十字路ではないのでそのまま直進する。しかし、どこまで行っても十字路は出てこず二ッ山は遠くなる一方なので、適当な斜面に取り付いて登ることにした。やれやれ、計画とは違って最初から林道歩きじゃなくなるとはねぇ。ルートファインディングの練習にはちょうどいいだろう。

廃林道を外れてシラビソ植林帯に入る 鹿の死骸。骨と皮だけになっていた

 取り付いた斜面はシラビソの植林帯で、下草や藪は皆無でどこでも自由に歩けた。鹿が多いようで糞をあちこちで見かけた。適当に上を目指して歩くと鹿避けのフェンスにぶつかり、その先は植林したばかりの幼木らしく草原のように開けて見晴らしがいい場所だった。かなり広い範囲で植林したらしく、フェンスは遠くまで続いており迂回するのが面倒なのでよじ登って越えた。植林地帯は円形になっているらしく、草原を突っ切った先でもフェンスがあってこれも乗り越えた。フェンスの中では鹿の死体を発見、どうやって鹿避けの柵から中に入り込んだのか知らないが、そのまま出られなくなって水が飲めず死んだのだろうか。鹿の死体は初めて見たが、もう骨と皮だけになっていた。雌らしく角はなかった。

まだシラビソ植林帯が続く

廃?林道に出る

一番もっともらしい林道を横切る 林道の上もやっぱりシラビソ植林帯

 その先は再びシラビソの植林帯になり、僅かだが残雪が現れるようになる。風倒木だろうか、まとまって根こそぎ倒れている場所もあり、左右に避けながら高度を上げる。やがて細い林道にぶつかるが、これが地形図記載の林道なのかわからない。部分的には車の通行が可能なように見えるが、大半は雪に覆われて路面状況は不明である。林道は尾根を巻いて水平に延びているので無視して尾根を登り続けることにするが、林道付近は切り開かれて藪が生えているので、薄いところを捜して尾根に乗り移った。その後もシラビソ植林帯が続き、今度は廃林道と思われる溝のような林道を乗り越えるが、傾斜等から見てこれが二ッ山直下を通る地形図記載の林道だろう。これも無視して樹林を登る。するともっとまともな林道を横切ったが、これこそが地形図記載の林道か? いくつも道が出てくるので全くわからない。よいよ傾斜が増して適当にジグザグを切りながら斜面を登ると縦横無尽に鹿道があり、時々利用させてもらう。右手は伐採地のようで開けて明るいが山頂はまっすぐ上なのでそのまま直進、やっと傾斜が緩むと南半分に笹が出現し、二ッ山山頂に到着した。


山頂を北から見る。北側は笹無し 二ッ山山頂。笹です。

 シラビソ樹林で視界はなく、山頂近辺は笹に覆われていた。GPSによればここが山頂に間違いないが標識は一つもなく、こんな山に登る人間はほとんどいないことを物語っていた。そういえば登っている途中で目印は1個も見かけなかったなぁ。大室山のような目立つ山でもないし、注目する人はいないのであろう。そんな山だからこそ登る価値を感じるのだが。どうにか無線で相手を捕まえて、次の永山に向かった。

二ッ山東の伐採工事現場

まだまだシラビソ植林帯

時々倒木帯が出現

ひょっこり林道に出る

 

 永山は二ッ山の南の方にあるので、直線的に進んだ方が距離が短くなるが、稜線の南側は笹藪で面倒なので、笹藪との境界に沿って東に進むことにした。東に下って鞍部にたどり着くと、なんと樹林が伐採されて重機が動いているではないか! 周囲はシラビソの植林帯なので伐採されて当然ではあるが、突如としてこんな風景に出会うと驚く。重機が入っていると言うことはどこかに新しく林道が切り開かれたはずだが(たぶん北側から)、確認しても2度と来ない山だろうから無駄なので、造成地を突っ切って再びシラビソ植林帯に入った。ほぼ一面雪に覆われて時々踏み抜くが積雪は20cm程度か。相変わらず南は笹藪で、時々倒木帯が現れるので大きく北に迂回する。やがてひょっこりと舗装された林道に飛び出した。ここは以前幸助山から下ったところで出た林道であろう。

舗装された林道途中から見た富士山

 さて、永山はこの林道を南に1kmほど歩いた場所で、道ばたにあるようだから接近すれば分かるだろう。林道の雪はほとんど溶けてしまい、最近通った車の轍もあった。それどころが歩いていたら正面から軽ワンボックスが走ってきたので、もしかしたら南側からはフリーパスで入れるのかも知れない。あの車はどう見ても林業関係者とは思えなかったなぁ。林道脇の大規模な伐採地では富士山を見通すことができたが、ここまで来ると巨大だ。たっぷりと雪をまとって迫力がある。

林道脇の永山入口 山頂部の刈り払い 刈り払い終点

 

 やがて右手に小さな盛り上がりが見えてくると永山で、笹に覆われた斜面が見たが、その中に白い筋が見え、なんとしっかりとした刈り払いされた道があった。ラッキー! まさか登山道では無いと思うが作業道だろうか? 残雪が凍った上に新雪が積もり、足を乗せると場所によってはツルっと滑るのでルートを外れて歩いたりする。林道との標高差はほとんど無いのですぐに稜線に乗り、平らな山頂部に到着した。刈り払いの終点には赤い頭の境界標石、その手前に静岡界隈で見かける「無くそう消費税」のシールが貼られた木がある場所。この付近一帯が最高地点だろう。無線は朝霧高原から運用する局がいたので声をかけた。

ここで林道を離れて下り始める

 さて帰りだが、最初は素直に林道を歩こうとしたが、地図を見るととんでもなく遠回りで時間がかかりそうだ。直線的に下れば半分くらいの距離で行けそうだが、行きの経験から考えればおそらく笹藪だろうと思われたが、下りならどうにかなるだろう。林道に降りて僅かに北に歩くと下に向かって伐採地が広がり、ご丁寧に笹まで刈ってある場所があったのでここを下ることにする。二ッ山の南側麓をかすめて直線的に下ると車を置いた場所に到着できるはずである。

 グングン下っていくがまだ笹の刈り払いが続く。刈り払いが終わると雪が多くなり、笹の切り株が埋もれて歩きやすくなるが、まだ笹藪には突っ込まないで若干笹のあるカラマツ植林帯を下っていく。左手の自然林は完全に笹藪で、行く先がああだったらヤダなぁ。しかし延々と唐松林が続いて笹はある程度以上酷なることはなさそうだ。

南北に走る作業道。ここを歩かず正面の鹿道を歩いた 鹿道から作業道に合流
作業道(鹿避け柵の脇) 作業道(かなり下ったところ)

 やがて作業道らしき踏跡が現れるが、どうも南北に走っているようで行き先不明だ。そして目的地の方向も植林が続いているが本格的な笹藪になっており、その中に一筋の鹿道が通っている。鹿道を辿るか、踏跡に入って歩きやすい所を見つけて西に進路変更するか悩んだが、予定通り西に下る鹿道を入ることにする。少し雪が残っているので鹿の足跡、糞が目立つ道を辿ると左から人間の作業道が合流、磁石で方角を確認すると西に一直線に下っている。これはラッキーだ! GPSで車の位置を確認しながら歩いているが、距離は順調に減っていくし、いいルートを探し当てたようだ。二ッ山山頂南の開けた場所は鹿の死骸があった場所と同様の植林帯らしく鹿避けの柵が巡らせてあるが、その南端に沿って作業道が付けられていた。鹿の死骸があった場所も同様に南端をかすめ、廃林道を横切るとカヤトの原に入ってなおも踏跡は続く。ほとんど歩く人はいないようで足下の土は軟らかく霜柱が融けて歩くとグジャグジャの悲惨な道なので、部分的に少し外して歩いた。

 最終的にどこに出るのか興味津々で正直にルートを辿っていくと、右に曲がって廃林道らしくなり、笹藪に入って倒木を迂回すると行きに歩いたゴルフ場周囲の道路に出た。車を置いたところから50mくらいだろうか、右手に鋭角に曲がる廃林道が入口だった。こりゃ、普通じゃわからないなぁ。もしかしたら墓地から踏跡があるかも知れない。

 車に戻って振り返ると真っ白な富士山が大きかった。二ッ山はすぐ近くに見えているがずっと遠かったように感じた。永山はちょこっとした盛り上がりに過ぎず山の雰囲気はないが、あそこから歩いてきたんだなぁと思うと感慨深かった。


9:00車−9:13広場−9:20樹林に入る−9:32廃林道を横切る−9:38鹿避けの柵−9:47廃林道を横切る−9:59廃林道を横切る−10:14二ッ山着−10:43二ッ山発−10:48伐採現場−11:09林道−11:24永山取付−11:27永山着−11:57永山発−12:01林道から外れる−12:18作業道を横切る−12:22作業道に合流−12:35カヤトの原−12:50ゴルフ場脇−12:52車

 

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