甲府盆地北部 扇山 2006年1月4日

 

小倉山から見た扇山

 

 扇山といえば中央線沿線、大月の扇山しか思い浮かばないのが普通だろう。かくいう私も同じで、登ろうと思った当日まで同名の山がよりによって山梨県内にあるとは知らなかった。場所は塩山市街地のすぐ北側で、地形図を見ると山頂西側麓に水力発電所があって発電用導水路が山中を通っているようだ。そこから登るのが登山道もしくは作業道がある可能性が最も高いが、この辺りでこの標高では植生は広葉落葉樹林か杉、檜の植林で藪がないのが普通だから拘る必要はない。また、下山後の次に登る山として東側の小倉山を予定しており、簡単に移動できるよう扇山を東側から攻めるのがいいだろう。そうすれば車でちょっとだけ動けば小倉山に登れる。地形図では広い道が東山麓でループしているので、そこから適当に登ることにした。

花火工場入口のゲート

 地図を見ながら運転して神社の横で路地に入り、ループ状の道を目指して進んでいくと、イヤらしいことにその道は入口付近の長い直線部分が積雪で真っ白でありノーマルタイアで登れるかどうか不安があった。とりあえず登ってみると問題なく登れてしまったのでラッキーだった。ちょうど尾根が張り出した部分の北側に道があるので融け残ったらしい。積雪地帯を乗り切るとすぐにゲートがあって車では入れなくなっており、ループの道は何かの工場の敷地内の道だったのだ。正月休みで門は閉ざされたままで、明日朝も無人だろうからこのまま車道を歩いて適当なところで尾根に取り付けばいいか。結局、門の横で車中泊とした。

 翌日、起きると天気予報と違って曇り空で風が強く寒そうな日和だ。幸い、東斜面から登るので西風がブロックされるので助かるが、次の小倉山はもろに風を受けながら登ることになりそうだ。ゲートを越えて舗装道路を歩いて物置を通過、最初の事務所らしい建物でやっとここが何の工場なのか分かった。花火工場団地だったのだ。山の中にぽつんとあるわけだ。工場兼火薬貯蔵庫らしく、さらにゲートが閉まっており、周囲は有刺鉄線で囲まれていた。もうしわけないのでここへの立入は止めて有刺鉄線に沿って小さな枯れた沢を上がり、道路終点付近にある砂防ダムから東側の小尾根に取り付いた。案の定藪はなく快調に登る。

尾根に上がると松の植林 右から太い作業道が合流
こんな立派な作業道です 再び尾根を登る

 

 尾根上は松の植林帯だがほとんど手入れはされていないようで倒木が多い。作業道らしき筋があったのでそれを進んでいくと、やがて右手から太い作業道が合流、尾根左側を巻き気味に上がっていくが、それを追いかけていく。この道は徐々に尾根から離れて、やがて山腹を巻いて別の尾根に乗り換えているので、道を外れて尾根に戻ることにした。いつの間にか松の植林帯が終わって広葉落葉樹林の明るく気持ちいい山容になっていた。ただし曇り空で冷たい西風が吹き付けるので心も体も寒いが。相変わらず藪のやの字もなく、淡々と歩くだけでいい。低山はこれだから楽でいいや。この世界では笹藪漕ぎ、ハイマツ漕ぎはあり得ない。

快適な落葉樹林帯が続く 扇山山頂

 

 やがて傾斜がきつくなり、強風で落ち葉が吹き飛ばされて地面が露出した部分をよじ登ると山頂に到着した。期待に反してまともな山頂標識はなく、三角点とその脇に立つ白い角柱(地元グループの署名入り)が山頂であることを主張していた。保谷猫吉氏も未だ来ていないらしい。山頂付近には登山道と呼べる道はなく、踏跡があるかどうかも落葉に覆われた今では判別できないが、この植生だからどこからでも登れるだろう。後日、インターネットでこっちの扇山を検索したが、登山記録は発見できなかった。本家本元の扇山の記録があまりにも多すぎて検索条件に「塩山」を付け加えたのだが、これでもまだ漏れが多かった。

 無線をやって下山開始、ほとんど同じルートで戻ったが、火薬工場の敷地を避けて沢沿いに下った

 

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