東北 岩手山 2007年6月23日

 

 

 今年は梅雨入りしてから雨が続かず梅雨の中休みが長いが、今度の週末も晴天が見込まれそうで出かけることにした。もう残雪期の季節ではないので道がある適当な山でいいのだが、虫が出てくる季節なので高い山にしたいところだ。最初は八ヶ岳辺りでもと考えたが、どうも日曜日になると梅雨前線が北上して天気は下り坂らしく、2日かけて山登りするのはリスクがある。そこで前線がちょっとくらい北上しても影響を受けない東北中部以北に足を伸ばすことにした。2000m峰では岩手山が未踏なのでちょうどいい機会だし、ついでに未踏の早池峰山もいいだろう。

 岩手中部は東京からは遥かかなたで、岩手山登山口に最も近い滝沢ICで浦和基点で550kmを超える。うちの軽自動車でチマチマ走ると6時間はかかる距離で、会社が終わっていくら早く出てもろくな睡眠時間はとれそうにない。6時半に出発して外環→東北道と走り、あとは延々北上だ。仙台を過ぎた辺りでようやく雲が取れて星空が見え出し、滝沢ICを降りて馬返し登山口に向かう頃には満天の星空だった。駐車場にはテントを張ったグループを含めて10台弱の先客がいたがみんな車中泊だろうか。考えてみると岩手山は百名山なので登山者も多いだろう。既に夜中の2時を過ぎており、寝酒を飲んだのでは出発時にアルコールが抜けないのでそのまま眠りに付いた。

馬返し登山口 コース案内図

 

 岩手の朝は早く、今の時期なら4時前に明るくなる。4時過ぎに起きて朝飯を食べて出発。今日は日帰りなので荷物も軽い。もうダウンジャケットは要らないだろうと判断し、フリースを持っていくことにするが、アイゼンが不要かわからないので6本歯を持っていくことにする。まさかピッケルは不要だろう。既に何人かが出発していったので熊避けの鈴も不要だろう。有名どころの山は荷物や気分が軽くていいな。

1級の登山道が続く 2合目で一時的に樹林が開ける

 

 登山口を出発してすぐにキャンプ場を突っ切るが、ここで水の補給ができる。エアリアマップでは登山道の途中に水場マークがないので1リットル持っていくことにした。このまま登りが始まると思ったら水平移動で谷になったところを超えて、右に曲がる。思ったより緩やかな登りが始まり、ハルゼミ鳴く樹林帯をゆっくりと登っていく。百名山であるから登山道は1級で藪のやの字も無く気楽に歩ける。2合目で樹林が切れて開けた場所になり下界を見下ろせるが、天気はいいのだが思ったより空気の透明度は良くなく遠くは霞んでしまっていた。もし見えたとしても土地鑑が無いから山岳同定もできないだろうが。

4合目手前の花 その1 4合目手前の花 その2
4合目手前の花 その3 旧道4合目。すげ〜青空
下界が見える 旧道も花が多い

 

 再び樹林に入り高度を上げる。4合目では何やら標識があったがイマイチ内容が分からず、とりあえず左の道を行くことにした。帰りに分かったことだが右に行くとこのまま新道を登り、左に行くと旧道に乗り移る場所だった。その旧道に出る手前がちょっとしたお花畑でシラネアオイは真っ盛り、チングルマは終わっていた。他にも何種類かの花が咲いていたが、高山植物音痴の私には名前は分からなかった。

再び樹林に入る 両側にはシラネアオイが咲き誇る

 

 旧道に出ると2合目同様樹林が開けて溶岩の尾根になり視界も開ける。新道はほとんど樹林帯を通っているので景色を楽しむなら旧道がいいが、日影が無いので暑いときは避けたほうがいいかもしれない。今は真夏ではないので気温もさほど高くなく気持ちがいい。ここで中高年の大集団を追い越した。再び樹林に入る木の高さが低く森林限界が近いことを感じさせる。登山道はトンネル状に樹林に覆われ、両側にはシラネアオイが咲き誇っていた。

7合目肩から見た外輪山南部 水平移動になる
8合目避難小屋 冷たい水が豊富

 

 登りきったところが7合目の肩で森林限界に到達、新道が合流し、しばらく水平移動だ。右手には火山岩に覆われたお鉢めぐりの南端稜線が見えている。火山礫帯なのでどこでも歩けるが、登山道はどこにつけられているのだろうか。ハイマツの中に登山道が伸びておりすぐに大きな避難小屋が出現する。営業小屋にしても充分立派な真新しい小屋で、私が持っているエアリアマップには書かれていないが小屋の前には水場があって冷たい水がジャバジャバ出ているではないか。下から1リットルも持ってきて損したなぁ。きれいで大きな小屋があり水も豊富だから1泊するのにちょうどいい。この頃から稜線にガスがかかりだしたが上空は晴れているので天候が大きく崩れるわけではなく、山の上だけガスに覆われてきたのだろう。でも私が山頂に付く頃にはガスで見えなくなってしまうかなぁ。

不動平避難小屋。こちらも立派 最後の登りにかかる
火山灰のザクザクの登り 外輪山に上がると山頂が見えてくる

 

 8合目避難小屋を過ぎるとまた避難小屋が出現、こちらは不動平避難小屋で先ほどの小屋より小ぶりだがこれまた小奇麗で営業小屋にできそうだ。ま、100名山で入山者が多いので小屋も多いのだろうか。馬返登山口からの標高差約1400mの日帰りは一般ハイカーにとっては限界に近いしなぁ。ここで登山道は右に曲がって最後の登りにかかる。登山道はお鉢の西端付近で稜線に上がるようだが、既に稜線はガスに覆われていた。下ってきたハイカーによるとむちゃくちゃ風が強くて寒かったとのこと。確かに今までは風は弱かったが障害物がなくなって北西の風がモロに吹き付けるようになり、Tシャツと半ズボンでは寒いので長袖シャツを着てジャージを履いた。火山灰でザクザクの登山道を登って火口壁上へ。まるでケルンのように石仏らしき物体が点々と並ぶ姿はちょっと不気味だった。思ったよりも風は強くなく、耐風姿勢をとるまでもなかったが体感温度は低い。ガスが時折薄まって日差しが出るとほっとする。

石仏だったか石碑だったか点々と並ぶ 岩手山山頂

 

 火口壁の最高地点が岩手山山頂で、1等三角点が鎮座していた。ほぼ一面ガスに覆われて視界は殆ど無かったが、東のみガスが切れることがあり北上山地の山々が見えるが、東側の姫神山と少し南に離れた早池峰山以外は全く分からないのが残念だ。風が強くガスっているので山頂に長時間滞在する人はいなくて、記念写真を撮影してすぐ立ち去っていく。こちらも下山してもいいが、今日はこの後の山の予定は無いから南に少し下った斜面に断熱シートを敷いてお昼寝。風も当たらず気持ちよかった。どうやら風は少しずつ収まっていく方向らしいがガスも晴れるだろうか。30分ほど休憩してから下山にかかった。

所要時間
馬返し登山口−1:19−4合目−0:53−1620mで休憩−0:14−8合目−0:50−岩手山−1:11−4合目−0:42−馬返し登山口

 

 

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