後立山 牛首山(八方尾根)、餓鬼山 2005年9月12〜13日

 

 

 この夏は仕事が忙しく、お盆休みも全て出勤したくらいなので山に行くどころの話ではなく、夏山シーズンに山に行くことはできなかった。しかしようやく仕事にもめどが付いて若干の残務があるが、土日にやるべきことを全てやって代休として翌日の月曜日から久しぶりに出かけることにした。なにせ2ヶ月ぶりの山なので、行き先は楽なところでないと死んでしまう可能性が高いし、9月に入ったとはいえまだ気温は高いから藪漕ぎはごめんで涼しいアルプス級の山にしたい。ということで登山道があって藪漕ぎ無し、アルプス級の唐松岳周辺にした。牛首山が山名事典に記載されたので登らなくてはならないし、欅平方面に延びる尾根上にある餓鬼山が残っているので2山稼げる。

 行程としてはいつもの体力なら強行日帰りの標高差だが、さすがに2ヶ月のブランクでは無理なので、テントを背負って大黒銅山跡で幕営することにした。ネットで調べたら鉱山跡近くに沢があって水が得られるらしいので最適だ。初日に餓鬼山を往復してしまい、翌日は唐松山荘まで登り返してから下山だ。暇があれば唐松岳に登ってもいいだろう。

 日曜日に仕事を終えるとなんと雨。夕立のようでもあるが延々と降り続き、車への荷物の積み込みに少し濡れてしまった。車を動かすのは3ヶ月ぶりでバッテリーが心配だったがどうにか動いてくれた。もっと心配だったのは自分の運転の勘だったが、一度体に染みつくと簡単には抜けないようでマニュアル車の運転も問題なかった。運転についてはニペソツ以来の2ヶ月のブランクだったが、この程度ではさび付かないようだ。ただ、タイアの空気圧が気になったがチェックしている時間がなかったのでそのまま出かけた。ちなみに空気圧は燃費に大きな影響を与える。タイアの空気は意外なほど漏れて、2,3ヶ月放っておくと圧力が下がり燃費も下がる。取説等にタイアの適正な空気圧が書いてあるのでみなさんもチェックするといい。空気圧が下がるとタイアの肩の部分だけ摩耗が早まりタイアの寿命を縮めるので要注意だ。私は近くのセルフ給油のガソリンスタンドに無料の空気入れがあるので利用している。今の空気入れは圧力をセットして空気を入れるので圧力不足も過多もない。

 ハイカの残高がほとんどゼロだったので、久しぶりに現金払いで調布から中央道に乗り、雨の中を西に走っていくと甲府を過ぎてからは雨がやんで低い角度では星が見えるようになった。豊科ICで降りていつもの県道を北上、もう走り慣れてしまいロードマップの出番はない。白馬村に入って国道からバイパスのような広い道に入り、猿倉方面を目指して走り、途中で左に上がっていく真新しい広い道が黒菱平への入口である。おそらく長野五輪で建設された物だろう。別荘やペンションが建ち並ぶ地区を通り、黒菱平への案内で右に入ると13日は工事で通行止めとの案内標識があるではないか。13日とは下山予定日である。ただ、通行止めはこの1日だけのようで、最悪は工事が終わるであろう夕方まで車で寝ていればいいか。もしくは昼休みの時間に行ってみて様子をみようか。ここまで来て帰るわけにはいかないのでそのまま上がっていく。どこを工事するのかわからないまま黒菱平到着。車は1台だけ止まっていた。すっかり天気は回復して満天の星空、東の空にはぎょしゃ座と牡牛座が上がっており、もう冬の星座だ。

 この日は郵政民営化問題に端を発した衆議院選挙があり、夜中は開票速報を聞きながら酒を飲み、パッキングをやっていた。私は1週間前の日曜日に期日前投票を行ったので今日の投票には行かなかったが、近年希にみる高投票率だったらしい。ちなみに不在者投票から期日前投票に変わって投票が簡素化され便利になった。投票場所が限られているのが不便だが、1週間前くらいから毎日夜までやっているので会社の帰りに立ち寄ることもできて、実質的には投票期間の延長みたいなものだろう。私が行ったときは待ち行列ができるくらいにぎわっていた。

 選挙速報が始まった段階ではまだ開票結果は出ていなかったが、出口調査によると事前の世論調査通り自民党優勢とのことで、各地で開票結果が続々と上がってくるほどに小泉自民党の勝利が確実となり、私が寝る頃には過半数どころかどこまで自民が勝つんだ?と思わせるくらいになっていた。この文章を書いているのは選挙からまだ数日後のことだが、何年かして読み返したときにこの結果についていったいどんな印象を受けるのだろうか。この選挙結果は今後の日本の行く末に少なからぬ影響を与えるだろうが、それがいい方に転ぶのか悪い方に転ぶのか、たぶん数年しないと分からないだろう。いや、本当の評価は短期間では下せないだろう。後生の歴史家が下す問題だろうか。

 翌朝は遅く出発しても問題ないので目覚ましをかけないで寝たが明るくなり始めた5時に目が覚め、朝飯を食べて6時前に出発した。これ以上はないというほどのすばらしい快晴で、東側には雨飾山、火打、妙高、高妻、乙妻、戸隠、飯縄山、志賀高原、苗場山、浅間山(煙がはっきり見えた)などが広がっていた。標高を上げると後立山も見えるようになるだろう。

登山道の林道から駐車場を見る(背景は白馬岳、小蓮華岳) 上のリフト駅目指して林道を登る

 

 登山道はゲートがあるスキー場整備用の林道で、河原のように石がゴロゴロでしかも急な登りで、人が歩いてもなかなかの手応えでうちの車ではかわいそうであがれないだろう。リフト駅が近づくとコンクリート舗装となるが傾斜が一段ときつくなる。ま、ここは2,3年前に大黒岳を日帰りしたときに歩いているので分かっているが。駅に着くと遊歩道が現れるので歩きが楽になるが傾斜が緩い分相当ジグザグするので効率は悪いとも言える。しかし2ヶ月のブランクを経た足には優しい登だった。でもここまではリフトであがれるのでほとんど歩く人はいないのが実状だろう。

最初のリフト駅から見た白馬三山(左から鑓、杓子、白馬 ) リフト終点駅と八方池山荘

 

リフト終点付近から見た南ア。この日は視界良好で北の端から南の端まで見えた!

 

 リフト終点には八方池山荘があり、ここまで来れば大展望だ。右手には乗鞍岳、小蓮華岳、白馬岳、杓子岳、白馬鑓、ガスに入っているが天狗の頭、不帰ノ険。左手は五龍岳と鹿島槍がでかい。今日は空気の透明度がものすごくいいようで、八ケ岳はもちろん南アは甲斐駒から光岳までずらっと揃い踏みだ。池口岳かと思っていた尖ったピークは帰ってからカシミールで調べたら奥茶臼山でびっくり。残念ながら写真ではコントラストが薄く池口岳は判別できなかったがカシミールのシミュレーションでは見えることになっているのでたぶん肉眼では見えたと思う。

八方尾根は最初から森林限界の世界 八方池と不帰ノ険
五龍岳と双耳峰の鹿島槍 快晴の空の下、丸山ケルン目指して登る

 

 不帰ノ険から天狗ノ頭にかけてガスがかかっているが、この天気ならやがて晴れるだろうと期待しながら先に進む。八方尾根はこれで2度目だが、この標高にして森林限界というのはやはりここくらいではないだろうか。本当に寝ているハイマツまであって不思議な光景であるが、地質かなにかの影響だろうか。ここは季節風が直接当たることもないだろうし。原因は分からないが、森林限界なので視界は非常に良く後立山を左右に見ながら歩けるのでトレッキングには最適だろう。ただし日よけがないので真夏の日中はちょっとなぁ。日傘があるといいだろう。私は麦わら帽子の出で立ちである。

 もうポツポツと下山してくる人とすれ違うが、さすがに秋の平日だけあってほとんど人はいない静かな山であった。八方池では写真撮影が目的らしい男性の姿もあった。その先で八方尾根唯一の樹林帯に入り、今朝八方池山荘を出発したという男性を追い越す。お互いに天気の良さを喜び合った。丸山ケルンでは数名が休んでいたが登る人だろうか下る人だろうか。もう天狗のコルより標高は高く、不帰ノ険は目の前だ。南側の巻き道に入り、淡々と歩くと唐松山荘に到着した。今回はここで幕営するわけではないので用事はなく、ザックをデポしてまずは牛首山に向かった。

八方尾根最後の巻き道に入る 山荘から見た牛首山。簡単に登れた

 

 GPSで調べると山荘のすぐ南のピークが山頂で、登山道は僅かに巻いているだけなので簡単に登ることができた。山頂にはケルンがあり、そこそこ人が来ることがあるようだ。展望は非常に良く、目の前の五龍岳がでかい。でか過ぎて南側の山はほとんど覆い隠されてしまい、右側に出てくるのは水晶岳より西側の山であった。苦しかった赤牛岳、ガスに覆われた薬師岳など懐かしい山ばかりだ。北側は天狗ノ頭から白馬鑓、杓子岳までで、白馬岳はわずかにかかったガスで見ない。西側に目を移せば立山、剣岳だが、ここも少し雲が絡んですっきり見えないのが残念だ。毛勝三山から剣岳の間もよく見えており、懸案の赤ハゲから剣岳が気になる。剣から池平山の稜線はゴツゴツしてただならぬ気配だ。その手前にはほとんど注目されることのない坊主山、仙人山、黒部別山の黒々とした山並み。はたしていつ挑戦できるだろうか。

牛首山から見た唐松岳 牛首山から見た唐松山荘、天狗ノ頭、白馬鑓
牛首山から見た五龍岳(右奥は赤牛岳、水晶岳) 牛首山から見た餓鬼山(手前)、毛勝三山、赤ハゲ、白ハゲ
牛首山から見た赤谷山、赤ハゲ、白ハゲ 牛首山から見た白ハゲ〜剣岳

 

 時間は充分にあるが、まだ餓鬼山が残っている。そちらの方が重要なので片づけてしまおう。餓鬼山はかろうじて唐松岳の尾根の向こうに頭を出しているが、さほど遠くはないようだ。デポしたザックを背負ってテント場の間をジグザグに下っていくと、唐松山荘の人が大声で呼びかけてきて何事かと思ったが、どこまで行くのかと途中の水場の情報であった。ま、その辺はネットで調べた通りだったが。テント場には2張りのテントのみ。というか、平日にテントがあるとは驚きだが。雪渓はすっかり消えてしまい山荘で水を購入するしかないな。唐松岳の巻き道は所々花崗岩のガレたところを横切るが鎖等で良く整備されて危険個所はない。利用者は少ないと思うが小屋はよく手入れをしているようだ。ただしネットの情報では樹林帯に入ると草っぽくなって露で足下が濡れてしまうようだが、体に触れる藪を全部刈り払ってくれなんて贅沢な願いだろう。踏跡があるだけでも充分にありがたい。

唐松山荘が高くなっていく 大黒岳はこんな風に見えた

 

 唐松岳から直接尾根伝いに下ってくるコースとの合流点で標識があるが、直登コースへの案内は無かった(当然か)。合流点付近は草付きで踏跡があるような無いようなであるが、エアリアマップで赤点線だからたぶん藪はないのだろう。まあ、巻き道が使えない雪がある時期以外は使う必要はないが。ここから少しの間は森林限界が続くがやがて樹林帯へと入っていくと、うるさいと言うほどではないが笹や草が体に触れるようになり、半ズボンでは笹で足に細かい傷ができるようになるが、暑いのでそのまま我慢して歩く。でもこの感じからすると年1回くらいは刈り払いを行っていると思われる。また、樹林帯は虫が多く、汗のにおいにつられてわんさか群がるのでおちおち休憩もできない。でも虫除けスプレーを持ってきたので、たとえ幕営地に虫がいても大丈夫だが。

餓鬼谷にはまだスノーブリッジが残っていた 大きくガレた付近が水場

餓鬼山が近づいてくる

 

 登山道は一直線ではなくジグザグに高度を下げて行く。所々で樹林が開けて五龍岳や西に延びる東谷山の尾根、それに目的地の餓鬼山が姿を現す。水場になるはずの餓鬼谷の流れはまだまだ遙か下だ。登山道は一本道で周囲は藪なので間違える要素はほとんど無く、あるとすれば枯れた沢の中を下るところだけだろうか。しかしそこも谷を降りていこうとしてもロープが張ってあるので日中なら分かるはずだ。既に尾根を外れて南斜面を下っているのでどの辺まで来たのか分からなくなっていて、黙々と歩くだけだった。

水場分岐。下り7分、登り8分の表示あり 大黒銅山跡

 

 ようやく水平になって木道が現れるとまもなく、水場分岐の案内が出てきた。下り7分登り8分と書いてあった。水の補給は餓鬼山に登った後にすることにし、まずはもうすぐそこにあるはずの幕営予定地の銅山跡に向かう。この周囲も笹藪でテントを張るスペースはないので、開けた銅山跡くらいしか幕営できそうになかった。大雨の時には小さな沢になるらしいゴロタ石の登山道を上がると、砂と小石の砂利で覆われ樹林が開けた大黒銅山跡に到着した。確かにここは広くて、今まで歩いてきた中では幕営適地だ。開けているので雷の時はちょっと怖いが、稜線上ではないので落雷の危険性は少ないだろう。やはり虫が多いのが難点だが、水場で汗を拭ってから虫除けスプレーを使えば問題なかろう。

 ここで荷物をデポしてアタックザックだけ背負って餓鬼山に向けて出発する。今の時期は防寒具も不要なのでアタックザックの中身は空っぽに近かった。最初は稜線に向けて高度を上げるが、ここはほとんど体に触れる藪もなく、こんないい道がこのまま続くといいなぁと思わせる。2カ所ほど旧道に入らないよう案内標識があるが、今となっては完全に藪に埋もれて道の形跡は認められなかった。尾根に乗ると刈り払いがちょっとだけ甘くなるが、充分に1級登山道といえるルートだ。日差しが強く麦わら帽子と傘で直射日光を避けられるがほぼ無風で暑くてたまらない。しきりに濡れタオルで汗を拭うが髪を伝って汗が落ちるくらいで、天気が良すぎるのも問題だ。こりゃうちわを持ってくればよかったなぁ。小さなアップダウンを越えると登り一本になり、背後から日差しを受けながら重くなった足を動かす。そういえば泥濘の上に欅平方面に今日歩いた1人の足跡がついていたが、もうどこまで行ったのだろうか。登山道に誰かが歩いたように倒れた草を見つけたときは熊かカモシカのような大型動物かと思ったのだが、どうやら人間だったようだ。

 最近はGPSをザックの肩ひもに固定するポケットに入れたままなので、GPSはザックと一緒にデポしてしまったので山頂までの距離がつかめないのも苦しい。傾斜が緩んできても次から次へと先に高い場所が出てきてなかなか到着しないで気持ちが疲れるのは正確な情報が無いからだろう。こういう時にGPSがあると妙な期待と落胆がなくていいのだが。せめて森林限界を超えていると気持ちがいいのだが、この標高ではそれも無理だ。

餓鬼山山頂。標識が倒れている 餓鬼山から見た唐松岳

 

 いいかげんイヤになった頃、やっと餓鬼山山頂の標識が出てきた。正確には餓鬼山山頂への分岐標識で、山頂はちょっとだけ縦走路から外れていた。三角点が鎮座し、山頂標識は朽ち果てて根元から倒れているのはマイナーな山だからか。唐松岳方面だけ樹林が無く、雲が絡んだ唐松岳が大きかった。明日はあそこまで登り返しか・・・。写真を撮って水を飲んでしばし休憩してから同じ道を戻ったが、さすがに下りは楽だった。徐々に上空の雲が増えてきて日が陰ると天国だった。

 銅山跡でアタックザックに水の容器をありったけ詰めて水場へと下った。分岐からはゴロタ石の枯れ沢を一直線に下り、最後は左から巻くように河原へと下った。もしかしたら餓鬼谷の支流が水源かと思ったら本流が水源で、一番下まで下らなければならない。でも水量は豊富で雪で埋もれる時期以外は年中無休だろう。汗だくなので泳ごうと思ったら水温が低すぎて体を水につけることができず濡れタオルで全身を拭いて水浴び代わりにしてさっぱりできた。やはり夏はこれに限る! タオルを水につけて絞るだけでも手が痛いくらいの冷たさで、まるで雪解け水のようだった。そうか、そういえば谷の途中にスノーブリッジが見えていたなぁ。なお、この河原の方が鉱山跡より幕営適地だった。砂地は少ないがテント3張くらいはいけそうで、一番いいのは周囲が開けて虫がいないこと! もちろん水場が近いことも便利でたき火の跡もあった。降雨時の増水だけ気を付ければここで幕営するのがいいだろう。なお、沢は一段低いところを流れているので多少の増水ではテント場までは達しないだろう。

 たっぷりと水を飲んで3リットルの水を持って銅山跡に戻り、肌の露出部分に虫除けスプレーを吹き付ければTシャツ半ズボンのままでも虫に食われず、樹木に日差しが遮られてテントでも快適に過ごせた。どうにかAMラジオが入るのでウトウトしながら聞き、17時から一人の宴会。今回の目的の山は終わったのでもう気楽なものだ。天気予報では明日も晴れて暑くなるとのことで、朝から天気が良かったら唐松岳で展望を楽しもうか。1時間半ほどかけてゆっくりと酒を飲み、19時前に寝た。

 夜中に小用で外に出るとだいぶ雲が増えていたが稜線上の五竜山荘の光がよく見えていた。翌朝、5時前の薄暗い時間に起きるとどうも上空は一面の雲に覆われているようで星が見えない。徐々に明るくなると大黒岳はかろうじて雲の下だがそれ以外は雲の中に埋没しており、今日は稜線に上がってもガスで真っ白で終わってしまうのだろうか。ま、昨日展望を楽しんだのでいいけど。

 朝食をとってテントを畳んで出発する頃には6時近くになり充分明るくなったが稜線のガスは厚さを増して大黒岳も飲み込まれてしまった。昨日の日中の暑さがないと思えばラッキーと考えることにしよう。一夜をお世話になった銅山跡を出発した。どうせ朝露で草が濡れて足下はびしょ濡れになるだろうとスパッツを最初からつけた。これはこれで正解だったが、草に触れる期間が長くて結局は靴の中までびしょ濡れになってしまったが。もうこのゴアの靴も防水に関しては寿命らしい。私のように激しい山登りで酷使してはこうなっても仕方がないか。新調しなければ。残雪期用に買った靴もあるが、あちらは防水重視でちいと重いので無雪期用は軽いのがいい。

山荘テント場に出てきた雷鳥

 今日は一段と虫が多くて時々刺されてしまった。頭の後方には虫の集団ができていて立ち止まったらボコボコにされてしまうだろう。しかし森林限界を超えると風が強まって虫は飛ばされてしまうようでやっと解放されたが、今度は体感の寒さが襲うが夏山なのでどうということはなく、腕カバーと薄手の手袋でちょうど良かった。ガスは体を濡らすほどではなく雨具は必要なかったが、視界はかなり制限されて、唐松岳の巻き道に入ってからはいったいどの辺りを歩いているのか全く分からなかった。現在位置が分かったのはゴミの出現で、すぐにテント場が現れて唐松山荘のテント場最下部に到着したと知った。昨日のテントはそのまま存在していた。昨日と違うのは雷鳥の出現で3羽が登山道に出てきてデジカメで写真に納めた。ガスっていたのでピントが甘いがまあいいか。たぶん今年3回目の雷鳥目撃だ。最後には「ゲー」という雷鳥のイメージをぶち壊す鳴き声を聞かせてくれた。やっぱり何度聞いてもカエルの鳴き声だ!

 山荘に上がるとガスが渦巻き風が強く、これでは休憩する気分にならないし、気温が低くて汗をかかずに済んだのでこのまま下ることにした。銅山跡から約2時間半、標高差たった700m弱にこれだけ時間がかかるとは我ながら悲しい事実だが、おかげでほとんど疲労は感じずに済んだ。稜線を越え南側の巻き道に入ると風が弱まるが、尾根のてっぺんに出ると北からの風が再び強くなる。火曜日でもパラパラと登ってくる人、下っていく人の姿が見られ、さすがに人気のコースだけはある。

 久しぶりの山歩きで足にまめができてしまい昨日はテーピングで処置したが、朝方の濡れた草の道で靴の中も濡れてテーピングがはがれてしまったようで、痛みがひどくなったため休憩をかねて八方池で水を飲んで靴を脱ぎ、新たにテープを張り直した。登りはいいのだが下りで痛みがひどく、少々かばいながらの歩きになった。リフト駅に到着して誘惑に駆られたが、ブランク期間中に一番落ちるのは下りで使う筋肉なので足のマメを我慢してそのまま歩き続けた。最後のコンクリート簡易舗装の下りが一番きつかった!

 車に到着してテントを虫干ししながら汗を拭って着替えを済ませ、少し昼寝をして12時を過ぎてから出発、案の定道路工事中だったが昼休み真っ最中で、通っていいか工事の人に聞くとOKとの回答で、舗装を片側だけはがされた道路をゆっくり通過した。温泉はいつもの旧大町市民浴場を目指すとなんと定休日で松川村の鈴虫荘に変更、こちらはやっていた。あとは時間が許す限り一般道を走ろうと頑張って勝沼ICまで行ってみたが、平日夕方の混雑は日曜とは大違いでスイスイ走れて快適だった。中央道に乗ってもいつもの小仏トンネルの渋滞は影も形もなく、高速道路料金を払う価値があるというものだ。平日は無線をやるのにはちょっと苦労するが(今回は大丈夫だったが)、この交通事情を体験してしまうと日曜日を避けたくなるなぁ。

 

5:43黒菱平-6:09リフト駅-6:35リフト終点駅-7:04公衆トイレ-7:14八方ケルン-7:53 2200mで休憩-8:04出発-8:27扇雪渓-8:49丸山ケルン-9:17 2600mで休憩-9:29出発-9:42唐松山荘-9:47牛首山着-10:11牛首山発-10:25唐松山荘発-10:57唐松岳直登コースと合流-11:46水場分岐-11:48大黒銅山跡着-12:23大黒銅山跡発-13:23餓鬼山着-13:34餓鬼山発-14:20大黒鉱山跡-14:24水場分岐-14:28水場(沢)-15:00水場発-15:07水場分岐

 

5:50大黒銅山跡発-5:54水場分岐-6:42尾根に上がる-7:20唐松岳直登コース分岐-7:57唐松山荘テント場-8:00雷鳥と遭遇-8:13唐松山荘-9:21八方池(休憩)-9:37出発-10:43黒菱平

 

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