八ヶ岳 赤岳、横岳、硫黄岳 2007年9月22日

 

 

 今週も3連休であるが、天気予報では初日土曜日は全国的に晴れるが日曜、月曜は日本海側の秋雨前線が南下して日本海側から雨になるとの予報であり、テントを背負って出かけると雨に降られる可能性が高い。日帰りにするとしても土曜は真夏並みの気温になるとのことでアルプス級の山でないと暑くて死にそうだ。アルプス級で日帰り可能となれば、未踏峰は無いがしばらく行っていない八ヶ岳が東京から近くて適度だろう。マイカーなら美濃戸まで入れるので標高差1500m程度で最高峰赤岳まで登ることができ、硫黄岳まで周遊すれば日帰りとしては満足できるコース設定だ。このコースは以前歩いたことがあるが、上天気が期待できる日に登りなおすのもよかろう。先週登った日光白根が見えるかもしれない。

 会社が終わって夕方の天気予報を見ると日月は山間部は雨の予報だったので、予定通り八ヶ岳に向かう。諏訪南ICで降りて原村目指して直進、突き当たりを左折してしばらく走ると美濃戸口分岐のY字路で右斜め前に入り別荘地を上がっていく。美濃戸口バス停で左のダートに入り、川を渡ってガタガタ道を1速に落として走り、林道が分岐して合流する近くに車を置いた。美濃戸に有料駐車場(\1000/日)があるが、20分の歩きでタダになるなら歩いたほうが財布にやさしい。パッキングをしているとポツポツと車が美濃戸に上がっていくが、明日から連休なので駐車場も満杯近くになるだろうか。

美濃戸山荘 北沢、南沢分岐

 

 翌朝、まだ暗い時間にヘッドライトを点灯して出発、さすが標高が高いので涼しく、林道の傾斜がゆるいので汗をかかずに楽々歩いていく。美濃戸の山荘群を過ぎて南沢分岐に入り沢沿いの道をライトを頼りに歩くが、沢を渡るため曲がるところなどは昼間なら間違うことは無いが視界がない夜間は直進しそうになる。薄明るくなると先行者の姿が見えるようになり、後にも登山者の姿を確認できた。後の単独男性は私と同じような速さで歩いているのでほとんど距離は変わらず常に足音が聞こえる状態だったが、傾斜が緩くなってピッチが上がったのか接近してきたので追い越してもらった。私が日帰り装備で他人に追い越されるのは非常に珍しい事態だが、今日の行程はさほどきつくないし時間の制約も特に無いので急ぐ必要もない。

行者小屋手前から見た大同心、小同心 行者小屋から見た赤岳
行者小屋 阿弥陀岳分岐
行者小屋を振り返る 稜線を目指す
八ヶ岳の峰々がずらっと並ぶ

 

 行者小屋手前で大同心、小同心、それに赤岳が見えるが、稜線はすっきり晴れていて展望が期待できそうだ。気温は肌寒いくらいに感じたので温度計を見ると5度まで下がってきた。休憩するには寒いが登るには快適な気温だ。小屋を過ぎて文三郎道から赤岳に登ることにして阿弥陀岳分岐を右に見送って左へと登り始める。傾斜が急なので効率よく高度を稼ぎ、みるみるうちに小屋が低くなっていき硫黄岳の眺めがよくなってくる。ある高度まで来ると急にむっとした暖かさを感じたのでまた温度計を見るとまだ日影なのに10℃を指しているではないか。どうやら逆転層が発生しているようでその境界がこの付近の高さらしい。ここのような急な登りで運動密度が高い場所こそ気温5度がちょうどいいのだが。

稜線付近から行者小屋を見下ろす 稜線から見た阿弥陀岳
稜線から見た中央アルプス

稜線から見た槍穂

 

 中岳との道を合わせて赤岳南面を巻くように付けられた岩稜ルートを歩くようになると右手遠くに雲の上に頭を出した山脈が見えたので、最初は南ア北部かと思った。しかし、その頭の形が私が知る南ア北部の連なりの形と合致せず、どの辺りが見えているのだろうと頭をフル回転させたところ、パターンがぴたり一意する山が思い浮かんだ。中央アルプス中央部である。右手の「島」が木曽駒から宝剣にかけての一帯で左の島が空木周辺に間違いない。。振り返ると阿弥陀岳が立ち上がり、大人数のパーティーがまさに登っている最中だ。こちらのルートは誰もいないかと思っていたらもう下山してくる人とポツポツとすれ違うようになった。

岩稜帯を登る そろそろ赤岳
赤岳直下から見た竜頭峰 赤岳山頂
赤岳直下から見た権現岳
赤岳から見た阿弥陀岳 赤岳から見た富士山
赤岳から見た横岳、硫黄岳 赤岳頂上山荘から見た横岳

 

 主稜線に合流し岩稜帯をさらに登ると久しぶりの赤岳山頂で、行者小屋発と思われる登山者で賑わっていた。天気はいいのだが下界は雲海に覆われて東側では金峰周辺から南側の山並みは見えるのだが、それ以北は一面の雲ばかりで北関東方面はまったく見えなかった。北に目を移すと硫黄岳付近まで東から押し寄せる雲海の雲がかかり始めており、それ以北は雲に飲み込まれかけていた。時間とともに赤岳まで上がってくるだろうか。南アは甲斐駒、仙丈ケ岳、白峰三山、鳳凰三山が雲の上だった。

 途中で追い越され行者小屋で順位が入れ替わった若い単独男性も上がってきた。私から遅れること数分と、本格的登りにかかっても速いペースだ。話を聞くと中津川在住の人で私のHPも見ているとのこと、世界は意外に狭いものだ。私と同じ考えで、天気がいいのは今日だけと判断して適度な日帰りができて涼しい標高の八ヶ岳にしたとのことで、コースも私と同様に天気さえよければ硫黄岳周遊とのこと。硫黄岳付近はガスがかかったり晴れたりと微妙な情勢だが、上空は晴れているので雨の心配は無いので、今の状態なら登ってもよかろう。なんだかんだで1時間以上赤岳に陣取ってしまった。まあ、今日は急ぐ必要もないし、下界に下りても暑いだけだからいいだろう。

赤岳を下る 赤岳展望荘
赤岳展望荘付近から見た赤岳 ガスがかかる横岳方面
岩峰を巻きつつ稜線を進む 三叉峰が見えてくる。奥は横岳
三叉峰山頂 横岳山頂

 

 男性は先に出発し、私も後を追う。さすが赤岳は八ヶ岳主峰なので次々と登ってくる。私が下り始めたらガスがかかり始めたので、これらの人が山頂に到着する頃には展望があるかどうか微妙だろう。赤岳展望荘を通過し地蔵尾根分岐を見送って横岳へと向かう。まだこの頃はガスったり晴れたりの繰り返しでまあまあ展望が楽しめたのと同時に日差しが暑くて微風が遮られる巻き道になると汗が噴出した。地蔵尾根分岐を過ぎると登山者の数は半分以下に減った。岩峰を右に左に登山道は巻き、三叉峰も僅かに巻いて横岳山頂に到着した。

横岳から見た小同心 横岳から見た大同心

 

 さきほどの赤岳とは違って休憩しているのは男性1人だけで、ガスが覆って周囲の眺めは無く、眼下の小同心も霞んでしまっている。横岳山頂から小同心へは尾根の緩やかなところに下る直前で2〜3mの壁があり、岩に慣れた人なら上り下りできるのだろうが、私くらいのレベルでは微妙なところだ。以前ここに来たときには結局はこのルートは使わずに稜線北側から岩壁帯の下を巻くルートで小同心に立ったのだった。小同心を覗き込んでいると休んでいた男性が小同心に行くのかと話しかけてきてきたが、以前登ったことがあり、この下は最後が3mくらいの壁で降りられるかどうか微妙なので行かないと回答した。その後男性と話をしたが、300名山が終わったので今はトップ100高山を狙っているとのこと。山渓で標高一覧リストが掲載されたことがあるそうだが、そのトップ100とのことで、日本山名事典とどこが異なるのかは知らないが、トップ100だと標高2800mくらいだろうか。掲載されていそうで一番ヤバいのは間違いなく穂高の明神岳だろう。あとはヤバそうなところは地形図記載の山では思い浮かぶところはなく、山名事典のみ記載だと北鎌独標や小槍などがその部類に入るだろう。あとは道は無いかもしれないが薮もなく踏跡程度はある山がほとんどではなかろうか。後立山の旭岳は登ったとのことで、立山の龍王岳について聞かれたが、あれは特に問題無しに簡単に登れたのでその状況を話した。もしかしたら 100高山に大同心と小同心が入っていて、それを狙いに来たのか偵察しに来たのかもしれない。大同心は稜線から安全な尾根が続いているのでそのまま往復できるし、小同心はこの岩壁の西側基部を巻く踏跡があるので、そこから登れば危険箇所は無いと教えておいた。

小同心への踏跡入口 ブロッケン現象

 

 この後、赤岳の下りで追い越した中津川の男性も横岳山頂に合流、再び話に花が咲いた。徐々にガスが濃くなってきて周囲は見えないままになってしまったが、今日は雨の心配は無いだろう。今年最後の夏山かな。中津川氏が最初に出発し、100高山男性が次に、僅かに遅れて最後に私も出発し、小同心への踏跡入口を教えて先に進んだ。男性は無事登れただろうか? ガスっていたので少し離れるともう様子は見えなくなった。

硫黄岳山荘 だだっ広い硫黄岳山頂

 

 横岳から硫黄岳山荘への下りは大きなコマクサ群落があるが、この時期では花は終わって枯れていたのはしかたない。鞍部の山荘を通過し、緩やかに硫黄岳へと高度を上げていく。巨大なケルンが点々と続き、どれだけガスってもいい目印になりそうだ。硫黄岳山頂は目前という位置で中津川氏が休憩しているのを発見、こちらは山頂を目指す。

 広大でなだらかな硫黄岳山頂では休憩して昼飯中の登山者がたくさんいた。あまりに広い山頂なので、どれほどの人が押しかけても満杯になりそうにない。これで3度目の硫黄岳だと思うが、なぜか何回来てもガスで展望が無い、相性が悪い山だ。再び中津川氏が追いつきおしゃべりしながら休憩し、出発地は同じく美濃戸なので一緒に下り始めた。樹林に入ってすぐはもわっとする熱気が上がってきたが、下っていくとすぐに涼しくなった。とは言っても日中だからわれわれが登った早朝よりは暑く、今登っている人は暑いだろうなぁ。

赤岳鉱泉 林道終点

 

 大同心、小同心への岩登りルートを左に分けて赤岳鉱泉に到着、ここでちょっと休憩の中津川氏と別れて歩き続ける。林道終点には小屋関係者の車が数台止まっているが、一般車は美濃戸までだからテクテク歩く。林道がうねった部分では面倒なのでショートカットして美濃戸に到着、もう少々歩いて車に戻った。

 

9/22
4:44美濃戸−−5:06美濃戸山荘−−6:53行者小屋−−7:37阿弥陀岳分岐−−7:44キレット分岐−−7:52主稜線−−7:56赤岳9:02−−9:19赤岳展望荘−−9:22地蔵尾根分岐−−9:49三叉峰−−9:59横岳10:45−−11:06硫黄岳山荘−−11:23硫黄岳12:05−−13:06赤岳鉱泉−−13:43林道終点−−14:10美濃戸山荘−−14:30車

 

 

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