北信 黒姫山周辺 佐渡山 2009年4月5日


 北信の黒姫山は最高峰の黒姫山の他に御巣鷹山があるが、地形図を良く見ると近くに他のピークがある。西側鞍部の大ダルミを挟んだ反対側に佐渡山という標高1800mを越えるピークがあり、DJFは黒姫山と合わせて登っているが、こちらは存在を知らなかったので今まで無視状態だった。しかし標高1800mを越えた未踏のピークを登らないのはもったいなく、登山道がないので登るチャンスは雪がある時期しかないので今がちょうどシーズンだ。

 昨年の地藏山の経験から登るルートは当初は妙高の笹ヶ峰からを考えていたが、よくよく地形図を見ると山の南側にある黒姫山西登山口が最短らしい。ここなら冬季でも県道が除雪されて登山口までアプローチ可能で、南斜面なので早い時期から雪が締まっている可能性がある。その代わり、早い時期に雪が消えてしまうかもしれないので、4月上旬のこの時期は適当といえよう。

大橋登山口駐車場(帰りに撮影) 登山口付近から見た黒姫山(帰りに撮影)

 登山口の大橋バス停に到着したときには雨が降りしきっており、気温は高めで標高の高いところまで雨の可能性が高いと思えた。今日の妙高前衛前山は軟雪に苦しめられたが、雨で雪が溶けて朝方の低温で固まれば楽に歩けるはずだ。高いところが雪だとまたラッセル地獄を見ることになるが・・・・。登山口はお客がいるので今夜の宿は東側の古池方面登山口駐車余地とした。一晩中雨が降っていて車の屋根を叩いていたが、車の通りは少なく静かな夜を過ごせた。

駐車場先のゲート(帰りに撮影) 残雪の林道を歩く

 夜明け前の真っ暗な時間に起床、うまい具合に雨は上がっていたが星が見えないので曇っているようだ。天気予報ではこれから回復傾向なので雨が降ってくることはなかろう。飯を食って出発する朝5時には薄明るくなりヘッドライトは不要になり歩きだした。まずは何も考えずに古池方面に向かったのだが、地図を見ると東に遠回りしなければならず、大橋登山口から登ったほうが早いと判断して車道を歩いて雪に埋もれた林道を歩きだした。霧が立ち込めて遠望が利かず、このまま雪の稜線に突っ込むのは不安だが、時間が経過すれば晴れてくれるだろう。しばしつぼ足で林道を歩いたが、期待通りに雨上がりで雪が締まっているどころか気温が高くて雪がグサグサで、体重を支えきれずに沈んで疲れるのでスノーシューを装着した。これで沈み込みは皆無になり楽に歩けるようになった。でもまさか最初からスノーシューの出番とはねぇ。

Y字路は右に進む。案内標識あり 林道終点
唐松植林帯を登る トレース多数

 林道支線を左に分けてさらに進むとY字路が登場、案内標識は右の道を示しているしトレースもほとんどが右に進んでいるので迷わず右に。そのすぐ先で林道が終わってトレースは唐松植林帯の斜面を上がっていた。しばらくはこのトレースを辿り、標高1500mを越えたら等高線に沿って左の谷を越えて、1738m峰から南東に落ちる緩やかな谷を登る予定だ。しばらくはクラストした雪面が僅かに沈む程度だったが、標高が上がってくると雨ではなく雪になったようで踏み抜く深さが深くなってきた。もしかしたら今日もラッセル地獄が待っているか・・・。

霧が晴れた! 尾根西側をトラバース
谷を越えて登りにかかる 1738m峰南尾根直下

 標高1450mを越えて左に緩斜面が登場したので、標高差を損しないで谷を渡れそうな場所を探して尾根西側を巻きつつ進んでいくが、なかなか谷が浅くならず予定通り標高1500mまでは尾根を歩いた方が楽だったようだ。やっと谷が浅くなったので水平移動で横断、意外にもスキー跡があり、なんと1738m峰向かって登っているではないか。佐渡山は訪問者が多いらしい。帰ってからネットで検索すると山スキーの記事が何件もヒットした。スキーなら沈まないのでいいのだが、この斜面は新雪が積もってラッセルしつつの登りになって早速スピードダウン。最初は浅い谷に沿って登っていたが、雪質の重さにねを上げて日当たりのいい南尾根の方が雪が締まっているのではと考えて進路変更。ジグザグに高度を上げて小さな雪庇の隙間から南尾根に上がった。

唯一の露岩。ここだけ緑 雪の花が咲いたブナ
兎の足跡 高妻山〜乙妻山の稜線

 これまた意外にも南尾根上にもスキー跡があるではないか。昨夜の降雪を考えると昨日日中のものだろう。尾根上は樹林は少なく、西斜面は自然林で今までより明るかった。新雪が枝に乗って白い花を咲かせていた。1箇所だけ露岩があって、そこだけまるで培地から生えた養殖キノコのように檜がワサワサ生えていていい目印になろう。ここは西から巻いたがスキー跡も同様だった。

雪庇の連続で西尾根に上がれない! ここから稜線に上がった

 高度が上がると傾斜が緩んでピークが近い雰囲気が出てきたので、面倒なのでピークを巻いて西尾根に直接出ることにした。巻くことは特に問題は無かったのだが、西尾根南側に出ると雪庇の屏風で稜線に上がれないではないか! 高さは2,3mあるのでよじ登るのは不可能で、山頂に戻るか、このまま西に進んで小尾根が南から上がって雪庇が切れる場所を探す必要がある。少し先を見ると小尾根が上がっているのが見えたので、このまま急斜面をトラバース。稜線上は風が強く、パウダースノーが飛ばされて風下側に大量に雪を降らせてくれて、全身雪まみれになってしまった。

1740m肩への登り 1738m峰を振り返る
K.G.W.Vの赤布 スノーシューでもラッセルがきつい!

 どうにか小尾根から稜線に這い上がり、やっと尾根歩きに復帰、一安心だ。しかし雪質は最悪で3,40cm降り積もった新雪のラッセルが待っていた。重い雪よりマシだがスノーシューでも足首ちょっとの深さまで沈み、昨日の疲労も残って足が重かった。1740m肩は実際はピークになっており、この周辺が特に雪が柔らかくて難儀した。しかし雪庇の上は展望がよく、目の前には佐渡山の真っ白な姿が見えていた。本来ならばその裏側には高妻、乙妻、右手には妙高が聳えているのだが、今は弱い冬型の気圧配置で標高2000m以上は雪雲に隠れて山の姿は見えなかった。昨日のうちに妙高の前山に登っておいてよかった。

最後の登り 1740m肩(手前)と1738m峰(奥)

 鞍部に下って登りにかかると風で雪が飛ばされるのか積雪量が減って小さな木が目立つようになり、雪面はクラストして沈まない区間も現れるようになり大いに助かった。そんな雪面は狭い範囲だったが、その他の範囲は沈んでもその深さは浅く歩きやすかった。ただ、雪が少なすぎて雪に埋もれた木の周囲に踏み入れると「落とし穴」に落ちることが数回あった。山頂直下になると今まで見られなかったシラビソが目立つようになり、最後は南から回り込むように山頂に立った。

佐渡山山頂。背景は飯綱山 佐渡山から見た黒姫山
佐渡山から見た妙高山 佐渡山から見た南尾根
佐渡山から見た高妻山、乙妻山

 佐渡山山頂はなだらかな雪庇の上で、積雪は数mはあろう。山頂直近には立ち木は無く展望はいいのだが、相変わらず周囲の2000m峰は雪雲の中で姿を見せてくれなかった。適当な立ち木が無いからか山頂標識はなかった。天候は予想と違って悪化気味で風がやや強く太陽は隠れて寒かった。気温は昨日とは違って-3℃の冷え込みで、山頂での休憩は寒すぎるので風が避けられる樹林が濃い場所まで戻ってから休憩することにして踵を返した。

1738m峰へと登る 1738m峰
南尾根を下る 南尾根を外れて快調に下る

 登りでは気付かなかったが佐渡山山頂直下のみスキー跡が残っていた。他は新雪に埋もれたのだろう。私が登りで付けたトレースも強風で新雪が飛ばされてかき消されていた場所があった。1738m峰は正直に尾根を登ってピークに立ち、南尾根を少し下ったところで風が避けられたので休憩。天気は少し回復してきたようで薄日が差してきた。登りで苦労した重い雪の斜面も下りなら関係なく、重力の助けを借りて快調に下り、雪に埋もれた谷を渡って黒姫山側の斜面に取り付き、尾根目指して適当にトラバースしていくと大ダルミへの夏道と思われる直線的な木の隙間が続く筋に出た。その筋を追っていくと古池方面への分岐点でトレースと合流した。

唐松の隙間から見た佐渡山

 あとは多数のトレースを追って下るだけだ。振り返ると真っ白な佐渡山が見えているのだが、唐松植林の隙間がなくてすっきり見渡せる場所がないのは残念だ。すれ違ったのは2人のスキーヤーと2人のつぼ足組みの計4人だけと、思ったより静かだった。朝よりも気温が上がって雪がさらに緩み、林道歩きもグサグサの雪でつぼ足では苦労するのは確実で、2人組みの登りの足跡を見てもそれが分かったのでずーっとスノーシューを装着したまま駐車場まで歩いた。


所要時間
 大橋登山口−0:36−林道分岐−0:04−林道終点−0:37−谷−0:21−1738m峰南尾根−0:18−1738m峰西尾根−0:31−佐渡山−0:23−1738m峰−0:10−谷−0:22−林道終点−0:24−大橋登山口


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