後立山 北尾根ノ頭、五龍岳、遠見尾根 2007年9月8〜9日

 


 台風一過で好天が予想される週末、仕事を順調にこなして休めることが確定し、どこに登るか悩んだが、下界はクソ暑くなるとのことで今回もアルプス級に登ることにして未踏を考慮して五龍岳南の北尾根ノ頭を狙うことにした。ここなら2日の行程で適度だし、晴れれば五龍で大展望が楽しめるだろう。今年2回目の五龍になるが涼めて楽しめるのならいいだろう。

 今回は初日のコースは短いし遠見尾根のリフトが動いているので下から歩くのではなくリフト利用とした。始発は8:15と滅茶苦茶遅いのが難点だが、それでも五龍山荘にはお昼頃到着するので天候さえ安定していれば初日に北尾根ノ頭まで往復できそうだ。駐車場に到着すると夜間駐車禁止との看板があったので、もっと下にある第4駐車場に車を突っ込んで朝までのんびり寝ることにして晩酌しながらパッキングを済ませて眠りについた。

麓のゴンドラ駅が出発点 リフト終点。ここから歩く

 

 翌朝、上の駐車場に車を移動すると既に10台以上の車が出発準備中だ。まだ始発まで時間があるのでのんびり準備し、朝飯を食べて運行開始30分前に出発、ここはスキー場のゴンドラとリフトで数人乗りのゴンドラ、リフトがグルグル回る構造なので始発の次の便があるわけではなく、よほど大人数が押しかけない限りは時間が無駄になることはない。私の前には30人くらい並んでいたが、案の定10分程度でさばけてしまった。ゴンドラで一気に高度を上げたあとはリフトだが、八方尾根と違ってほとんど標高差はなく、これなら\500節約して歩いても問題なかったなぁと後悔。天気はこの付近はガスだが、おそらくは標高が上がると雲海を突き抜けて快晴だろう。もっとも、この気温ではガスっていないと暑くて死にそうだが。台風が持ってきた暖気のために9月とは思えない暑さだ。

地蔵ノ頭 遠見尾根を小遠見山向けて歩く
白岳もガスの中 中遠見山かな?

 

 僅かに上ると巨大なケルンがある地蔵ノ頭。この先の小遠見山までがトレッキングコース、その先が登山コースとの標識が出ていたが、小遠見山直下からが樹林帯に入って展望が無くなるのも理由だろうか。その小遠見山は北側から巻いて今回はパスとする。中遠見山は樹林が開けた小さなピークで大遠見山は僅かに山頂直下を南に巻いて三角点峰は通らない。西遠見山手前の池で樹林が開けて虫が少ないので休憩とするが、ガスの層は抜けたものの上空には厚い雲が広がって白岳がギリギリ雲の下だが五龍、鹿島槍は完全に雲の中だった。おそらくはある程度の標高から見ると雲海の雲で天候を本格的に悪化させるような分厚い雲ではないと思うが、細かい雨が時々落ちてきて何とも暗いお天気だ。

西遠見山東鞍部。ここで休憩 白岳向けて登る
遠見尾根を振り返る 樹林帯を抜ける

 

 休憩を終えて西遠見山ピークを越え、白岳との鞍部からまとまった登りにかかる。左手には雪が消えて草付きのカールが広がり、天気が良ければ絵になる風景だろうなぁ。鎖場も出てくるが鎖を使う必要もなく通過、森林限界以上の気持ちがいい尾根だが低い雲がたれ込めて気持ちも暗くなってしまう。これでは今日のうちに北尾根ノ頭に登ってもガスで何も見えないからこのまま五龍山荘でテントを張ってお昼寝タイムか。日差しがないのでテント内でも気持ちよく眠れそうなのは助かるが。

白岳山頂 五龍山荘

 

 白岳を越えて縦走路に合流すると唐松岳方面から縦走してきたパーティーも見られ一気に賑やかになった。遠見尾根も賑やかだが、なんせゴンドラスタート時刻がみんな一緒なので、数時間歩くと私がトップグループになってしまい周囲の人数は激減して静かになってしまう。テント場にテントは1つも無く一番小屋に近い場所を確保、この日はテント場はほぼいっぱいになったのでまさに1等地だった。天候は夕方になっても回復せず、五竜のてっぺんは姿を現すことはなかった。明日朝の天気は大丈夫か不安になる。

 翌朝は日の出直前に五龍山頂に着ければいいので出発は4時過ぎとして3時半前に起床、熟睡して夜中にトイレに行くこともなかったので天候が分からなかったが、テントから頭を出すと満天の星空だった。大展望が期待できるので朝飯を食べて勇んで出発、当然ながらまだ真っ暗であるが、先行者のヘッドライトが点々と続いているのが見える。こちらは真っ暗で先が見えなくても3ヶ月前に歩いているのでおおよそのルートは分かるので進行スピードは速く、特にスピードを上げて歩いているわけではないが昼間と同じ程度の速さなので先行者をどんどん追い抜いて先に見えるライトの明かりは2つだけになっていた。そのうち1つは早くも山頂で、もう一つは山頂直下の急傾斜地帯でルートをミスって北寄りでウロウロしている。あそこは6月に登ったときは雪に埋もれて夏道がどうついているのか分からなかったが、結局は左の稜線上に乗ったらルートがあったので巨岩下までは適当に稜線に上がればいいのだ。私がそこに到着する前にご当人は気づいたようで正しいルートに乗り頂上に近づいていた。私の後続が同様にルートをミスらないよう、時々後ろを振り返って私のライトがよく見えるようにしておく。ここは夏道が左に曲がるのだが岩稜帯で足跡が残るわけではないので暗い時はルートを見失いやすい。

日の出 五龍山頂
立山、劔。劔右に五龍岳の影が伸びる 五龍山頂から見た南ア
五龍山頂から見た後立山北部
五龍山頂から見た北アルプス(クリックで拡大)
五龍山頂から見た八ヶ岳

 

 夏場なら出番がなさそうな鎖場を通過、6月に唯一残雪があった場所も全く雪はなくあっさりと山頂の一角に到着、先行者2名がいる山頂に到着した。まだ5時前で日の出まで20分近くあるので、持ってきた防寒着を着て日の出を待つことにした。もうライトがいらないくらい明るいので周囲の山並みも見えており、北ア南限は槍穂まで、後立山は白馬周辺まで、東は逆光で視界が悪いが雲が湧いて志賀高原の山々も見えていないようで、期待していた奥日光も残念ながら雲の下のようだ。八ヶ岳は全部姿を現しており、その右手には富士山、さらに右には南アの山並みだが、塩見から先は稜線に雲がかかっているようでピークがはっきりしない。西側の立山周辺は薬師岳から駒ヶ岳までずっと見えており、入善町付近の下界の明かりも見えていた。

キレット方面に下り始める ライチョウがお出迎え
五龍岳が高くなっていく 2645m峰。北尾根ノ頭はまだ先
2645m峰から見た北尾根ノ頭 北尾根ノ頭
北尾根ノ頭山頂。背景は五龍岳 北尾根ノ頭から見た鹿島槍
北尾根ノ頭から見た牛首山 北尾根ノ頭から見た五龍岳と東谷山
北尾根ノ頭から見た劔岳北方稜線

 

 雲の向こうから登ってきた太陽を拝んでから北尾根ノ頭に向かう。GPSの電源を入れて距離を確認すると約1.4kmで、途中に見える顕著なピーク(2645m峰)は目測でそんな距離があるとは思えず山頂はもっと先のようだ。五龍からの下りはもったいないほどグングン下っていき、帰りを考えると悔しいが地形ばかりはいかんともしがたい。岩稜帯の急な下りが続くが無雪期ならば特に危険はなく、正面に鹿島槍を眺めながら進んでいく。最初の鞍部から2645m峰までは細かなアップダウンで岩峰を越え、鎖場もあるがこれまた危険個所はない。2645m峰で大きく標高を下げるが、ここまで来ると北尾根ノ頭は近く、日の出からしばらくたって気温も上がってきたので防寒着は不要と判断、ザックをデポして往復することにした。緩やかな尾根の先には尖ったピークがあり、それが北尾根ノ頭のようだ。直下には2つの梯子があって登り切ると山頂だった。山頂標識はないがGPSが山頂を示していた。ここは五龍と鹿島槍の中間地点より五龍寄りに位置するが、どちらも同じくらいの距離に見える。ここまで来ると鹿島槍まで縦走したくなるが、土日2日の日程とマイカー利用では無理なのでおとなしく戻るしかない。

東谷尾根と東谷山 五龍岳山頂から見た東谷山
五龍岳山頂から見た後立山北部 五龍岳山頂から見た清水尾根、不帰岳

 

 五龍山頂に戻ると朝よりは人数は減ったが未だに次々と登山者が空身で登ってくる。南方向は徐々に雲が湧いてきて南アは完全に見えなくなり槍穂も雲の中に隠れてしまった。長野側の雲海は徐々に背が高くなり五龍山荘付近にかかるようになってきて、下りでは視界はなくなるが日差しが遮られて涼しくていいかもしれない。6月に登った東谷山は緑一色で凄い藪だろうな。雪に埋もれていた鞍部の池も出現して青い水面が見えていた。

五龍岳から下る 青空に映える五龍山頂
稜線西側を巻きながら下る テントは私のしか残っていなかった
五龍山荘から見た五龍岳 白岳から見た五龍岳

 

 山荘に戻ってテントをたたみ、白岳を越えて遠見尾根を下山、ガスの中だが気温は高くて汗びっしょりになり中遠見山でたまらず休憩、うちわで扇ぎながら体を休めるとちょうどいいくらいの気温なのだが、体を動かすには高すぎる。その後は先行者のペースに合わせてゆっくり歩き、リフト終点駅に到着した。

 


所用時間

09/08
リフト終点−0:05−地蔵ノ頭−1:11−中遠見山−0:33−大遠見山直下−0:25−西遠見山東鞍部(休憩)−1:00−白岳−0:05−五龍山荘(幕営)

09/09
五龍山荘−0:41−五龍岳−0:47−北尾根ノ頭(休憩)−1:04−五龍岳−0:26−五龍山荘(休憩)−0:37−西遠見山−0:24−大遠見山直下−0:27−中遠見山(休憩)−0:16−小遠見山直下−0:36−地蔵ノ頭−0:03−リフト駅

 

 

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