富士寄生火山 東臼塚、浅黄塚、西臼塚 2007年12月02日

 


 富士山南側には表富士周遊道路沿いにいくつもの寄生火山があり、いくつかは登っているが未踏もある。この標高になるとそろそろ朝晩の路面凍結が心配だが、日中はまだ問題ないはずで今のうちに登っておいたほうがいいだろう。翌日は仕事上重要なイベントがあり、体調を崩した状態で出社するわけにもいかないので、日曜は軽い登山で終わらせるべく寄生火山をいくつか登って帰ることにした。今回は水ヶ塚、浅黄塚、東西臼塚、場合によっては二子山くらいは登ろうと思う。

 身延市街で買い物を済ませ、南部で温泉に入って芝川、富士宮経由で表富士周遊道路に入る。夕方薄暗い時間なら凍結の心配は無いのでグングン高度を上げていくと、冬季通行止めになった新五合目分岐の温度表示は0度、こりゃ朝方は-5,6度まで下がりそうだ。西臼塚駐車場を過ぎ、水ヶ塚駐車場まで走りながら駐車スペースを探し、水ヶ塚駐車場から西に数100m戻った路肩で寝ることにする。これは東臼塚や浅黄塚に近いからである。ちょっとだけ車の通行はあるが気になるほどの騒音ではなく快眠できた。

 翌朝、車内の気温は-3度まで下がりガラスの水滴はカチカチに凍っていたが、この気温だと寝袋2重はちょっと暑かったかな。お湯を沸かして飯を食い、GPSにデータを入力しようと山名事典を開いて水ヶ塚を探しても無い! まあいいか。まずは車道から離れた東臼塚に向かおう。残念ながら天気は曇りで日差しが無く風がむちゃくちゃ冷たい。笹には霜が降りて白くなっており、ゴアを着ないと濡れそうだ。いやらしいことにこの界隈の両側は笹が立ち並んでいる。立ち木で東臼塚の姿は見えないのでGPSの表示を見ながら真南に来るまで進むとちょうど市境の標識が立っていた。

車道から南の樹林を見ると笹 内部は意外と笹が薄い場所もある

 

 車道南側はシラビソ植林帯が広がり、その下は薄い笹薮が続き、どこも似たような濃さの笹なので適当に下っていく。車道脇はゴミが散乱しているが、ちょっと進むと人間世界から隔絶された野生動物の世界で、鹿道が縦横無尽についていた。笹は微妙に濡れていてすぐゴアを濡らしてしまい、ゴア上下を着ていて正解だった。富士の裾野なので明瞭な地形的特長は無く読図不可能、方位磁石で方位を確認してその方向に進むしかないが、私の場合はGPSがあるので安心だ。笹の薄い部分を選んでジグザグに進んでも最後はGPSが正しい目標位置を教えてくれる。おおよそ南に向かう鹿道をつなげて歩くのがいい。何も無い笹薮を歩くより薄くても鹿道があった方が足元の笹の抵抗がずいぶん少ない。

たまには笹が切れた場所も 明瞭な鹿道が多数ある
溶岩地帯 やっと東臼塚発見

 

 大きくない谷や尾根があるが、笹薮の尾根を乗り越えるのは面倒なので谷の部分を選んで進むと明らかに踏跡と思われる道が現れたが、谷に沿って西に向かっているので再び外れて南に向かうと、青木ヶ原の樹海のようにごつごつした溶岩の上に針葉樹が発達して笹が消えた自然林に入って歩きやすくなる。水が無い谷を横断してなおも進むと正面には笹に覆われたこんもりした盛り上がりが出現、大した標高差ではないが東臼塚に違いない。遠めに見ると笹が密生しているように見えるが、実際に現場に行くと今まで同様に隙間の多い笹薮で何本も鹿道が上がっている。

山頂火口壁の一角 笹が切れて草付きも。この境界を山頂とした

 

 鹿道の1つを利用してまっすぐ上がっていくと笹に覆われたピークの一角に到着、まだGPSは山頂まで50mの表示で尾根に沿って南西を目指すと、左手に窪みが見える。この寄生火山にはちゃんと火口があって周囲を火口壁に囲まれ、その最高地点が山頂らしい。火口壁の真北から上がって左回りに歩いていったのだった。やがて笹が切れて草付きの気持ちのいい場所になり、次の笹薮との境界付近でGPSの残距離がゼロになった。顕著に高い場所はないので火口壁ならどこでも山頂で構わないであろうから、ここを山頂とした。人工物は無く山頂標識も目印等も皆無だった。樹林で視界も皆無なのは残念だった。

中央には火口のへこみがあった 笹が切れた北西斜面を下る
空き缶発見! 廃道? 今は鹿道になってる

僅かながら目印があった

 

 帰りは笹が無い北西斜面を下っていくと空き缶発見、同類がいるようだ。谷間に付いたはっきりした鹿道をつないで北上、やっぱり途中は笹薮横断が必要だったが、先日の黒覆山と比較すればどうということはない密度で、鹿道のお助けまであるので藪漕ぎとは言えない程度だ。車の音が大きくなって車道に飛び出した。


ここから浅黄塚斜面に取り付く 笹が薄いところを選んで登る
山頂部が見えてきた なおも薄い笹を登る

 

 続いて浅黄塚である。市境付近は強固な笹薮で突っ込む気が起きないので西に進んで薄そうな場所を探し、道路が左カーブするところで斜面に取り付いた。この付近は明るい自然林で地面は薄い笹に覆われている。浅黄塚はほぼ真北にあるのでこのまま斜面を高いところ目指して登れば自動的に山頂到着できるので、東臼塚より気を使わなくて済む。ここの笹の密度は東臼塚と同等でそれほどではなく、できるだけ薄くて歩きやすい場所や鹿道をつなげて標高を上げていく。落葉した自然林が続き、笹の高さは胸から肩程度なので前方の視界も良く、天候も回復して頭上は青空も見えて先ほどまでの暗い東臼塚とは対照的な雰囲気だ。

時々笹が切れるとほっとする 笹に覆われた浅黄塚山頂
下山時、空き缶発見 帰りも笹原を歩く

 

 傾斜が急な区間も鹿道で労せずしてクリア、なだらかなエリアに入って山頂近しと思ったがGPSによるとまだ先で、笹原の中を歩いていくと笹が切れて落ち葉に覆われた気持ちのいい斜面登りとなった。このまま笹が消えればいいのだがすぐに笹原が復活、しかし薄い部分が多くて藪漕ぎとは程遠い。いよいよ前方に高い場所が見えなくなり、大きなブナが点在する山頂に到着した。なだらかであるが最高点に違いないが、ここには火口の窪みはなく、目印や標識も無かった。東臼塚同様、訪れる人が少ない山であった。

西臼塚駐車場から見た富士山 遊歩道入口
遊歩道を離れて直接西臼塚目指す 西臼塚が見えてきた

 

 車道に出て車に戻り、西臼塚に向かう。西臼塚駐車場に車を突っ込んで、車道反対側の遊歩道らしき明瞭な道に入る。地図によるとこの道は西臼塚北側を通過するようだが、どうも車道からの入口が地図表記と異なり、どこに連れて行かれるのか不安なので、さっそく遊歩道から外れて直線的に西臼塚を目指した。この界隈は笹は皆無で落葉広葉樹林で視界もあり、里山歩きのような感覚だ。ただし相変わらずのっぺりの地形なので方位磁石必携だが。進んでいくと前方に小さなピークが見えてきた。あれが山頂だろう。手前に倒木帯があり左に迂回して山肌に取り付くとシラビソ植林帯で、きれいに整備されていた。

植林帯を山頂向けて登る 山頂一角には山の神
西臼塚山頂 中央には火口の凹み

 

 登りきってピークの一角に出ると、東臼塚のように中心に火口の窪みを持ったミニチュア火山だった。そして山頂には遊歩道が通っており、木々には種類が書かれたプレートが巻かれていた。な〜んだ、あのまま遊歩道を歩けばよかったのか。火口壁はどこも同じような高さだが、GPSの示す北西付近、ちょうど案内標識がある付近を山頂とした。

 車に戻り今後の行動を考えたが、明日の仕事のことを考えて早めに切り上げることにした。山登りの疲労よりも車の運転の疲労の方が影響が大きいから、早く帰って寝たいところだ。ロードマップを見て御殿場から山中湖、道志経由で相模湖に出るのが早いと判断、山中湖で渋滞するかと思ったらすんなり通過、お昼過ぎには帰宅できた。


所要時間
7:00車道−(0:31)−7:31東臼塚−(0:25)−7:56車道
7:58車道−(0:23)−8:21浅黄塚8:25−(0:16)−8:41車道
9:12駐車場−(0:13)−9:25西臼塚−(0:10)−9:35車道

 

 

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