北海道 日高北部 剣山 2009年7月20日


 いよいよ北海道シリーズも実質的な最終日となった。本来なら時間を目いっぱい使って日帰りでカムエクに登りたいところだが、昨日の大雨の直後では札内川の増水は確実で沢の遡上は危険であり諦めざるをえない。今回の北海道シリーズの天候は毎度こんな感じで、大雨の翌日だけ晴れるパターンでは沢登りは危険だ。今年は外れだったと不運を嘆くしかない。

 そんなわけで最大の目的地だったカムエクは最後まで無理だが、最終日の好天を生かさない手は無い。しかし前日の雨で藪があるところは1839峰のようにびしょ濡れになってしまうので、まともな道がある山にしたい。しかも日高で日帰りとしては登りがいがある山なら申し分ないが、そのレベルの山は登りつくしているので簡単ではあるが剣山を選んだ。ここは標高は低いが岩峰で展望がよく、地元でもよく登られる山なので体に触れる藪がある可能性は低いだろう。登山口は昨年登った久山岳と同じで剣山神社だ。

剣山神社の駐車場 登山口
明瞭な登山道が伸びる 登山道脇には石仏がたくさんある

 朝霧に包まれた県道を上がり突き当りが神社だ。車が何台か止まっているが登山者ではなく宗教団体の関係者かもしれない。入林届を見ると私が今日最初のお客らしい。よく刈り払われた登山道を緩やかに登っていくといくつもの石仏が登山道脇に鎮座していた。昔からあるものなのか、それとも宗教団体絡みなのかは定かではないが、古そうに見えた。

たぶん1120m肩 明るい樹林帯を登る
一ノ森 二ノ森

 今日は好天で緑がまぶしい。本州ならこの時期この標高この時刻でこの天気なら間違いなくクソ暑くて登る気などしないが、さすが北海道で涼しく体を動かすのに快適な気温だ。しかし、細かいクモの巣が登山道に張られているので、枯れ枝を拾って体の前面で振りまわしながら歩いた。露払いではなくクモの巣払いだ。笹に覆われた樹林帯をひたすら登ると「一ノ森」の標識が。肩にあったのでたぶん906m峰ではなかろうか。「二ノ森」も肩のような場所で、ここを過ぎると岩山の片鱗を見せるような露岩が現れ始める。特に1120m肩手前の幕状の岩はでかく、登るにはクライミングの技術が必要なので登山道は基部を巻いて右から上がっていった。

不動岩 フィックスロープがぶら下がるが無くても登れる斜面
1120m肩手前の幕状岩 幕状岩を見上げる

 急な斜面を登り切って青空が見える崖っぷちの肩(1120m)に到着し、ここが山頂かと思ったら右奥に顕著な岩峰が見えている。あれが剣山山頂に間違いなかろう。確かに「剣」の名にふさわしい様相だ。標高的には内地だったらタダの中山だろうが、ここは北海道で標高は+1000相当、標高2200mの山頂に匹敵する。植生も広葉樹ではなく針葉樹(シラビソなのかエゾ松なのか不明)が中心で、高山の雰囲気だ。

1120m肩直下 1120m肩から見た剣山山頂

穏やかな尾根を歩く 山頂直下の梯子

 肩は崖の上でこの先もこんな崖っぷちを歩くのかと思ったら、露岩はあるが危険個所のない樹林帯の尾根を進む。そして山頂直下の岩で長い梯子+2連の梯子を登ると(ルートを選べば梯子が無くても登れそうだったが)剣山山頂だった。

剣山山頂 これでも三角点とのこと
剣山から見た十勝平野の大展望
剣山から見た日高山脈北部(クリックで拡大)
剣山から見た札内岳周辺(クリックで拡大)
剣山から見た日高山脈北部(クリックで拡大)
剣山から見た大雪方面(クリックで拡大)

 巨岩のてっぺんなので周囲に視界を遮るものは無く360度の大展望だ。足元には十勝平野が広がり、十勝連峰から大雪方面が広がるが、まだそちら方面は雲が多くてイマイチ山が見えていない。日高方面はすっきり晴れているが、いかんせんここの標高が標高なので手前の山々が邪魔して核心部はほとんど見えないのが残念だが、まあこれはしょうがない。この標高でこれほどの好展望の山も珍しいだろう。これは剣山が岩山であることと、深い山の中ではなく十勝平野の縁に位置していることの2つが重なった結果だろう。大きな山に登った翌日で軽い山に登る場合などに最適だ。

 ひなたぼっこをしながら少々休憩し下山を開始、すぐに本日2人目の単独男性登山者が登ってきた。その後もたくさん登ってきて地元での人気の高さがうかがえた。でも東京から来た登山者は私だけだろうなぁ。

所要時間 剣山神社−1:53−剣山−1:13−剣山神社



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