妙高前衛 前山、丸山 2009年4月4日


 妙高山の周辺には2000m前後の山がいくつもあるが、妙高山の真東に前山がある。標高は1900mを越えて気になる山であったが、登山道は無く赤倉山に登った経験では無雪期は猛烈な笹藪であろうから残雪期しかチャンスは無い。今年の週末はなかなか2日間の晴れがなく、今週末も土曜午後から天候が崩れるとのことで、半日行程では前山くらいの山がちょどいいだろうと考えた。ルートとしては燕温泉から北東尾根が最短ルートだが途中の尾根の傾斜がきつく怖そうで、前山東方の丸山を合わせて登ることを考えてその鞍部から稜線を往復することを考えた。こちらの尾根は緩やかでルンルン気分で歩けそうだ。

 高速道路の土日祝日割引を利用するため妙高SAで仮眠し、土曜早朝に中郷ICを降りて(八王子からちゃんと\1000だった)燕温泉を目指す。国道18号線沿いから道端に残雪が見られたのでコース上の雪不足は心配する必要はなさそうだ。標高が上がると徐々に積雪量が増え、ほとんど地面が見えなくなってきた。トンネルを抜けてヘアピンカーブを繰り返し関見峠分岐に到着すると意外にも除雪されていたので入ってみたが、途中にある宿で除雪が終わっていて宿の利用客以外が車を置くスペースは無いので分岐に戻り、広く除雪された路肩に駐車した。雪上車が止まっているがもう出番はないだろう。

右が関見峠方面。除雪されている 宿の前で除雪終了
左カーブの先からスキー跡を辿って斜面にとりつく いくつものシュプールが降りていた

 本日の装備はスノーシュー、ピッケル、12本爪アイゼンとし、ザックの後ろにスノーシューをくくりつけて出発だ。天候は薄曇り程度で今は問題なく、妙高山の山頂も真っ白な姿を見せていた。除雪された舗装道路が終わるとキャタピラ跡の残る残雪の林道になり、僅かに歩いて左カーブしたところで谷沿いに登り始める。山スキーヤーも同じことを考えるようでいくつものスキー跡が残っていて、柔らかくズボズボ潜る新雪を避けてスキー跡を歩いた。大した圧力ではないが全く圧雪されていないまっさらな雪面とは沈み込みが大きく異なる。先週の西山はあれほど雪が締まって歩きやすかったのだが、豪雪地帯は状況が異なるようだ。

除雪終点の宿を見下ろす 稜線に出た

 急斜面もスキー跡を辿ってつぼ足で登っていくが、踏み抜きが顕著なのでスノーシューを装着する。これで踏み抜きそのものはなくなったが雪が柔らかく、急斜面だと足場が崩れて這い上がるのに苦労する。こういうときはピッケルの出番で、雪面深くに差し込んで腕も使ってどうにか突破する。傾斜が緩んでなだらかな尾根に出ると、ブナ林が広がり僅かに雪庇ができていた。リフトが営業を始める前にまずは丸山を往復してしまおう。ザックを置いて空身で往復する。意外にも稜線にはつぼ足の踏跡があったが、どこから登ってきたのだろうか。稜線上は雪が締まっていると期待したが完全に外れ、スノーシューが無いと踏み抜き連発の柔らかい雪が続き、先人の足跡は深く潜っていた。ピッケルを雪面に刺すとシャフトいっぱいまでズボズボと入ってしまう。やっぱり先週の西山が例外的だったのだろうか。

丸山方向につぼ足トレースあり(途中まで) 丸山山頂と直下のリフト駅

 ラッセルに嫌気がさしたのか、先人の足跡は前山に達しないうちに引き返しており、その先はまっさらな雪面が続いており、自分のスノーシューの跡だけ残しながら気持ちよく進む。少しだけ標高を上げるとブナが点在する平坦地に出て、そこが丸山だった。昨年秋にDJF御一行様が登っているのでピンクリボンがあると期待したが標識類は全くなかった。積雪量は不明だが、もしかしたら雪面の下だろうか。東直下にはリフト駅が建っていたがまだ営業前で静かだった。

丸山直下から見た前山方面 ゲレンデに出た
ゲレンデから見た志賀高原方面(クリックで拡大)

 さあ、これからが本番だ。ザックを背負ってつぼ足の跡を追うとスキー場のゲレンデに出て、ゲレンデは圧雪されてるようでスノーシューでは全く潜らず、つぼ足でいけそうなのでスノーシューを脱ぐと足が軽くなった。数cmほどの新雪が積もって表面がクラストしてつぼ足では僅かに踏み抜くが、ゲレンデにはいくつかのスキー跡があり、その上は全く沈まず快調に歩けた。新雪がいつ積もったのか不明だが、平日の昨日はほとんどスキーヤーがいなかったようでゲレンデに残るシュプールは僅かだった。

1本のスキー跡を追ってラッセルを避ける 最終リフト跡へはラッセル

 私が追ったスキー跡は山スキーで登ったようで小刻みにジグザグっていた。もしかしたら前山まで登ったのだろうか。ゲレンデをそのまま登っていき、現在の最終リフトを過ぎた先の肩でシュプールが途絶え、雪面が乱れていたので先人はここで休憩して下って行ったようだ。今まではラッセルせずに済んだがこの先は足首以上のラッセルだ。特にこの方周辺は雪が深く、ボッカボッカのラッセルになってしまったのでたまらずスノーシューを装着する。少しはマシになったが雪が柔らかくて全く沈まないわけではなく、この先もこんな状態が続くと体力を搾り取られそうだ。

ブナ林の尾根を登る 1600m肩から見た神奈山

 今は使われていないリフト駅を過ぎると刈り払われたゲレンデは終わり、ブナ林が広がる急な尾根に取り付く。この斜面だけは雪が締まっている部分が多く、スノーシューの歯を効かせてガンガン登れた。傾斜が緩むと細長く平坦な肩に出て、谷を隔てた右手には荒々しい岩壁を抱いた神奈山が屏風のように聳えていた。

 この先は傾斜が緩んで尾根が細くなって雪庇も登場し尾根らしくなるが、雪質は柔らかくスノーシューでも脛まで潜る。どうもこの高さでは新雪は50cmくらい積もったのではなかろうか。新雪の下は踏み抜かない硬さの残雪だが、気温が上がって重くなった新雪がこの深さあるとかなりの労力を必要とする。

尾根が狭まるが危険箇所は無い 1650m肩で邪魔され前山山頂はまだ見えない
樹林が開けた場所から見た妙高山〜神奈山のパノラマ写真

 尾根が左に曲がって最後の登りにかかっても雪質は変わらず、傾斜がきつい箇所は足元の雪が崩れてせっかく登った分をずり落ちることが多く、アイゼンでキックステップの方が良かったかもしれない。ピッケルの助けを借りてどうにか突破する。北向きの尾根で日当たりが悪いせいかその後も軟雪地獄が続く。特に雪庇が顕著になってからはいっそうスピードが低下する。山頂まで標高差100mを切っているのになかなか近づかない。

尾根上には私のトレースのみ つぼ足トレース登場
トレースが無くなり再びラッセル 黒姫山と御巣鷹山

 登ってきた尾根の一つ南側の尾根が合流するとつぼ足のトレースが出現し、これはスノーシュー無しなので沈み込みが深く苦労がしのばれる。緩やかな雪庇が続き、全体的に柔らかい雪のままだ。斜度が緩んで日当たりも良くなって締まっていると思ったのだが。しかし先人のトレースを踏んでいれば全く問題なく、トレースのありがたさが身にしみる。もう山頂は目前のところで先人のトレースは引き返してしまい、最後はラッセルして前山山頂に到着した。

前山山頂 前山から見た妙高山
前山から見た赤倉山と南地獄谷
前山から見た野尻湖

 山頂は高さ数mと思われる緩やかな雪庇に覆われ、山頂付近の樹木も半分くらい雪に埋もれていた。同じく残雪期に登ったであろう人の目印が巻きつけてあるが山頂標識は無かった。これだけスキー場が近い山なのでそれなりの数の山スキーヤーが登っているだろうが、わざわざ標識など付けないのかも知れない。樹林は薄いが北及び西側にダケカンバが生えて残念ながら妙高山はすっきりとした写真を撮影できない。赤倉山は良く見えており、私が登ったときは5月エンドで痩せた稜線は雪が落ちて滑落の危険は無かったが藪との格闘だったなぁ。今は真っ白なので藪はなく、もっと楽に登れるかも。もっとも、雪が締まらないと今日のように苦労するが。手前の南地獄谷からは盛大に湯気が上がっていた。東側は志賀高原から鳥甲山が見えているはずだが、普段見かけない方角の風景なのでいまいち同定できない。帰ってからカシミールで判定するか。雪が窪んだところに座ってしばし休憩。今日は風も無く穏やかな日和だ。朝より雲が出てきたがまだ薄日が差していた。

山頂直下のラッセル深さ 下山は一つ南の尾根を下る
ブナの純林になる 目指すリフト駅が見えてきた

 下山は同じ尾根を下ったのでは面白みがないので、つぼ足の主が上がってきていた尾根を下ることにする。帰りは自分のトレースがあるし重力の助けがあるので楽々進むことができ、尾根分岐で右の斜面に入ってガンガン下っていく。やはりトレースの主はスキーヤーで斜面にはスキー跡が残っていた。少し木が多いがまあまあ楽しめる斜面だろう。相変わらずスノーシューでもズボズボ潜る雪だが重力に任せて強引に下っていく。尾根末端では最後は北寄りに進路を取る必要があるので尾根の左側(北側)を下っていく。やがてブナがワサワサ生えたエリアに突入するとゲレンデが登場、その北側の樹林帯を下っていくと下方に登りで通過したリフト駅が見えてきたので進路修正。間には小さな谷があり、そこに下るには急斜面を下る必要があったが、面倒なのでスノーシューを履いたまま突っ込んだら深い雪に足を取られ、股関節を捻ってしまい痛みでしばし動けなくなった。明日は佐渡山に登る予定で足の状態が心配だったが、時間が経過すると痛みも引いて翌日は全く痛みはなかった。よかったぁ。

登ったシュプールより手前のシュプールを追って下る 前山を見ながら下る

 ゲレンデに出てしまえばあとは楽チンで、ゲレンデを離れて丸山への稜線に達し、登ってきたトレースより西側の谷筋付近のスキー跡を下った。こちらもそれなりの傾斜で本来ならばスノーシューを脱いで下った方が安全だが、これまた面倒なので慎重に下った。股関節は大丈夫だったが足の指には負担がかかったようで珍しく指の皮がむけてしまって痛い思いをした。傾斜が緩んで気温が上がって締まりも緩んだ雪に苦労しながら林道に出てスノーシューを脱いで足が軽くなった。


所要時間
 関見峠県道分岐−0:06−除雪終点−0:02−県道を離れる−0:14−稜線−0:06−丸山−1:01−旧リフト終点−0:14−1600m肩−0:43−1860m肩−0:16−前山−0:10− 1860m肩−0:28−ゲレンデ−0:13−県道−0:08−関見峠県道分岐


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