南ア北部 小仙丈ヶ岳、仙丈ヶ岳 2009年6月27日


 今週に入って関東の気温はぐんと上がって蒸し暑い日が続き、いよいよ会社もクーラー全開となった。山ももう藪漕ぎをするには不快な時期で、涼しくなるまではしばらく森林限界を超えた場所に避難するしかない。そこで先週行くか悩んだが小スバリ岳にして行かなかった、ここ数年恒例の梅雨の晴れ間の仙丈ヶ岳に向かうことにした。長野側からは先週から北沢峠までバスが入るようになり、今週は山梨側からも入るようになったが、いかんせん広河原始発が9時では話にならず、ガソリン代がかさむが今年も旧長谷村側から入ることにした。

仙流荘バス停 仙流荘から見た鋸岳

 辰野PAで4時前まで仮眠し、伊那ICで降りて仙流荘へと向かう。今の時期は4時になると少しずつ明るくなってきて、伊那市内を東に向かう頃には充分明るくなっていた。今日は快晴で鋸岳や仙丈ケ岳もすっきり見えており、山頂からの展望が楽しみだ。駐車場の入りは9割近く(ただし下段の駐車場はガラ空き)で賑わっていた。飯を食って5時半にバス停に並んだが、これは始発は6時5分だが昨年の経験で客が多い週末は定刻より早くバスが出るのが分かっているので、できるだけ早い便に乗るためだ。今年は5時45分に1台目が出発し、私が乗った2台目は数分遅れで走り出した。峠到着の予定時刻は6時40分とのこと。今年も鋸の鹿穴ははっきり見えたが乗鞍岳はかすんでしまって見えなかった。こりゃ、今年は北アは見えないかなぁ。

北沢峠 シラビソ樹林を歩く

 北沢峠に到着して半ズボン姿になってから歩きだす。さすが標高2000mなので涼しく快調だ。今年は雪が少なく時期も遅いのでアイゼンは持たずにピッケル代わりのストックだけ持ったが、ストックの出番はあるだろうか。樹林帯なので先行してる人が何人いるのか不明だが、2人追い越してからはしばらく無人となり、4合目で追い抜いた人を最後に小仙丈ヶ岳まで登りの人は見かけなかった。

謎のステンレス管 北岳がすっきり

 ところで、今回は登山道の途中で不思議なものを見かけた。頑丈そうなステンレス管から何やら管が出ているもので、片側はこれまた頑丈な蓋がボルト締めされている。こんな管はかなりの圧力がかかる場所に使用される代物と思われるが、いったい何の目的で置かれているのだろうか?

大滝頭 森林限界直下。今年は雪が無い

 大滝頭を過ぎて登りにかかるところあたりで雪が出てくるはずだが今年は全く無く、森林限界直下で僅かにあっただけで森林限界の肩に飛び出した。山頂直下の毎年雪が残る場所も白いものは少なく、ほとんど雪の上を歩く場所は無いかもしれない。振り向くと甲斐駒がでかいが北アは霞がかかって全く見ないのは残念だ。これだけ天気はいいのに空気の透明度は低いようだ。

森林限界突破 背後には鋸岳

 毎年の残雪帯は雪の上を歩いたのは20mほどで、やっぱり少なかった。ハイマツが開けた登山道脇には高山植物が咲いており、この高さなのでイワカガミではなくコイワカガミだろう。ハクサンイチゲはやっと咲き始めたばかりだった。シャクナゲの花は地を這う高さで標高をうかがわせる光景だ。どこもかしこもこんなシャクナゲなら藪漕ぎしなくていいのだが。

小仙丈ヶ岳直下の残雪帯 その1 小仙丈ヶ岳直下の残雪帯 その2
小仙丈ヶ岳直下から見た北沢山の稜線 小仙丈ヶ岳から見た仙丈ヶ岳(山頂は見えない)
小仙丈ヶ岳から見た鋸岳〜鳳凰三山(クリックで拡大)
小仙丈ヶ岳から見た北岳〜馬ノ背(クリックで拡大)
小仙丈ヶ岳から見た南ア南部(クリックで拡大)

 小仙丈ヶ岳ではたぶん今朝長衛荘から歩き始めたであろう単独男性が休憩中。先ほどから北の方からヘリの音が聞こえていたが、眼を凝らすと鋸岳周辺を飛び回っているのが見えた。かなり長時間飛んでいたので誰か遭難したのだろうと思ったが、帰ってからネットで調べたら案の定鋸岳で滑落事故があったとのこと。幸い、足の骨折で済んだようだ。私は少しだけ休憩して仙丈ヶ岳に向かう。稜線上の残雪も僅かでザックの中のスパッツの出番が無い。鞍部から最後の登りにかかって傾斜が緩むとやっと山頂が見え、何人かの姿が見えている。ここからはU字型に右回りになだらかな稜線を巡り、最後の一登りで山頂到着。

鞍部から最後の登り 青空が眩しい
肩に出るとようやく山頂の登場
鋸岳の遭難者救助のヘリ 仙丈小屋
このピークが仙丈ヶ岳 仙丈ヶ岳山頂
仙丈ヶ岳から見た鋸岳〜鳳凰三山(クリックで拡大)
仙丈ヶ岳から見た北岳〜南ア南部(クリックで拡大)
仙丈ヶ岳から見た西側(クリックで拡大)
仙丈ヶ岳から見た中央アルプスと木曾御嶽(クリックで拡大)
仙丈ヶ岳から見た北アルプス(クリックで拡大)
仙丈ヶ岳から見た丸山尾根

 今年の山頂は5,6人で静かな時間帯に到着できた。天気は申し分ないがやはり展望は最高とはいかず、3000m峰は霞の層から突き出てしっかり見えているが、それ以下の山々は霞んでしまって見えない。劒岳がかろうじて見えるかどうかくらいで、後立山は全く見えなかった。南方面も透明度が悪く、聖岳以南は見えなかった。帰りのバスは10時の次は13時で、さすがに10時に間に合わせるのは不可能なので2時間ほど山頂で展望と昼寝を楽しんだ。

小仙丈ヶ岳から下る 仙水小屋とテント場
砂浴び中の雷鳥 ハイマツ中の別の雷鳥

 下りは時間的余裕を持って出発したのでのんびりと写真を撮影しながらだ。途中、2750m付近で3名ほどの登山者がハイマツに向かってカメラを構えているのを発見、花ならもっと寄るはずなのでおそらく雷鳥と推測したがそのとおりで、つがいが砂浴びしていた。この雷鳥はやたら人慣れしていて数人がカメラを向けても全く動じず砂浴びを続けており、爺ヶ岳の雷鳥並みだった。この直後にハイマツの中に別の雷鳥を発見、仙丈ヶ岳で3羽も見たのは初めてだった。

 北沢峠には余裕をもって到着、13時のバスに乗り込んだ。


所要時間
6:41北沢峠−−7:41大滝頭−−8:19小仙丈ヶ岳8:22−−9:01仙丈ヶ岳11:00−−11:27小仙丈ヶ岳−−11:52大滝頭−−12:33北沢峠

 

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