後立山北部 乗鞍岳、舟越ノ頭 2007年7月7日

 


 今年の梅雨は空梅雨で週末は雨が降らないことが多いが、直前の天気予報では土曜はまあまあだが日曜は新潟くらいまで雨の予報で、1泊は危険が高そうなので土曜日帰りを考えた。この時期は虫が多いので高い山しか行く気は起きないし、藪漕ぎなどもってのほかである。また、天気は前線から離れた北の方ほどいいのは間違いなく、登り残しの2000m峰で日帰り可能&そこそこの位置にあるのは白馬乗鞍くらいだった。日帰りするのは東京から遠いが無理ではなく、遠いだけあって前線から離れるので好天が期待できそうだ。問題はスタート時刻でリフト&ロープウェイの時刻をネットで調べたら今週末の始発はAM7:30。下から登るのと大差ない時間だ。そこで考えたのが裏口の蓮華温泉から登ることだ。東京からもっと遠くなって車の運転が大変であるが、最初から歩きだからスタート時刻は自由である。また、蓮華温泉の標高は約1500mであり、舟越ノ頭までの標高差は約1100mと無理もない。蓮華温泉までの車道開通時期は遅く例年では6月下旬なのでネットで調べると、今年は6月終わりに開通して通行できるとのこと。ただし工事で平日深夜は通行止めだが開通はAM2:00なので、工事区間手前で寝て、早朝に動きだせば充分日の出前に出発できるので問題ない。

 金曜日は病院に行ってからアパートで天気予報を見ながら模様眺めだったが、乗鞍ならどうにか天候は大丈夫だろうと決断して夕方に出発となった。これでは会社から帰ってきてから出かけても時間的には同じで、蓮華温泉のような時間がかかる場所まで行くと睡眠時間が短くなる。通い慣れた道で長野を北上、新潟に入ってトンネルを抜けて右折、蓮華温泉へと上がっていく。2年前の大型連休に登った黒負山で利用した発電施設管理用道路入口が懐かしい。夜間なので対向車が来ても離れた場所からライトで分かるので安心して飛ばせるが、真夜中なので通行する車は皆無だった。ウェブの情報と違って夜間工事は行われておらず、駐車場までそのまま入れた。何台か車が止まっているが、私のように車中泊なのか、それとも蓮華温泉の泊り客か、それとも後立山の山小屋の中か。真夏だと混雑するのだろうが今は空いているのでどこでも好きな場所に止められるが、もし晴れた場合に車内が高温になるとイヤなので南端に置いた。まあ、山登りとしては晴れてくれた方がいいのだが。

蓮華温泉駐車場 蓮華温泉入口。車は進入禁止

 

 翌朝、どうやら空はほぼ雲が見えず快晴のようで予報よりよく、日中は天気はもつだろうと勇んで出かける。蓮華温泉の標高は約1500mあるので出だしから涼しく大汗をかかなくて済むのは大助かりだ。駐車場の北側には黒負山から五輪山の稜線が連なっているが、もうほとんど雪は無く、今は激藪だろうなぁ。そのうちDJFが残雪期に登るだろうが、彼なら山スキーでスピーディーな山行だろうなぁ。

蓮華温泉の建物 建物の裏に白馬方面登山口がある
眼下に蓮華温泉が見える 朝日岳から黒負山が並ぶ

 

 エアリアマップを見ると蓮華温泉の裏側から登山道が伸びているはずで、建物前の庭を突っ切って裏手に回ると無事登山口発見。乗鞍へと登る場合は多くはリフト使用だろうからこっちからの入山者は少ないだろうと考えていたが、登山道は非常にしっかりしていて利用者は多いようだ。まあ、新潟や北陸方面からやってくる人にとっては蓮華温泉の方が近いのでこっちを使うのかもしれない。途中、露天風呂への道を左に分け、沢を渡って対岸の尾根に取り付いたあとは、尾根を巻きながら高度を上げていく。時々視界が開け、振り返ると朝日岳から黒負山の稜線が連なり、右手には雪倉岳が大きい。例年の残雪量を知らないが、標高が高い谷筋にはまだまだスキーができそうなほどの残雪がある。もちろん、下の方は雪が無いから滑り降りても登り返さないとならないが。

天狗の庭。樹林が開けている 天狗の庭
天狗の庭にて 天狗の庭にて
タカネバラ。天狗の庭にて ヒメシャジン? 天狗の庭にて
雪渓のトラバース 朝日岳と赤男山
イワカガミ ショウジョウバカマ
1つだけシラネアオイの株があった 名前が分からない

 

 尾根の途中で樹林が広い範囲で開けて、まるで森林限界に出たような低い唐松がまばらに生える場所が天狗の庭で、その名のとおり日本庭園風だ。高山植物もいろいろ咲いているが名前が分からないものばかりだった。ここまで来ると正面の雪倉岳がひときわ大きい。再び樹林帯に入り高度を上げる。途中、1箇所だけ雪渓を横断するが登山道の部分はスコップで水平にカットされているので登山靴のままで歩いても危険は無かった。徐々に樹木の高さが低くなり、主稜線近くで森林限界に達した。頭上は青空で日差しがまぶしいくらいで、車の運転は大変だったがここまで北上して正解だった。

もうすぐ主稜線 主稜線から振り返ると黒負山
小蓮華方面は雪田で始まる 雪田を抜けると夏道が続く
西側から見た舟越ノ頭 東側には雲海の上に妙高火打が浮かぶ

 

 稜線に出ると左手に大池山荘の赤い屋根が現れる。白馬大池はまだ半分雪が残っているのには驚いたが青い水をたたえていた。まだリフトは動いていない時間なのでお客もいないので静かだが、日中になると賑わうのだろうか。池の北側の岩が積み重なったピークが乗鞍岳山頂だが登山道は無く、植生保護のため立入禁止なので今回は南側のケルンがあるピークを登りに行くが、その前に舟越ノ頭に向かうことにする。こちらの稜線への登り始めは一面の残雪で、昨日付けられたと思われる足跡を追って雪の上を歩く。この時期だと雪は締まっているのでスパッツ無しでも問題なしで雪田を通過し夏道に出ると小蓮華近くまで行かないと登山道には雪はなさそうだ。

舟越ノ頭山頂 舟越ノ頭から見た北ア北部
舟越ノ頭から見た雪倉岳、朝日岳 舟越ノ頭から見た小蓮華岳
舟越ノ頭から見た後立山。長野側は雲海の下
舟越ノ頭付近のイワカガミ 舟越ノ頭付近のイワウメ

 

 ハイマツとお花畑の尾根を登り、GPSで確認すると最初のピークが舟越ノ頭のようだが登山道は僅かにピークを巻いているので植物を踏まないよう気をつけてピークに立つ。てっぺん付近はハイマツに覆われているが冬道だろうか、僅かに筋があるようだ。南斜面は残雪に覆われ北斜面は地面が出ていて対照的だ。大町方面の盆地は一面雲海に沈んで見えず、雨飾、天狗原山、焼山、火打、妙高だけが雲の上に頭を出していた。一方、南に伸びる後立山は鹿島槍まですっきり見えており、その左に見える左が下がった台形は常念岳に違いない。唐松岳右側鞍部の向こう側は水晶岳周辺の山々で、杓子岳右側鞍部には尖った剣岳が見えた。思ったより南まで天気がいいようで、これならテントを背負ってどこか登っても良かったなぁ。休憩中、10数年ぶりにオコジョと遭遇、前回見たのは東北の葉山だったからアルプスでは初めてだ。餌でもねだるのかと思ったら目の前を通り過ぎて東のハイマツに入って姿が見えなくなった。

白馬大池に写る大池山荘 雪渓をトラバース。大した傾斜ではなかった
溶岩地帯を登る 右ピークが地形図上の乗鞍岳山頂

 

 あまり疲れなかったが休憩後、今度は乗鞍ケルンに向かう。大池山荘を過ぎて残雪を踏みながら池の岸近くを歩いていく。途中、雪の斜面をトラバースするが、さほどの傾斜ではないのでアイゼン無しでキックステップのみで通過できた。高巻きしている足跡もあったがそこまでする必要はなかった。本当の乗鞍岳山頂は残雪期にでも登ることにして横目で見るだけにしておき、南ピーク目指して岩とハイマツの中につけられた登山道を登っていく。まだリフトの登山者はここまでやってこられる時間ではないようで広い山に人は私だけの貸切だ。青空が広がり静かで何とも心地いい。やがてでかいケルンが登場し、北アでよく見る黄色い角柱の山頂標識が登場、今回はここを山頂とする。なだらかな場所でピークというより台地のような感じで、山麓は見ることができない。

乗鞍岳ケルンと山頂標識 乗鞍岳付近から見た白馬大池

 

 ここでも休憩して、まだ時間は早いが明日登る山を考えて下山にかかる。同じルートをそのまま下るのでつまらないがしょうがない。主稜線を外れて下り始めると登ってくる人とポツポツと見かけるようになったが、この時間になると長野側からガスが上がってくるようになり南の山々の姿は見えなくなってしまった。私が登ったタイミングはちょうど良かったらしい。私より早く下ったのか、それとも小屋に泊まっていた人なのか分からないが今日初めて先行者を追い抜いた。

 蓮華温泉で汗を流してもいいが\800はちと高いので国道に出て道の駅小谷併設の温泉とする。昼の早い時間でお客はおらず久々に独り占めだった。


所要時間
 4:42蓮華温泉駐車場−−6:07天狗の庭−−6:55稜線−−7:32舟越の頭8:01−−8:24大池山荘−−8:45乗鞍岳9:03−−9:21大池山荘−−10:54蓮華温泉駐車場

 

 

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