南信 大川入山、横岳 2007年11月13日

 


 週末は土日とも悪天の予報で山には行けそうもなく、会社で仕事を片づけて天気がいい平日に代休でも取得して山に行こうと休日出勤して2日分の仕事を進めて、好天が予報された火曜、水曜に出かけることにした。もう北アの未踏2000m峰は雪に覆われているので2000m以下の山に狙いを定め、恵那山南部の大川入山まで足を延ばすことにした。ここは木曽山脈南端にあたり標高1900mを越える最後のピークであり、お隣の蛇峠山に登ったときから気に掛かってはいたが、いかんせん東京から遠いことと登山道があるのでいつでも登れると後回しにしてきた山である。雪で閉ざされて登れる山が限られてきたこの時期にはちょうどいいだろう。

 登山口の治部坂峠は長野/岐阜/愛知県境付近なので正直に高速を使うと軽自動車でも高速代は片道\4000を越える。今回は諏訪南ICまで走って杖突峠を越えて伊那に入り、伊那ICから飯田ICまで走ることにした。通勤割引も含めて\1000くらいの節約になった。その代わり治部坂峠着は日付が変わるかどうかの時間で、登山口探しにも時間がかかった。地図を見ると峠より僅かに東から車道が上がっているが、その入口には案内標識が無く、商店等の私道と区別が付かずに何度かうろうろしてやっと探し当てた。国道から少し入れば地図付きの看板があるのでここでいいと分かるのだが、国道分岐にこそこの看板が欲しいところだ。落ち葉に覆われた林道を上がり大川入山登山口の案内に導かれて登っていくと車止めの手前に登山口があった。この付近は道幅が広いので路側に駐車可能だが、手前に短い行き止まりの道があったのでそこに車を置いて晩酌開始。周囲は一面の笹と唐松の植林で、登山道がなければいきなり笹藪漕ぎの世界だ。どうせ明日の予定は半日程度なのでのんびり寝ていてもいいやと目覚ましをかけずに寝た。

大川入山登山口 檜植林帯を登る

 

 翌朝、明るくなってから目を覚まし、お湯を沸かして朝飯を食べて出発だ。登りはじめは廃林道でジムニーなら登れそうな道だが、すぐに細くなって人が歩くだけの幅になってしまう。上部には笹に覆われた上水道か何かの施設があったが、この荒れようでは今では使われていないのだろう。笹があるのはこの辺りまでで、沢を橋で渡ってからは檜植林帯に変貌して笹は消えて無くなった。もしかしたらカラマツを植林したから笹が繁茂したのだろうか。今日は暖かいはずだが吹く風は冷たい。

登山道には僅かに雪が残る 樹林の切れ間から大川入山が見える

 

 植林帯が終わるとブナ科の落葉広葉樹林帯に変わりグングン高度を上げていく。1,2カ所ガレの脇を通過する箇所があり、右手には緑の絨毯に覆われた端正な三角形のピークが見える。あれが大川入山だろうか。まだまだ遠い。こんなに南の山でこんな標高なのに、上空が開けた場所では登山道脇に雪が残っているので、アルプス級は根雪になるくらい積雪があったかも知れない。

横岳三角点。標識無し 横岳最高点

 

 傾斜が緩んで最初のピークに出るとちょっとした広場が登場、三角点があり横岳のようだ。ただし山頂標識はなく、まさ先に高まりがあるので山頂らしからぬ雰囲気ではある。最高点にも標識はなくただ登山道が通っているだけで広場もなかった。この先はしばらくなだらかな尾根が続くが、樹木の高さが低くなって笹原が広がる場所も多く、ピークでは視界が開けて展望が楽しめる。ここまで南下すると南アルプスでも深南部が近いが、いつもは双耳峰に見えて最も判別しやすい池口岳もこの角度からではピークが重なってそれとは一目ではわからない。ここから見る限りでは雪の白さは分からなかった。

なだらかな稜線を歩く 大川入山はまだ遠い
徐々に雪が増えるが歩くのに支障はない 舞鶴のコルの標識
コルから登りにかかる 山頂付近は気持ちのいい笹原が続く
振り向けば蛇峠山 横岳とその後の稜線

 

 いくつか小ピークを越えて「舞鶴のコル」と標識がある鞍部を過ぎると最後の登りが始まる。樹林が終わって一面の笹原に変貌し、その中に明瞭な刈り払いの登山道が延びている。よく見ると笹原の中に枯れた木が点在しており、以前は樹林だったように思えた。このような光景は奥秩父の東仙波付近と同様で、もしかしたら山火事で樹林が焼き払われて笹原と化してしまったのかも知れない。樹林が無いのは日当たりも展望も良くて寒い時期にはありがたいが、日差しが強い真夏に登る山ではないだろう。でも展望はピカイチで振り返ると南ア南部から三遠南信の山並みが続いている。南ア深南部のすっきり盛り上がったピークは黒法師岳かなぁと思って帰ってからカシミールで確認したらその通りだった。やっぱりあの形はいいランドマークとなる。南で最も大きいのは茶臼山で、あそこまで行くともう愛知県だ。あそこに登ったのは10年以上前の台風の日だったなぁ。

山頂付近で雪が付いたシラビソ登場 大川入山山頂
大川入山から見た木曽御嶽 大川入山から見た乗鞍、穂高
大川入山から見た恵那山 山頂付近のみ雪が多い

大川入山から見た中央アルプス

大川入山から見た仙丈ケ岳
大川入山から見た白根三山、塩見岳
大川入山から見た塩見岳〜荒川岳
大川入山から見た荒川岳〜茶臼岳
大川入山から見た南アルプス(クリックで拡大)

大川入山から見た南アルプス深南部(クリックで拡大)

大川入山から見た磐田市付近の遠州灘

 

 笹原を登り切ったところが大川入山山頂だった。地面にも周囲の樹木にも雪が残っており、三角点と山頂標識があり、少し樹林があって360度の展望とはいかなかった。北側は全く見ることができず、少し先まで歩いて樹林が切れた場所から展望を楽しんだ。恵那山は思ったより離れた場所に見えて、いつも南ア等から見るなだらかなてっぺんではなく細く尖ったピークだった。木曽御嶽はもう真っ白であったが半分雲に覆われている。切れ切れに南アが並び、西側は見知らぬ美濃の山々が連なっていた。風もなく晴れて穏やかで絶好の日和だった。驚いたのはこんな内陸から海が見えたことで、現地ではどの付近が見えていたのか皆目見当がつかなかったが、帰ってからカシミールでえらい手間をかけて写真解析した結果、磐田市付近の海と判明した。

 無人の山頂を独占して展望を楽しみながら飯を食べて下山開始。僅かに下った所の方が南側の展望は良く、写真撮影に最適だった。なだらかで長い尾根を歩いていると平日にもかかわらず数人の登山者とすれ違った。意外に人気の山らしい。最後にすれ違った人は横岳直下で犬を連れた人だった。時間の都合で大川入山までは行けないと行っていたが、横岳少し先のピークでも展望が開けているので楽しめるだろう。これだけ気温が下がると犬も元気らしく、「4WD」の強みもあってホイホイ登っていくそうだ。

 登山口に戻ると増えた車は1台だけで、他の登山者は国道脇の広い駐車場に車を置いたようだ。治部坂高原には入浴が出来る施設があるのだが、スキー場併設のようで今は休業だったので、一番近そうな昼神温泉へ。その名も「ひるがみ」で川を渡った対岸にあり、広い駐車場の施設だった。あまり汗をかかなかったが温泉でさっぱりし、車に戻ったら眠気を感じて横になったら1時間くらい寝てしまった。車の中は日差しが暖かく快適だった。


所要時間
登山口6:59−0:53−横岳7:52−0:53−舞鶴ノコル8:45−0:36−9:21大川入山10:14−0:22−舞鶴ノコル10:36−0:48−横岳11:24−0:36−登山口12:00

 

 

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