八ヶ岳 赤岳(県界尾根) 2009年8月23日



 天気予報ではやっと安定した晴れの日が続くようになるという。ただし、それは今週末の日曜からで、土曜は前線が本州上を通過し、大気の状態が不安定とのこと。下界の予報はさほど悪くはないが、山の上ではガスって雷雨の可能性がある。天気が良ければテントを背負って南ア北部辺りでもと考えていたが、リスクがあるのでやめておくことにした(DJFなら躊躇なく行くだろうが)。日曜日に日帰りとなると、帰りが遅いと月曜日の仕事に差しさわりがあるので近場が望ましく、今の気温ではアルプス級でないと死んでしまうので、結局はお手軽な八ヶ岳で足慣らしとなった。1ヶ月前と同様に県界尾根を登ろうと思うが、今度は美し森の奥に伸びる県道のどん詰まりから歩きだそう。県界尾根登山口はこちらがメインであるので道はいいだろう。

 土曜はのんびりしていたが、お昼の天気予報では日曜は曇りベースの予報に変わっていた。前線の影響が残って大気の状態が不安定で、何だか今日の天気と変わらないではないか。それだったら土曜に出かけた方が良かった。空気が乾燥して安定した晴れは月曜からとなりそうだ。夕方に中央道に乗って走り始めると上り車線は調布ICからいきなり渋滞で、小仏トンネル先頭の渋滞も20kmほど伸びいていた。夏休みが終わるまでは渋滞がひどいだろう。明日日曜の帰りはもっとひどくなるだろうからできるだけ早めの帰りが得策だ。

県道終点

登山口の廃林道入口

 今日は土曜なので\1000でどこまでも行けるので、通勤割引範囲の韮崎を超えて須玉ICで降り、清里目指して走る。高度を上げると涼しくなってきてクーラーを切って窓を開けると心地いい。観光地なので夕方になっても路上に人影が多くなかなか賑わっていた。東京と違ってこの時刻の屋外は涼しくて快適だ。清里駅への交差点を過ぎて美し森の案内で左に曲がり、あとは案内どおりに走っていく。舗装道路をどん詰まりまでいくと県界尾根登山口だが、ここは駐車場がなく路肩に止めるしかない。先客は1台が登山口脇、2台がバス折り返し所の下の路肩だったが、軽自動車なら止められそうな幅が広い箇所もあったのでそこに置いた。少なくとも他の車の通行の妨げにはならない。上空は星が瞬いていたが、明日も晴れてくれるだろうか。車道途中からは赤岳頂上山荘と赤岳展望荘の光が意外に近そうにくっきり見えていた。

 翌朝、できるだけ早い時間に帰るために真っ暗な4時過ぎに出発、上空は雲が多くて星が僅かに見えるだけだが、星が見えるくらいだから雲は薄いのだろう。ゴアは持っていくが傘は置いていき、防寒着としてダウンジャケットのみに減らすがマフラーと毛糸の帽子を追加した。ここでも少し風があり、風向きが分からないが西風だったら稜線に出たら強風だろうから、最低限でもこれくらいは準備しておくべきだろう。登山口の標高は約1650mあり、気温は13度だった。

廃林道を歩く まだ廃林道
コンクリート舗装が出現 ここで廃林道を離れる

 ヘッドライトの明かりを頼りにまずは廃林道を歩く。少しの間は車でも走れそうだが、すぐに水が流れて溝が深くなり、ジムニークラスのオフロード車でないと走れない路面となり、徐々に両側から笹が侵食して人間が歩く幅しかない場所もある。かと思えばコンクリート舗装の場所もあったりとちぐはぐな景色が続く。どうやら沢に沿っていくつもの砂防ダムがあり、その建設用道路がこの廃林道と思われた。ずっと上流まで砂防ダムがあり、途中で廃林道を離れて県界尾根に上がる必要があるが、そこにはしっかりと標識が付いていて僅かに明るい程度でも見落とす心配はなかった。

 樹林に入ると再び暗くなり、ヘッドライトを頼りに進んでいく。1ヶ月前の登山口より道はずっと良好であるが体に触れる笹は皆無ではなく、半ズボンでは笹の葉で足が傷だらけになりそうだ。これを予想して長ズボンでよかった。半ズボン+ロングスパッツという手段もあるが、スパッツは通気性が乏しいので化繊の長ズボンの方が涼しいと思われる。まあ、今の気温なら長ズボンでも暑くはないが。

最初は唐松樹林+笹

シラビソ樹林

 標高が上がると唐松植林帯からシラビソ樹林に変貌し、笹も幾分薄くなって場所によっては笹がきれいさっぱり消えている場所もある。代わりに鹿の食害で皮が剥がれたシラビソが目立つようになる。ここも手間をかけて探せば鹿の角が落ちているかもしれないなぁ。尾根上のルートを上っているときに雲の隙間から日の出が見え、樹林が赤く染まった。このまま好天ならいいけど朝焼けはちょっとよろしくないか。樹林が切れた場所からは赤岳山頂が見えており、今はガスもかからず展望がよさそうだ。俺が到着するまで雲が降りないでくれ。

野辺山方面分岐 小天狗
小天狗西側から見た赤岳

 最後は尾根ではないような広い斜面を登って1ヶ月前に歩いた野辺山方面の道と合流、あとは道の様子は分かっているので問題ない。おまけに今日は藪は乾いているので笹やシラビソ、ハイマツに触れても濡れる心配がない。やっぱこれは大いに助かる。乾いてさえいれば多少の藪の出っ張りは気にならない。小天狗を通過してなだらかな尾根を西に進み、展望が開けた場所で写真撮影。尾根に乗ってからは風が強くなったが、富士山に笠雲がかかっているのであちらも強風だろう。今日富士山に登っている人は無事山頂までたどり着けるだろうか。

大天狗向けて進む 縞枯れ地帯
大天狗 標高2600m付近

 深いシラビソ樹林を緩やかに登り最後に突き上げた場所が大天狗で、たぶん下山中だろう、男性1名が休憩中だった。3台の車のうちどれか1台の主だろうか。ここで高度計を校正。なおもシラビソ樹林を上がっていくが標高が上がるとダケカンバが目立つようになり森林限界が近いことを予感させる。

梯子下の足場トラバース 見づらいが梯子がある
ガレた谷を登る 赤岳展望荘と横岳が見えた

 標高が2600mを越えると鎖場、梯子の連続区間が登場だ。前回はガスっていてほとんど写真を撮影しなかったが今日は視界良好でみんな写真を撮っておいた。最初は短い梯子だが傾斜が急で雪がついていたら厄介な場所だ。それが終わるとガレた小さな谷を登り鎖が垂れているが、ここはハイマツのお助けで安全確保して登った。

赤岳展望荘分岐 森林限界の尾根を登る
緩い傾斜の梯子 赤岳展望荘が低くなる

 登山道は右に折れて森林限界を突破、ちょっとハイマツの高さが高いが視界が開ける。標高は約2700mで北海道の森林限界標高よりやっぱ1000m高かった。鎖を使わなくても大丈夫な鎖場を登ると赤岳展望荘への巻道分岐で、1ヶ月前同様に赤岳山頂への直登ルートに入る。長い梯子は半分お世話になって半分は岩の上を歩いた。この区間は後半の傾斜が緩く、寝ている梯子の上を歩くようなものでバランスを取るのがイヤらしく、素直に地面を歩いた方がいいように思えた。

鎖を伝わって尾根に取り付く 急な尾根を登る

 右にトラバースして長い鎖場を登るが、ここは少し鎖のお世話になった。フリーでも登れるだろうが、やっぱ安全第一で登ったほうがいいだろう。あとは急な尾根を落石を起こさないよう注意しながら登っていく。もう頂上山荘は目の前、というか傾斜が急なので頭上だった。頂上が近づくに従って徐々に風が強まりTシャツでは寒くなってきたので、頂上山荘の影で長袖シャツを着てダウンジャケットも着た。山荘から見る赤岳山頂はたくさんの人で賑わっており、いかにも夏山といった風景だ。風はかなり強いが行動に支障がでるほどではなく、体感温度だけが問題だろう。温度計を見ると6℃でこの風速だから体感温度は氷点下だろう。ザックの後にくくりつけたままの麦藁帽子が風に煽られ邪魔だ。今日は上空は薄い雲が出ていて日差しは弱く、帽子の出番は無かったなぁ。登山口付近でも今の時期としては気温は低めで汗だくになることもなく、うちわの出番も無かった。ま、暑いより涼しいほうがいいけど。

赤岳頂上山荘から見た赤岳 赤岳山頂
赤岳から見た阿弥陀岳 赤岳から見た富士山
赤岳から見た八ヶ岳北部
赤岳から見た上越国境
赤岳から見た妙高、火打、焼山
赤岳から見た浅間方面(クリックで拡大)
赤岳から見た穂高〜後立山(クリックで拡大)
赤岳から見た乗鞍〜霞沢岳(クリックで拡大)
赤岳から見た中央アルプス(クリックで拡大)
赤岳から見た南アルプス(クリックで拡大)

 たくさんの人に混じって赤岳山頂に到着、風が冷たくて長時間休んでいられるような状況ではない。ま、今日もさほど疲労していないのでこのまま下り始めてもOKだが。1ヶ月前は濃いガスで全く展望は無かったが、今日は北関東方面を除いて雲が晴れており、特に北アは白馬岳から乗鞍までずらっと並んでいた。こちらは日差しが弱いけどあちらは良く晴れているようで山並みが直射日光に照らされてコントラスト良く見えていた。たぶんあちらも強風だろうけど快晴でいい気持ちだろうなぁ。立山、剣のみならず白山まで見えたので大満足だ。南アは白根三山と鳳凰三山、仙丈ヶ岳に邪魔されて南部が見えないのが残念だ。北関東は谷川岳、朝日岳より東側は雲の中で、期待していた日光白根は見ることはできなかった。風が強くてカメラを構えても風に煽られかなり体がぐらついて、光学倍率いっぱい(6倍)ではぶれていないかかなり心配だったが、帰ってから画像を確認したらどうにか大丈夫だった。

 30分ほど展望を楽しんだが、体感温度が低すぎて鼻水は出るし頭痛はしてくるしで撤退することに。頭痛は家に帰っても続いたほどだったが一晩寝て回復。ただし少し風邪気味になってしまった。稜線から下れば風が直接当たることはなくなり、しばらく歩いていると体が温まり、森林限界を切るくらいでTシャツ姿に変身。続々と登ってくる人とすれ違うが、日帰りの人はどれくらいいるだろうか。予報では明日の方が天気がいいそうなので、山頂に泊まって朝の展望を楽しんだほうが具合よさそうだが、普通のサラリーマンではそうもいかない。

 廃林道に出てもまだ登っていく人が数人おり、美濃戸から登る人数とは比較にならないかもしれないが、それでも数10人はいただろう。県道終点は車があふれているかと思ったら顔ぶれはほとんど変わらなかったので、大半の人は美し森を基点として県界尾根と真教寺尾根を周回するようだ。車に戻って着替えを済ませ、ひどい頭痛がある程度収まるまで車の中で横になってから東京に向かった。


所要時間
4:18 車道終点−−4:47 廃林道を離れる−−5:21 小天狗−−6:05 大天狗−−6:41 展望荘分岐−−7:01 頂上山荘−−7:03 赤岳−−7:40 頂上山荘−−7:55 展望荘分岐−−8:21 大天狗−小天狗−−9:14 廃林道−−9:37 車道終点

 

 

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