茨城北部 栄蔵室、花園山 2007年2月24日

 

 

 茨城県の山は何年も登っていなくて、ずいぶん前に笠間周辺か筑波山周辺を登ったのが最後だと思う。標高的に登るのに適した時期は冬の間で、その期間は千葉や静岡、はたまた関西や東海の低山等にも登ったのでなんだかんだで後回しになってしまった。茨城の最高峰は八溝山で1000m強、しかも太平洋側で山間部でも全般的に雪は少なく、藪も手ごわいところはほとんどないと言っていいだろう。その難易度の低さも後回しにする一つの理由だろうか。ただ、やはり県内全部の地形図記載の山を登ろうと思えばその数は200山近いので、冬場に毎週通っても2年くらい必要だろう。

 千葉の山はほぼ登り終わり、山梨の山は雪が消えるまで待ったほうが楽に登れる山がほとんどなので、今度は茨城に向かうことにした。花粉の飛散(悲惨)状況が南ほど多いので北に位置する茨城はずっとマシというのも大きな理由だ。例年だと今頃は全く花粉を感じることはないのだが、今年は出だしが早くて東京でも既に花粉を感じるようになった。スギ花粉発生地の山に登るのだから多く飛んでいる山域の山に登ったら地獄を見ることになる。今回は久しぶりに三角点マニアのMさんが同行することになった。最初に登る山は1等三角点の栄蔵室とし、あとは現地で適当に決めることにして出発した。

 栄蔵室はガイドブックにちゃんとした登山道が掲載されているが、登山口は花園渓谷でそこそこ標高差がある。しかし地形図を見ると山頂南側に車道が描かれており、前回登ったときにはその車道の途中で凍結のため車を途中に置いて歩き、林道終点の小ピークから藪を真北に突っ切ったら林道が出てきてガックリした記憶がある。そこで今回はその林道を目指すことにした。今年は暖冬なのでたぶん凍結は無いだろうからかなり奥まで入れるのではなかろうか。下手をすれば山頂直下まで車で行けるかもしれない。

 天気予報では金曜日は夜までひどい雨と伝えていたが、予報より雨が上がったのは早くて夕方には月も見えるようになっていた。気温はあまり下がることも無く、このまま夜中まで持ってくれれば濡れた路面が凍ることもないだろう。もちろん、用心のためにチェーンは持っていくが。何年ぶりに走るのかも覚えていない常磐道に入り、前回は無かった建設中の圏央道、北関東道のジャンクションを通過、高萩ICで降りて北西を目指す。まじめにロードマップを見ていなかったのでいきなり道を間違えてしまったが10分程度のロスで済んだだろう、Uターンして正しい道に入る。延々と県道を直進し、目的の林道入口が近づいたと思われる地点でGPSの電源を入れ、地形図の表記に合う分岐を探しながら奥に入っていく。舗装された道は濡れているがまだ気温が高いので凍ってはいなかったが、これが明日の下山時に凍っていたら融けるまで待つしかないだろうな。

 分岐は右にY字に分かれ、1度走ったことがあるので記憶が蘇るかと思ったが全く記憶は無いままだった。ただし地形図どおりに斜め右に緩く分岐し、行き過ぎると建物があったので間違いなく、Uターンして入ってみると砂利道だが普通車でも問題なく走れる程度だった。そのうちに記憶が蘇り、たしか釣堀があったこと、上り坂にかかったところで凍結箇所があり、伐採現場か何かで広くなった路肩に車を止めたことを思い出した。真っ暗なので釣堀があるか分からなかったが、何か建物があるところを通過し、道が分かれるところでは右に入り、あとは道なりに林道を走った。両側は杉の植林帯でGPSの電波が遮られて残距離が固まったままになることが多く当てにならないが、とにかくまっすぐ行けばピークに出るはずなのでそのまま進んだ。途中、左に分岐する林道を発見、なにやら標識が出ているようなので確認すると「栄蔵室1.2km」と書いてあった。どうやら私が藪漕ぎの末出た林道の入口らしい。入ってみると1段グレードが落ちる路面状況で雨上がりでぬかるんで2WDでは下手をするとスタックしそうだ。あまり深追いするとひどいめにあいそうなので左カーブで広くなり、上空も開けてGPSが受信できそうな場所に車を止めた。GPSの表示では山頂まで約350m、花園渓谷コースよりとんでもなく近くまで入れたことになる。いつの間にか気温が下がってきたようで、濡れたダートの路面は凍結しかけていた。ま、ダートなら凍っても滑らないし、ぬかっているよりスタックする心配も無いし明日朝の走行は安心できそうだ。やはり問題は舗装道路が凍っていないかだな。満天の星空でしし座やかに座など春の星座が上がっていた。寝ている間に強風が吹き荒れて時々車が揺れたが、揺りかごのような適度な振動はかえって眠気を誘い安眠できた。

 翌朝、目覚ましをかけなかったが明るくなって自然に目覚めた。相変わらず強風が吹き荒れているが、森林限界と違って行動が制限されることもないので安心して出発だ。気温は-4度程度でそこそこの冷え方だが風があるので体感温度はかなり低い。最初から防寒装備を全部着て出発した。山頂らしいピークは前方に見えている。最初は林道歩きが続き、やがて左に上がる林道が分岐した。稜線は左にあるのでその林道で稜線に上がろうかとも思ったが、案内標識は無いのでそのまま直進、しかし山頂直下でも左に入る道が無いので、しかたなく伐採された杉林を直登することにした。稜線には前回には無かった展望台があり、いつの間にか整備されたらしい。何しろ前に来たときには手製の標識が1つあるだけで、周囲は笹に覆われてほとんど人気を感じない山頂だったからなぁ。

林道から栄蔵室山頂を見上げる 栄蔵室山頂。昔は何もなかったのだが・・

 

 霜に覆われた斜面を登りきると風がもろに吹き付けて一段と寒くなった。展望台は昨年秋に設置されたばかりの新品で展望写真が飾ってあった。それによると富士山まで見えるはずだが今日はそれほど空気の透明度が良くないので見ることはできなかった。展望台から西に下る道があったが、この先はハイキングコースではない旨の看板が立っていた。三角点は展望台より東にあり、立派な山頂標識の他にベンチまで設置されてずいぶんと様子が変わっていた。ただし茨城県最高峰は違うなぁ。八溝山につけてやるべきだろう。

こんな風に道があるようです NTT電波中継所を下った林道にある標識

 

 私の目的地は花園山なので東に下る。同行のMさんは栄蔵室の1等三角点が目的なので花園山には用事は無いはずだが、足慣らしのために一緒に向かうことになった。「花園山方面は階段を下って右」の看板が立っているので花園山まで道がつながっているようだ。東に僅かに下って僅かに登るとNTTの電波中継所がでんと立っており、ここで稜線を外れて北に少しばかり下ると林道に出た。なんだ、こっちも林道があるのか。かなりまともな林道なので、途中にゲートが無ければここまで車で入れるだろう。花園山は右となっているので林道を歩くと途中から林道が細くなり最後には山道に変わった。道は良く踏まれ、笹があるところは刈り払われて整備が行き届いている。要所要所には案内標識と案内図があるので、どんなコースがあるのかとても分かりやすい。それによると山渓分県ガイドに掲載されていた花園山や栄蔵室登山口よりももっと上流に「北登山口」と「南登山口」があって周遊コースが組めるようになっていた。我々は稜線南側から登ったが整備されているのは北側のようだった。

林道途中から見た北方面の展望。空気が澄んでいれば蔵王まで見えるとのこと

花園山に向けて谷を下る 千葉と違って落葉樹が中心
笹があるがしっかり刈り払われている 花園山山頂

 

 T字路で右に曲がり小さな沢に沿って緩やかに下ると、これまた小さな沢を渡渉して花園山の登りにかかる。今まで歩いたルートの中ではいちばん登りらしい登りで、尾根に出て左に曲がると花園山山頂であった。樹林がワサワサ生えた山頂の雰囲気が乏しい山頂だが山頂標識が建っており、GPSの表示もここが山頂で間違いないことを示している。ガイドブックでは花園山を南北に縦走するようなコースが書かれていたと思うが、少なくとも北側には踏跡は無かった。南側は目印と踏跡が分岐していた。

 栄蔵室の方が標高が高いので帰りが「山登り」になるが、この界隈は全体的になだらかな地形なのでさほど疲れることもなく車に戻れた。

 

 

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