奥日光 高山、中山 2006年11月26日

 


 戦場ヶ原周辺の枝尾根には小さな山がいくつかあり、菖蒲ヶ浜西側には高山という登山道がある山が、西ノ湖南東側には中山というほとんど登山対象とならない藪山がある。女峰山の翌日、せっかく奥日光にいるのだから登り残した山を片付けるのが良かろうとどこに登るか考えたときに、この2山が頭に浮かんだ。本当は三岳にしようと思ったのだが、おそらく笹が深く残雪期に登るのが得策だろうと考え後回しにすることにし、他に無いか地図で探したら手近なところではこの2山くらいだろう。戦場ヶ原のど真ん中には糠塚があるが、植生保護のため雪に埋もれた時期以外は入れない。上記2山ならルートをつなげて歩けるし、行きか帰りに西ノ湖〜赤沼間のバスが利用できる。バスの時刻を調べると今の時期の始発は8:00と遅いため、帰りにバスを使うことにして行きは高山を経由して千手ヶ浜に下り、中山に登って西ノ湖に下り、西ノ湖入口バス停からバスに乗り込むことにした。なお、バスの運行期間は4月の大型連休直前から11月いっぱいなので、今日が今シーズン最後の週末運行であった。

 高山は登山道があるので問題なし。中山は道無しだが標高差は大したことがないので藪でもどうにでもなるだろうと予想した。実際、栃木県在住の複数の人がこの山頂に立っているはずで、難易度がひどく高いことはなさそうだ。最初から登るつもりならネットで調査してくるのだが、現場で急遽決めたため情報は持っていなかった。心配なのは藪よりも柳沢川の渡渉で、西ノ湖から取り付くためには西ノ湖から流れ出る沢を渡る必要があり、水量が少ないはずのこの時期でどんなものか行ってみるまでわからない。ついでに昨日エアリアマップを紛失してしまったため、代用地図をどうにかしなくてはならない。幸い、赤沼駐車場に自然案内所があり、\50で地図入りパンフレットを販売していて、高山の登山コースは書かれているし中山も描かれており使えて大助かりだ。

 その夜は赤沼駐車場で泊り2重寝袋で寝た。朝5時半に起床して温度計を見ると-10度! 残り少ない量しか入っていないペットボトルはカチカチに凍りつき、1リットル以上水が残っている大型ペットボトルの水も少々凍っていた。今までの経験では気温が-5度くらいなら1晩でペットボトルの水が凍ることは無かったので相当冷えたようだ。私のように車中泊で一晩を過ごした車は数台あったが、この寒さでは毛布程度では眠れなかったのではないだろうか。昨日同様お湯を沸かしてラーメンで体を温め出発する。昨日の雪で濡れた登山靴がカチカチに凍って足を入れるのに苦労したのは残雪期以来の経験だった。

高山遊歩道入口 遊歩道から見る高山

 

 国道を渡り遊歩道を湯川まで歩いてから川沿いに下流に向かい、舗装された車道に出たら右に曲がり、高山登山道入口まで車道を歩く。気温は-10度のままで傾斜が無い水平な道では歩いても体が温まらず足の指先は冷え切って痛いくらいだ。まさか今シーズン最初の霜焼け発生か? 心配していた高山への分岐標識はしっかりと設置され、踏跡程度ではなくちゃんとした登山道レベルで一安心。低い笹原の中に刈り払われた広い道だった。

高山西側鞍部 鞍部から山頂へ直線的に登る

 

 高山西側鞍部が近づくと笹原が切れて下草が無い広葉落葉樹林帯に変わり、一面が落ち葉に覆われて登山道がどこについているのか分からなくなるが、適当に鞍部に上がると高山を指す標識があり、登山道は尾根を南に巻きながら登る様である。地図を見ると相当ジグザグに登って労力の無駄が多いので、藪はないし尾根を直登することにし、倒木と樹木を避けながら硬く凍った土の上を歩いて行く。登って行くと小さな木も混じって邪魔になることもあるが、全般的に樹林の背は高く一面が藪になることは無く左右に迂回しながら歩けばいい。

高山山頂 高山山頂付近から見る錫ヶ岳

 

 傾斜が緩むと高山山頂で、国土地理院の三角点のほか御料三角点も久しぶりに見ることができた。山頂標識の中には栃木県の地形図記載の山をすべて登った人が付けた標識もあった。この標識はJR両毛線大平下駅裏の中山で見かけたのが最初だろうか。そういえばこの後登る山も中山だな。きっと同じ標識があるだろう。

南西尾根を下る 尾根が急になったら右の斜面に逃げた
遊歩道に出る 中禅寺湖畔
千手ヶ浜。右奥のピークが高山 千手ヶ浜〜西ノ湖遊歩道
治山林道?の橋で柳沢川を渡る 柳沢川沿いから見た中山

 

 下りも登山道を外れて南西に伸びる尾根を直線的に下り、ヤバそうな急傾斜になったところで右手の斜面を適当に下り正規の登山道に出た。中禅寺湖畔まで緩やかな道を辿り、湖岸沿いの遊歩道に入るとほとんどアップダウンも無く、大きな岬も無いので無駄に歩く距離が長くなることはなかった。千手ヶ浜で砂浜となり、右手から車道がやってくるが、これを少し歩けばバス停がある。今回は中山の下山後は西ノ湖入口バス停が一番近いのでここまで戻る必要は無い。さらに湖岸を進むと車道と柳沢川に挟まれた中間に西ノ湖への遊歩道が分岐、こいつを辿って中山北東尾根付近で柳沢川を渡って尾根に取り付こうと思う。ただし柳沢川が渡渉可能な水量なのかは全く不明であり、少なくとも中禅寺湖畔では水深が深くて橋がないと対岸へ渡るのは不可能だった。少しの間は遊歩道を歩いたが、渡渉できそうな場所があったら渡ってしまおうと考えて柳沢川左岸を歩くことにする。湖岸から離れると水深が浅くなり渡れるかどうかギリギリの感じになったが、いかんせん冷え込んで川の中にある石は氷の薄皮でコーティングされており、それらの石をつないで渡れないのは痛い。しかし、冶山工事用林道だろうか、車道が対岸に渡る場所があり、コンクリートの堰堤に鉄の板が渡してある箇所があって問題なく渡ることができた。今度は右岸沿いを歩いたが、途中で伏流となって川底が露出する箇所もあり、初冬なら橋がなくても渡れるようだ。

柳沢川右岸を歩く 中山北東尾根末端
北東尾根を登り始める 藪とも言えない石楠花区間

 

 川沿いの樹林帯は背の高い落葉広葉樹で地面付近は笹も藪も無く自由に歩けた。枯れ沢の向こうに目的の北東尾根末端が現れ、予想通り目印も踏跡も無いが藪も無く獣道らしい筋は存在し、尾根の傾斜も適度で問題なく歩けそうだ。尾根に取り付いてすぐのシラビソには鹿の食害防止用ネットが巻きつけられていたが、最初の数本だけでその後は対処された木を見かけることはなかった。このまま順調に歩けるかと思ったら時折石楠花地帯が出てくるが、奥秩父のようにジャングルではなく密度は低いし木の高さも低いのでかき分けるほどでもない。まあ、たまに鬱陶しい密度の場所もあったが、さほど長い距離は続かなかった。

小鞍部 石楠花が増えてくる
この辺も石楠花 中山山頂

 

 小鞍部を通過すると石楠花が切れて急な尾根をよじ登る。傾斜が緩むと再び石楠花混じりとなるがひどい藪ではなく順調に高度を上げ、ぽっかりと開いた空間に出ると中山山頂標識と御料三角点があった。結局、北東尾根には目印やごみ等の人工物は全く無く、登るとしたら西ノ湖から手近な北西尾根が使われるようで、現にその入口には赤テープが巻かれていた。気温は5度程度あるので防寒着を着ていれば大丈夫、さすがに朝の-10度だったら座って無線をするどころではなかっただろう。

北西尾根入口 最初は藪はないがやがて石楠花地帯に
小ピークを登る 途中から北に向かうが急すぎて右手に逃げる
最後は谷を下った 柳沢川渡渉ポイント

 

 バスの時間もあるので下山開始だ。30分しか時間が無いがこの距離なら大丈夫だろう。北西尾根は傾斜がきつい分距離が短く、北東尾根より濃い石楠花の森も下りならさほど問題なく、赤テープを追いつつ石楠花の隙間を探して下って行く。
地形図では読み取れないが1410mで小ピークがあり、赤テープは西ノ湖目指して左側に下っているが、バス停まで歩くには北に向かう尾根のほうが近いし、西ノ湖から流れ出る沢の川幅によっては渡渉不可能の可能性もあり、流出口から少し離れたところのほうが渡れる可能性は高いと考えた。こちらには目印は全く無いが尾根の石楠花は少し薄くなり、石楠花がなくなったと思ったら尾根の傾斜がきつくなり下れなくなってしまった。しかたなく少し登り返して右手の斜面に乗り移り、どうにかずり落ちない場所を選んで下っていった。ここで少し時間をロスってしまう。落ち葉に埋もれた谷間を降りると柳沢川に下るが、これがまた水量が多く川幅もあり渡渉は無理。とりあえず上流を目指したが状況は好転せず、こちらの岸が絶壁になりそれ以上進めなくなって下流に向かって歩き出す。ずっと下れば伏流で川底が露呈したところがあるが、そこまでいかないうちに渡れるところがあるといいのだが。川の中にはところどころ石が浮かんでおり足場になりそうなのだが、水しぶきが凍り付いて足場としては利用不可能。もう少し下ると川の半ばまで乾いた中州が続き、どうにか対岸へ飛べそうな場所が出てきたので、枯れ枝を支えに対岸へ飛んだ。

柳沢川を渡る西ノ湖遊歩道の吊橋 西ノ湖
柳沢林道を歩く 西ノ湖入口バス停の駐車場

 

 渡渉箇所を探すのに5分以上要し、バスに間に合わないのは確実なので西ノ湖でも見物していくことにした。冬枯れした樹林を突っ切ると遊歩道に出て、柳沢にかかる橋を渡って西ノ湖に出た。湯ノ湖や中禅寺湖と比較すればこじんまりとしているし、歩かなければならないので人もほとんどいない静かな場所だった。5分くらい時間をつぶして出発、しらないうちに柳沢林道に入って舗装された車道に出たら、10年以上前のまだマイカー規制がなされる前の錫ヶ岳に登ったとき車を置いた駐車場に出た。ほとんどバスの時刻ピタリだったが5分ほど遅れてバスがやってきた。乗客はガラガラだと予想したのだが20人前後の入りで驚いた。小型の望遠鏡を持っている人が何人かいたので野鳥観察グループのようだ。今の時期にどんな鳥がいるのかは知らないが、中山に取り付く前に尾羽と羽の一部が白い鷹だか鷲だかを見たので、冬の寒い時期でもいろいろ野鳥はいるのだろう。

 バスを降りるときに料金\300を支払い、マイカーに乗り込んで温泉を目指した。湯元が最寄だが東京からだと逆方向になるので、距離は遠いが足尾を通過して水沼駅に隣接した水沼温泉に立ち寄った。



所要時間
赤沼駐車場−0:34−高山登山道入口−0:24−峠−0:27−高山(休憩)−0:33−中禅寺湖−0:11−千手ヶ浜−0:09−橋−0:14−中山北東尾根−0:37−中山(休憩)−0:20−柳沢川−0:07−遊歩道−0:12−西ノ湖−0:16−西ノ湖入口バス停

 

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