大菩薩前衛 サカリ山、中指山 2008年2月24日

 


 今週も再び丹波山村の大菩薩へと続く稜線へと向かうことにした。未踏ではサカリ山、中指山があり、その中間付近鞍部に白糸の滝から破線が上がっている。ネットで調べてみるとここを歩いた人の記事があったので今でもちゃんと道があるらしいこと、白糸の滝駐車場までは車で入れることは確認できたので、南斜面で雪が少ないことが期待できるのでそこから両山を往復することにした。問題は中指山の往復で、緩やかな稜線が続いているので積雪が多くてラッセルに苦労する可能性があるが、ここ1週間は好天が続いたので雪も少しは解けて少なくなっているかもしれない。

 早朝の青梅街道を通って今度は小菅村へ。猛烈な風が吹いて青梅から先は道端の木の枝が降ってくるし、道路には桶やらプランターやらベニヤ板やら鉄板やら、あらゆるものが散乱している。奥多摩に入ってからは落ちてきた杉の枝が車を直撃し右のドアミラーがバタン!と音を立てて畳まれてしまった。登山口に到着してから調べたら右側面のウィンカーライトがもげているし、右前方のボディーが凹んでいた。今まで1度もぶつけたり擦ったことがないのに、こんなことで凹んでしまうとは、と考えながらも私は実用主義で外見は気にしないので問題なし。今乗っている車は致命的故障が発生するまで乗り続けるつもりなので、傷で査定が下がる心配もしなくていい。

白糸の滝駐車場 登山道入口

 

 小菅村の中心部を通過してなおも西に進むとやがて未舗装の林道に変わり凍結箇所が多くなってきた。基本的には南向きの斜面に道路が付けられているが南側は植林で日当たりが悪い箇所が多く、雪が押し固められてテカテカに凍っている場所が多く、車を慎重に進めた。このまま悪い道が続くのかと思ったら突如としてきれいな舗装道路に変貌、その直後に白糸の滝駐車場が出てきた。登山口がどこにあるのか具体的に調べてはこなかったが、たぶんここからある可能性が高いが標識が見当たらない。まずは白糸の滝がある沢の位置を確認するのが先決でもっと先まで車で入ったらすぐに白糸の滝入口だった。地形図ではこれより手前の尾根に破線が付いているので駐車場の目の前の尾根がそうだろう。標識は無いが立派な道が上がっているので、たぶんこれが登山道だろう。

モノレールがある 数カ所で登山道を横切るモノレール。邪魔だ

 

 登山道とおぼしき道を上がると、先日の岩岳で尾根を間違えたときのように作業用モノレール格納庫があった。いったいどこに通じているのだろうか。この先で道があやふやになったが、左手を巻いてジグザグに上がっていくらしい。格納庫手前で尾根に忠実に歩けばそのまま登山道に乗れたようだ。しかし、この登山道はジグザグに登っていて、直線的に登るモノレールの軌道が何度も横断しており、跨ぐにも潜るにも半端な高さでやっかいだ。普通の登山道を横切るならちゃんと考えるだろうから、このルートは登山道ではなく作業道に格下げなのだろうか。まあ、最終的にはこの尾根を登っていけばサカリ山への主稜線へ出ることができるので、藪さえなければ道があっても無くても関係無いが。

巻き道が続く 尾根目指して小さな沢を登る
傾斜が急になったところで右斜面を登る 間伐された植林帯を登る

 

 このまま尾根を登ってもいいが道があるのでそれに従う。尾根の左を巻いていき、どこかでジグザグって尾根に乗るらしい。しかし歩いていってもそれらしき曲がり角は無く延々と巻き道が続いていく。周囲は雪が積もっているので分岐を見落としたのかもしれないので、適当な場所で尾根に取り付きなおすことにした。もしかしたらこのまままっすぐ行っても稜線に出るのかもしれないが確証はない。土石流が押し出した小さな沢を登っていき、傾斜がきつくなってからは沢を離れて右手の檜植林帯の斜面を登っていく。間伐したようで伐採された檜が地面に散乱して邪魔であるが、コケてもこの木て止まるだろう。

尾根に出るとモノレールが再登場 駅のホームを見たのは初めて
こんな距離表示まであった

 

 やっと急斜面を登りきると、尾根上にはなんとさっきのモノレール軌道があった。最初からモノレールをそのまま辿れば良かったのか。軌道周辺は木が伐採されて上空が開けているので積雪が多くて歩きにくいのが難点だが藪は皆無なのはありがたい。途中でモノレールの駅ホームが出現、作業用モノレールはたくさん見てきたがホームを目にしたのは初めてだ。しかもよく見ると軌道脇には距離標識まであり、サービスがいい。下山時はモノレールに沿って下ったが、もう一つホームがあり、そこは待避線まで設置してあった。おまけに樹木には種類を書いた札まで下がっているし、林業作業用とは思えないサービスだ。

モノレールを離れて巻き道を行く 主稜線峠(十文字?追分?)で大菩薩縦走路と合流
登ってきた巻き道 追う下から見た石尾根

 

 尾根を上がると登山道はモノレールと離れて左に巻いていくが、これは地形図表記のとおりなのでそのまま歩くと、主稜線の峠に出た。ここで初めて標識登場、大菩薩までの縦走路がある。今来た道は小菅村、峠を越えて反対側に下るのは丹波山村方面だ。地形図によるとこれから先は縦走路は稜線南側を巻いているので雪は少なくて済みそうだが、そのままでは山頂を行き過ぎてしまうのでどこかで道を外れてサカリ山を目指さなくては。こういうときにGPSが役立つだろう。南斜面なので今まで同様雪が少なくてラッセルの苦労は皆無であった。

ここからサカリ山を目指す。笹は薄い 露岩混じりの小尾根を登る
山頂近くは雪が深い サカリ山山頂。ピンクリボンがあるのみ

 

 GPSで山頂が真北に見える場所で薄い笹の斜面に取り付いてサカリ山を目指す。笹の密度は薄くて歩くのに支障は無く、適当な小尾根が出てきたところで尾根上を辿ることにする。照葉樹が混じり露岩も登場するが危険箇所はなく順調に高度を上げていく。山頂に近づくと笹が無くなるが積雪が増えてラッセル状態になってきた。傾斜が緩いところは毎度こんな感じで、しかも照葉中で日当たりが悪いので雪が解けないのだろう。ワカンを履こうとも思ったがもうすぐ山頂なので我慢して脛までのラッセルを続け、待望のサカリ山山頂に到着した。

 何かしらの山頂標識があると予想していたが、標識類は一切無くてDJF氏が使うのと同じピンクリボンがぶら下がっているだけだった。手製の標識くらいあっても不思議ではないのだが。樹林で展望は無く、北風が強く寒いので南斜面の雪を踏み固めて(低温でパウダースノーだから固まらなかったが)断熱シートを敷いて休憩した。気温は-6度で朝から変わらない。強い寒気が入っているだけのことはある。たしか上空1500mで-6℃だったと思うので、この高さでは-6度か。

中指山目指して下り始める 途中は笹藪。ここは薄い区間
峠から再び稜線を歩く。作業道あり 作業道はモノレール終点駅まで

 

 続いて中指山に向かう。こちらの方が標高は低いが傾斜が緩い稜線が続くのでラッセルの確率は今までより高いといえる。とりあえず峠までは下りが続くだろうからラッセルの心配は無い、といいつつも面倒なので今のうちにワカンを装着しておこう。山頂からの下りは照葉樹のトンネルで、鹿の足跡が続いている。この足跡はしばらくは正確に稜線上に続いていていい道しるべになった。少し下ると笹が出てきて場所によっては藪状態になってしまい周囲の様子が見えない。途中で左手に見える尾根を主稜線と思い込んでふかふかの雪の急斜面を下ってしまい、ミスに気付いて登り返すときはピッケルが欲しかった。なおも笹の尾根を下っていくと登りに通った小菅/丹波山村へと分岐がある峠に到着、今度は稜線上を直進だが今までのような笹薮ではラッセルと同等のいやらしさだ。しかし意外にも明瞭な刈り払いがあって案内には「作業道」と書かれているではないか。もしかしたら中指山でずっと続いているのかなぁと思ったら、少し入ったところでモノレールの「終着駅」があった。ここにも木のホームがあった。作業道とはここへの道だったのだ。

鹿の足跡が続く稜線を行く。雪は少ない 笹があるのはここだけで全体的に藪は無い

 

 これで道はおしまいになったが、気がつけば笹はいつの間にか消えうせて藪が無い自然林の尾根になっていた。鹿道に導かれてピークを僅かに北側から巻いて稜線に戻り、あとは小さなアップダウンを繰り返しながら稜線を歩いていく。思ったよりも積雪は少なく足首程度の深さが続いたが、風が猛烈になってきて北からの強風で北斜面の雪が巻き上げられて地吹雪になってしまった。顔に当たると相当痛く、手で顔を隠しながら稜線のやや南側を歩いた。さて、地吹雪がうまく写真に写っているだろうか。

強風で雪が舞い上がる 中指山山頂

 

 この尾根はたまに歩く人もいるようで多少ゴミを見かけたし、古びた赤テープも見られたが、雪の上には人間の足跡はなかった。いくつかピークを越えて1350m峰で尾根が2分したので地形図を引っ張り出して方向を確認、左の尾根が本物だ。この次のピークが中指山だ。緩やかに下って緩やかに登り返し、特に広場等も無くだらっとした高まりが中指山最高点で、地形図ではこの先の下った場所に設置されている三角点を山頂としているが、日本山名事典では1330mの最高点を山頂の標高としているのでここが山頂ということになる。三角点もないので標識等は無いがしょうがないだろう。ここでも南側で風を避けて休憩をとった。

樹林の隙間から見たサカリ山 モノレールがある尾根の分岐ピーク

帰りは延々とモノレール脇を下った

 

 帰りのアップダウンは足に堪えたが、ラッセルが少なかった分だけまだマシだろう。モノレールが設置されている尾根への分岐ピークで南に入るとすぐにモノレールの軌道が登場、もうワカンの出番は無いのでザックの後ろにくくりつけた。体が温まったので途中の駅で防寒着を脱いだが、ザックの中のペットボトルの飲料が凍っているではないか。このくらいの気温の山は何度も登っているが凍ったのは初めてだ。寒気の影響でいつもより寒いと言うことだろうか。あとは一直線にモノレールの軌道に沿って下っていった。


所要時間
7:52白糸の滝駐車場−(0:38)−8:30巻き道を離れて沢を登る−(0:26)−8:56尾根に出る−(0:14)−9:10峠−(0:10)−9:20登山道を離れてサカリ山目指す−(0:26)−9:46サカリ山10:10−(0:28)−10:38峠−(0:56)−11:34中指山11:51−(0:46)−12:37分岐ピーク−(0:29)−13:06駐車場

 

 

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