中ア中部 簫ノ笛山 2008年11月15日


 簫ノ笛山は空木岳から東に伸びる池山尾根の枝尾根上にあり登山道は無い。楽をするなら池山尾根を登って1969m峰から南尾根を下るのがいいかもしれないが、登山口を空木岳登山口とした場合はそこまで登り返すのに労力が必要だ。下から登る場合、空木岳登山口に至る林道の途中から北東尾根に取り付くか、養命酒の工場付近から伸びる林道を経由して南東尾根を登るかのどちらかだろうが、このエリアは笹が深いので南向きの尾根を登るのは得策ではなく、最も有望なルートは北東尾根だろう。ネットで検索をかけると2件ほど登山記録を発見できたが、1件は1969m峰からの往復でもう1件(伊那谷の山)が北東尾根を往復していた。それによると笹の中に途切れ途切れに踏跡があるとのことで完全な藪ではないらしい。昨年秋に登ろうと林道入口まで行ったのだが強い冬型で早朝から雨となり断念した経緯がある。今回は午前中は天候は持つようなので大丈夫だろう。

 何度も通った道なので林道入口はすぐに分かり、昨年駐車した場所に車を止めて寝た。明日の準備で地形図を取り出そうとバッグの中を探したが地形図が無い! エアリアマップはあるのだが縮尺は5万で林道も書かれていないのが痛い。まあ、沢を渡って適当に斜面に取り付けば、あとは上を目指せば山頂にたどり着くはずなのでエアリアマップでもいいか。ただし目印は付けないとマズそうだ。満月で周囲は明るく明日も快晴が予想できた。しかし明け方になると空の半分以上は雲に覆われ隙間から僅かに星が見えるだけになっていたが、雲の厚さは薄いのでしばらく雨は大丈夫そうだ。

偽林道入口のゲート。100mくらいで終点 当初計画の林道ではなかったが今回使った林道入口
林道入口の標識 普通車でも入れるが徐々に廃道化していく

 朝飯を食って出発。ところが目の前の門を越えて100m歩くと建物があってそこで林道が終点! あちゃ〜、これは予定の林道ではなかったのだ。しかしエアリアマップには林道が書き込まれていないので正しい林道入口が分からない。たぶんもっと上だろうと林道を上がっていくと200mくらいで小尾根を乗り越えるところに標識があり、左は「今椰沢」となっている。エアリアマップには沢の名前は書かれていないが、地形図の林道はおそらくこれだろうと入ってみるとことにした。林道の付き方がどうだったのか記憶は定かではないが、まっすぐ谷に下りていたようなそうでないような・・・。

カモシカと遭遇。中アではよく見かける 今椰沢手前で林道終点
堰堤が2つ連続する 今椰沢は水量少なく問題なく渡れた

 この林道は最初はトラバースして谷に向かうと思いきや、ヘアピンカーブで高度を上げてから谷に向かっていた。谷に接近すると徐々に廃林道っぽくなってきて、最後は堰堤手前で林道は終わっていた。あれ? 地形図では沢を渡って反対側まで続いているはずだが。後でわかったことだが、計画していた林道はもっと下にあり、私が歩いた林道は地形図に出ていない林道だったのだった。こうなると問題は沢を渡れる水量かどうかだが、水音の原因は砂防ダムから流れ落ちる音のようで沢の流れは細く簡単に渡れた。林道終点付近ではカモシカと遭遇したが、まだ薄暗い時間でデジカメの感度を最高のISO800にしてもシャッター速度は1/8秒で光学6倍ズームではブレてしまい、ピクセル等倍ではボケボケの画像だった。このくらいの画像にまで縮小するとそこそこ見えるのだがやっぱり小さいなぁ。

対岸の斜面を適当に登る。藪は無い 色が抜けた赤テープが頻繁にある
熊が登った爪痕。上部まで点々と続いていた 赤テープは上を登ったようだがこっちは途中で左にトラバース

 さあ、ここからが本番だ。対岸には意外にも目印があったがまさか簫ノ笛山に向かっているものではないだろうから、適当に獣道をつないで登りやすいところを選んで歩いていくと、なんと私が歩くルート上にテープが出現するではないか。藪が無いのでどこでも歩ける植生だが、私と同じ思考とはこれを付けた主はなかなかの経験者らしい。僅かに進路を左に振って微小尾根をよじ登るとテープはそのまままっすぐ上がっているようだが、明瞭な獣道が左にトラバースするように付いているのでそれを歩く。こちらの方が早く尾根上に出るとの判断からだ。

自然林から植林帯へ変わる 北東尾根に乗ると廃道?あり

 落葉樹林から植林帯に変わると北東尾根に出て、意外にも廃道であろうか溝状の明瞭な踏跡が出現した。昔はここから登られたのだろうか。赤布もかかっており、この尾根の下部から登ってくる人もいるようだ。まだ笹は無く適当に登れる植生だ。

標高が上がると徐々に笹が出てくる

このくらいで笹の量は頭打ち。見た目よりも薄く踏跡あり


 ここからは素直に尾根に従って登ればいいのだが、途中で3箇所ほど広い尾根に合流するので帰りは尾根を直進しないよう目印が必要だろう。それなりに目印があるが念のため自分のも付けながら登っていく。高度が上がると徐々に笹が出てくるが、密度は薄いし高さは膝程度、しかも踏跡ありなので乾いていれば問題なし。やっぱり北向きの尾根の方が笹は薄いようだ。

1435m標高点

1435m標高点南西側鞍部


 標高1370mで左から尾根が合流し進路を右に振るので下山時は要注意箇所だが既に目印が付けられていた。なおも笹の中の踏跡を追って標高を上げ、1435m標高点で太い尾根が左から合流し、進路は直角に左に曲がった。ここも複数の目印があるので直進しないで済みそうだ。僅かに標高を下げると鞍部左手はシラビソ樹林になっており、日当たりが悪くて笹も消えて歩きやすかった。

なだらかな尾根を登る

断続的に踏跡あり。漕ぐほどの笹ではない


 登りにかかると再び笹原が始まり、なだらかな尾根をじわりじわりと高度を上げていく。やがて尾根がバラけて右手からより太い尾根が合流、ここも下山時に太い尾根を直進しないよう注意が必要であるがいくつか目印が存在するので大丈夫だろう。この辺は人によって歩く場所が点々バラバラのようで踏跡は無く、適当に登っていけばいい。尾根に乗ると再び断続的に踏跡が出てくるので少し歩きやすくなる。

急斜面が始まる。最初は明瞭な踏跡あり

稜線直下は適当に笹を登る


 山頂までもう少しというところでこれまでの緩い尾根から一気に急傾斜の登りが始まる。特に出だしがえらい急だが、ただの斜面で尾根らしくなく歩くルートがバラけると思いきや、かなり明瞭な踏跡があるのでかえって楽に歩けるくらいだった。しかし徐々に踏跡が消失し、膝丈の密度が低い笹原を適当に上を目指して登っていく。ここもピンクリボンが適度にぶら下がっているのでいい目印になるし、帰りも頼りになる存在だ。

稜線を西に登る 簫ノ笛山三角点肩。テープ類が賑やか
簫ノ笛山三角点。笹に埋もれ見つけにくい 三角点西の簫ノ笛山最高点

 南東尾根に乗ると薄い踏跡が出現、このまま尾根を下ると林道に出るはずだが、そこから登ってくる人もいるということだろう。笹は今までよりやや濃くなるが踏跡があるので藪漕ぎというほどではなく、黒覆山よりも笹の密度も背も低い。すぐに傾斜が緩んで笹に覆われた平坦地になるといくつもの目印が付いた場所に到着、標識は無いがここが簫ノ笛山山頂らしい。一応、GPSの電源を入れて確認してみるとまだ山頂は西と出たので僅かに下ってちょっとばかり登ると小ピークに出て、GPSはここが山頂と告げた。帰ってからネットで地形図を確認したところ、山名事典は三角点ではなくその西の1770m等高線が描かれたピークを山頂としていたのだった。このピークにも山頂標識は無く赤テープが1個あるだけだった。周囲は唐松植林帯で落葉していても密度があるのですっきりした眺めは得られず、雲に覆われた南駒周辺が見えるだけだった。昨日の疲労があってしばし山頂で休憩。

 帰りは三角点肩で笹をかき分けて三角点を拝んでから下山開始。下りは目印のおかげで地図を見るまでもなく簡単に下れた。下りで気付いたが尾根分岐にはそれなりに目印があるので登りで景色を記憶しておけば間違うことは無いだろうが、地形がはっきりしているところはほとんど目印が無いところもあるので若干心配になるかもしれない。自分で新たに目印をつけなくても概ね大丈夫だろう。


所要時間
 6:12偽林道入口−−6:21今椰沢への林道分岐−−6:37林道終点−−6:52北東尾根に乗る−−7:17 標高1370m−−7:40 標高1580m−−8:09南東尾根−−8:14簫ノ笛山三角点−−8:17簫ノ笛山最高点8:43−−8:48南東尾根を離れる−−9:11 1435m峰−−9:21北東尾根を離れる−−9:29今椰沢−−9:38今椰沢への林道分岐−−9:42偽林道入口

 

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