奥秩父前衛 小烏山、西御殿、東御殿、馬止根場、大烏山 2007年11月23日

 

旧牧丘から見た大烏山


 ゴトメキ、遠見山から南に続く尾根上には大烏山という山がある。そして稜線から離れた枝尾根には小烏山、もっと下った主稜線上に大久保山と続く。大久保山は登ったが大小烏山はまだで、雪が来てノーマルタイアでは林道が走行できなくなる前に登ることにした。コースであるが、基本的に登山道はないので適当な尾根を登ればよく、もしかしたら笹が出てくるかも知れないが、基本的には植林かブナ科の紅葉落葉樹林でさほど藪は濃くないだろう。登る尾根をうまく選んでやれば両者を結んで周遊できそうなので、どちらかの近くに車を置いて帰りは林道を少し歩くことにした。林道歩きを短縮するには、小烏山は南西尾根を使い、大烏山は南東尾根がいいだろう。先に大烏山に登って小烏山から林道に降りた方が、先にまとめて高度を稼いだ後は下りなので体力的には楽なのだが、地形図を見ると主稜線から小烏山への下りが尾根の形状を成していない斜面を下ることになり、ルートファインディングが難しく逆回りとした。大烏山から下る南東尾根は顕著な尾根なので下りでも迷う心配は無さそうだ。

林道から見た小烏山 小烏山拡大。最後は急傾斜

 

 いつもと比較すれば近場なので高速代が助かる。勝沼ICで降りて北上、大弛峠へと続く道を登りながらロードマップを見て読図し、小烏山南西尾根を乗る越える場所を見落とさないよう注意しながら進んだ。県道が終わって林道になっても舗装のいい道が続くが川を渡って右カーブするので場所の特定は楽だった。左カーブして琴川の左岸を上っていき、ヘアピンで右カーブして次のヘアピンで左カーブすると目的地は近い。それらしき場所を通過したが完全に場所を確認するため次のカーブまで進み、先ほどの場所が小烏山南西尾根であることを確認、逆戻りして尾根より少し戻った場所の土の駐車スペースに車を止めた。今夜は真冬並みの寒気で冷え込んで路面凍結が心配だったが冷え込みのピーク前に到着できて一安心。酒を飲んで寝た。

ここから尾根に取り付く 植林帯を登る
露岩が現れるが問題なし 自然林を登る

 

 翌朝、車の中でも氷点下まで下がって寝袋を2重にして寝てよかった。朝飯を食って出発、7時過ぎだが今日の行程は長くはないので問題なし。まずは南西尾根に乗るために正面の斜面を登り始める。植林帯で薄暗いが僅かに笹がある程度で快適に登っていく。尾根に出ると露岩混じりの自然林になり、石の右側を巻きながら登っていく。徐々に傾斜がきつくなってくるが心配していたより問題なく快調に直線的に登っていく。露岩もあまり大きくないので巻かないでまっすぐ突っ切ったりもできた。

これも問題なし 小烏山山頂

 

 きつい登りが終わって傾斜が緩むと広場が登場し、久しぶりに眼にする「達筆標識」があった。小烏山の山頂に到着だ。標識をよく見ると約1年前のIASの落書きがあったが、群馬からこんなマイナーな山までご苦労である。残念ながら樹林で視界は悪いが落葉した樹木の隙間から大烏山が見えている。今日はあそこまで歩くわけだが思ったよりも近そうだ。

小烏山北側を下る 登りにかかる
樹林の隙間から大烏山 笹藪登場
これでも明瞭な獣道がある 巨岩出現、右から巻く

 

 北側に降りていくと尾根がつながっており、何となく踏跡があるような無いようなである。これまでは全く目印はなかったが藪もなく快調に歩けたが、鞍部から登り返すと徐々に笹が出てきた。しかし先日の黒覆山と違って明瞭な踏跡が着いており藪漕ぎの必要はない。まさかこんな尾根を歩く人間は少ないだろうから獣道と思うが、踏跡のように明瞭であった。傾斜が増して尾根がはっきりしなくなっても獣道は健在で笹藪漕ぎから開放されたまま楽々高度を上げていく。場合によってはこの辺りで右にトラバースして主稜線に出て東西御殿に近道しようと考えていたが、この笹ではこのまま登った方が楽なようだ。延々と続くかと思った笹も巨大露岩地帯で消失、今度の岩はでかすぎて直進できないので右に巻きながら登れそうな笹が生えた隙間を見つけて登っていく。たまにはこんなルートファインディングも楽しいものだ。

なおも登ると笹が薄くなる 稜線に出る

 

 岩を右から巻き気味に登り切ると傾斜が緩んで笹が薄い広い尾根に出て、そのまま登っていくと主稜線に出た。この尾根は登りはいいが主稜線から登ってきたルートを見ると尾根らしくなく、ここを見落とさずに下るにはそれなりの能力が必要だろう。一応目印が付いているが、尾根入口用目印とは分からないだろうな。

西御殿山頂 稜線上には踏跡がある

 

 ここでGPSを出して西御殿の位置を確認するとまだ東なので、荷物をデポして東御殿まで往復することにした。幸い、主稜線上には明瞭な踏跡が付いており、多少の笹があっても問題なさそうだ。落葉した唐松植林帯の尾根を緩やかに下って僅かに登り返したところがGPSが示す西御殿山頂だったが何の標識も広場もなく山頂らしい雰囲気はなかった。ここを過ぎるとどんどん下り始めるが、東御殿に行くにはしょうがない。標高が下がると笹も消失、落葉した見通しのいい尾根で冬枯れの時期は快適だ。右手には乾徳山から黒金山が常に見えているが樹林を通してなのですっきりしないのが残念だ。右手には遠く富士山が見えているがこれも樹林を通してだ。時々、休猟区の看板が現れることを考えてもここを歩く人はそこそこいるらしい。

東御殿山頂 東御殿から見た乾徳山、黒金山
東御殿から見た南ア南部

 

 最低鞍部から登りにかかっても藪はなく、唐松樹林を登り切ったところに三角点が登場、大久保山で見たのと同じ新ハイ井の頭の山頂標柱が立っていた。こちらは広場があって山頂らしい雰囲気があり、南アルプスの方向と、逆の乾徳山方向に視界が開けていた。南アはいくぶん雪が減ったように見え、聖は真っ黒、荒川、赤石は僅かに白く、白根三山だけはまあまあ白かった。

尾根途中から見た南ア
1705mピーク先の鞍部付近のみ背丈の笹 踏跡薄い低い笹を登る
馬止根場山頂 馬止根場西から見た大烏山

 

 同じルートを戻って東御殿を通過、デポした荷物を背負いなおして大烏山を目指す。この尾根は目印がポツリポツリと見られるので大烏山から歩く人もいるようで踏跡もそこそこしっかりしたものが続いていた。1705mピークを越えた先の鞍部で背丈の笹が登場するが、その中にも明瞭な踏跡が続いているので藪漕ぎは無く、距離にして100mもしないうちに低い笹にとって変わり、再び快適に歩けるようになった。 さらに登って1773m三角点峰が馬止根場だが、ここにも新ハイ井の頭の山頂標柱があった。ここはシラビソ樹林で隙間を通しての視界もなかった。

1762m峰への登り 1762m峰
踏跡を追って笹原を下る 大烏山東側鞍部

 

 ルートはここで直角に左に曲がるが、山頂からではなく少し戻ったところから分岐するので注意が必要だ。急激に高度を落とし、低い笹が広がる斜面になるが踏跡が薄いので適当に歩きやすい所を登っていく。ここは膝から腰くらいの笹で密度もそれほどではなかった。登り返したところが1762m峰で、その下りで樹林が開けて展望が開け、大烏山はもちろん南アも北から南まで見ることができた。下っていくと再び笹が広がるようになり、鞍部ではエアリアマップによると林道から登山道があるように書かれているが実際にはそれらしき踏跡は無かった。まあ、この薄い笹原ならどこでも歩けるので問題ないだろうが。

大烏山向けて踏跡を登る こんな標識まであって整備されているようだ
もうすぐ大烏山山頂 大烏山山頂
達筆標識。古い物で裏面署名なし 大烏山から見た琴川ダム
大烏山から見た八ヶ岳、乗鞍岳
大烏山から見た甲斐駒〜鋸岳、中ア
大烏山から見た南アルプス(クリックで拡大)

 

 登りにかかると笹の中には意外にも明瞭な踏跡と多数の目印が続くので迷う心配もなく高度を上げていく。やがて山頂直下と思える場所に出ると左を指して「杣口林道」の案内標識があるではないか。どうやら登山道の付き方はエアリアマップとは異なるようである。右に登ると僅かで頭上が開けて大烏山山頂に飛び出した。牧丘で設置したらしいまともな標識があったのでちょっとビックリ。西は少し伐採されて展望が良く、南ア北部がよく見えている。目を移すと八ヶ岳とその左には真っ白な乗鞍、白岩岳右側に見えている白い頭は木曽御嶽だろう。鋸岳右側には木曽駒付近が見えていた。ここでしばし休憩。

南西尾根に入る 南西尾根は「雛岩・杣口林道」とあった
低い笹の中に登山道と呼ぶには貧弱な道が続く 道は尾根を外れたので尾根を目指す
南西尾根に戻ると唐松植林帯 唐松植林帯の作業道?を下る
明瞭な道が続く。標識もあった 南西尾根から見た小烏山

 

 帰りは登山道を下って見ることにして標識と踏跡を辿ると南東尾根に乗った。下り始めると右に分岐するが直進方向にも標識があるのでそのまま進んだが踏跡は薄くなった。やがて尾根を僅かに右に巻くようになるがおよそ尾根に沿って下っていくが、そのうち右の枝尾根を下るようになって林道歩きが長くなる気配が出てきたので踏跡を外れて南東尾根に乗ってそのまま下る始めた。唐松植林帯で作業道らしき筋があり藪もなく快適に下れる。どんどん下っていくといつのまにか登山ルートと合流したのか標識が落ちていた。まあ、これなら登山道なのか作業道なのかようわからんが。でも古くからある道らしく僅かに笹が生えた区間でも刈り払った跡はないのに明瞭な踏跡が続き、尾根上は踏み固められて笹が生えてこないように見えた。

 

踏跡は尾根を外れて左に下る この堰堤左岸(廃屋あり)に出た
この廃林道が登山口 熊出没注意の看板が目印

 

 そのままどんどん尾根を下っていくが、やがて左に外れて踏跡が下っていく。踏跡はあまり濃くないので尾根を辿ってもいいのだが、登山口がどこなのか確認する意味もあるのでできるだけ正確に踏跡を追うことにする。やがて左手に堰堤が登場、右手には廃屋があり、その前に廃林道があってそれが登山道らしいが踏跡ははっきりしない。沢の右岸を廃林道は下るが、林道が見えてくると左岸に渡り、廃林道ではあるが舗装区間が現れて林道に出た。林道起点からの距離標識は4.4km、杣口3号橋の手前だった。ここには地面に落ちた「大烏山」の標識があったが、もはやこのルートは廃道である。ま、山慣れた人なら問題ないが。降りた場所は南東尾根末端から僅かに東に寄ったところだった。約1kmを歩いて車に到着、予定通りの周遊ができ大満足だった。


所要時間
7:07小烏山南西尾根−(0:36)−7:43小烏山−(0:05)−7:48鞍部−(0:36)−8:24稜線8:29−(0:06)−8:35西御殿−(0:22)−8:57東御殿−(0:26)−9:23西御殿−(0:12)−9:35デポ地点9:48−(0:37)−10:25馬止根場−(0:25)−10:50大烏山東鞍部−(0:15)−11:05大烏山11:37−(0:43)−12:20林道−(0:14)−12:34小烏山南西尾根

 

 

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