南ア深南部 竜馬ヶ岳(1500.9m)、岩岳山(1369.3m)、入手山(1212m) 2012年1月8日

所要時間 7:13 駐車スペース−−7:42 ゲート−−7:45 杉川林道支線起点 7:49−−8:12 林道終点−−8:20 玄馬沢を渡る−−8:55 林道−−9:05 林道を離れる−−9:10 尾根に乗る−−10:27 竜馬ヶ岳(休憩) 11:00−−11:36 岩嶽神社(13??m峰) 11:39−−11:57 岩岳山(休憩) 12:30−−13:04 入手山(休憩) 13:40−−14:31 杉川林道支線起点−−14:34 ゲート−−15:04 駐車スペース

概要
 稜線東側の杉川林道より周回。林道崩壊によりゲートまで入れず約2km歩く。現状では林道起点から1.2kmくらいまでが安全圏で、軽自動車ならゲート手前200mくらいまで可能。玄馬沢沿いの廃林道を歩き、適当に玄馬沢を渡って竜馬ヶ岳から東→南に延びる尾根に乗って山頂へ。尾根上には作業道あり。竜馬ヶ岳山頂付近は落葉樹林。岩岳山へは道があるが岩嶽神社(1361m峰)まではやや薄い。ただし籔無し。岩嶽神社南鞍部から小俣京丸へ下る道あり。岩岳山南の1300m付近からも小俣京丸へ下る道があるが通行可能か不明。入手山まで尾根上に明瞭な道あり。入手山から東尾根を下って玄馬沢沿いの廃林道起点に下ったが、途中までは藪皆無で目印あって歩きやすかったが尾根途中の南側伐採地で籔あり、目印無し。尾根末端は崖で下れず左の植林に逃げて沢沿いの道で林道に出た

 最近は寒いので寒気が南下しにくい東海方面に足が向いているが、今回も東海地方を目指す。目的地は南ア深南部南限近くの竜馬ヶ岳である。普通に登るなら山犬段から入って高塚山経由で往復するのが楽だが、山犬段に入る林道が工事中で通行できないのでこれは使えない。そこで東側を流れる杉川沿いの林道を使って登ることにした。こうなると竜馬ヶ岳から南に延びる尾根上にある岩岳山、、入手山も登るのがお得で、ネットの記録を参考にして周回ルートを組むことにした。ネットの記録だとゲート位置、登山口位置や峠の位置など不明点が多く参考にならず、地形図を元に計画を立案した。

 どうやらゲートは入手山北東尾根末端近くにあるようだが、今年の大雨で林道がどうなったか不明でそこまで入れるか不明。まあ、歩く分には問題ないだろう。ゲートから少し歩いて玄馬沢沿いの林道に入り、林道終点から破線に変わって斜面の傾斜が緩んだところで玄馬沢を渡り、対岸の斜面を適当に上がって尾根に出たらそのまま尾根を辿って竜馬ヶ岳へ。そこから尾根を南下して岩岳山、入手山と縦走し、北東尾根を下って玄馬沢沿いの林道起点に戻るプランだ。問題は林道がどこまで入れるかであるが、集落から入手山北東尾根末端まで歩いて1時間程度と予想され、全部歩いても許容範囲だろう。

林道崩壊地前の車止めと駐車余地 崩壊地。軽自動車以下なら通行可能

 旧春野は東京から遠い。今回も甲府南ICで降りて富士川街道を南下して国道1号線に入り、国道362号線に乗り換えて県道32号線→63号線を通って川根へ出て、再び国道362号線を西に入って麦島集落で北上、真っ暗で林道入口が分からず適当に入ったら杉川沿いの道に変わっていた。しばらくは順調に走行したが林道が半分崩れ落ちて道幅が2/3程度に狭まった箇所があり、通行止めのテープが渡してあった。この前の栗代林道より幅は広く軽自動車なら通過できそうであるが、万が一崩れたら目も当てられないのでここから歩くことにした。現在位置は不明でゲートまでの距離も不明だが、まあ1時間は歩かなくて済みそうな。

土砂押し出し。泥濘の方がヤバいかも 落石個所。車はここまで。ゲートまで歩いて数分

 翌朝、東海地方の冷え込みは弱く、窓の水滴は凍っていなかった。飯を食って出発。ネットの記事だと竜馬ヶ岳の案内標識があるように書いてあったがそんなものは全くない。ゲートにあるのだろうか。崩壊地を渡った先も新しい轍が伸びており、最近でも頻繁に車が入っていることが分かる。まあ、でも安全のために歩こう。その先しばらくはきれいな道だったが、途中で右側斜面から土砂が押し出して水がたまり、斜めになって土砂を乗り越える箇所があった。4WD車なら問題ないが普通車で抜けられるか? まだその先も轍が続いたが、次の次の崩壊地は大きな岩が道を塞いで車は無理、新しい轍もここまでであった(でもゲートまで数分の位置)。

奥に見えているのがゲート ゲート手前の東側に吊橋あり
ゲート。ここまで入れるようになる日が来るのだろうか ゲートのすぐ奥でも大きな崩壊
入手山北東尾根末端の斜面崩壊 入手山北東尾根から降りてくるはずの道

 右カーブを曲がって直線区間に入ると右手に吊橋が登場、東側の三星山の稜線につながるのだろうか。そこから少しでゲートが登場、歩き出して約30分だった。このゲートのすぐ先で大きく路面が崩壊し、ここの工事は少し時間がかかりそうだ。その先で玄馬沢沿いの林道分岐が登場、左から合流する沢沿いにフィックスロープが張られた作業道?があり、林道に出る直前で崩壊斜面を横断する必要があるが、これが入手山北東尾根の出口だと思われた。入手山の案内でもあるかと思ったら標識は何もない。

玄馬沢沿いの林道起点(左上に上がる道) 最初から廃林道
玄馬沢沿いの林道終点 林道終点から道が続く

 玄馬沢沿いの林道は杉川林道支線と書かれていた。完全に廃林道で雨水で深い溝は掘れているし、路面の砂利が全部流されて岩盤が露出していたりする。ただ、崩壊は無いので安全に歩ける。尾根を回り込んで沢を越えると終点で、その先には作業道が続いていた。珍しく地形図通りだ。あとはどこで玄馬沢を渡るかであるが、次の尾根の張り出した付近が両岸の斜面の傾斜が緩そうなのでそこを攻めてみよう。しっかりした道で、これがどこまで稜線に出られるなら山登りで使えるのだが、地形図では途中までしか破線が書かれていないので不明である。

ここから沢に下る 橋がかかっていた
水量は少なく橋が無くても渡れる 薄い作業道が植林帯に続く

 小尾根を超えるところで道を外れて沢に下る。植林で籔は無いので楽に歩けるが、尾根末端は切れ落ちていそうなので左側に逃げて沢に下ると予想外にも橋が架かっていた。ただ、沢の水量は少なく橋を使う必要はなかったが、せっかくなので渡らせてもらう。途中でバキっと折れないか少し心配だったが私の体重だと問題なかった。

作業道を登る フィックスロープもある
作業道が消えて上を目指す 再び作業道に出た
尾根に出ても道は続く 林道に出た
林道から見た岩岳山と入手山

 対岸には薄いながら作業道が続き、それを辿る。ずっと植林が続いているので藪はないが、道があると歩きやすくて助かる。登りから水平移動に変わり、谷を回り込んだところで道が薄くなり消えてしまったので背の高い植林帯を上を目指して登り、すぐに尾根に出た。すると今度は明瞭な作業道が登場、これを辿る。ほぼ尾根上をまっすぐ進んでいき、頭上が明るくなると地形図に書いてある林道に飛び出す。ここで初めて視界が開けるが、竜馬ヶ岳はまだ手前の尾根が邪魔で見えず、岩岳山と入手山が見えていた。岩岳山の北側の杉?が生えたピークが岩嶽神社だろうか。

林道が尾根を巻くところは法面で登れない 谷に造林小屋あり
造林小屋手前の作業道入口 作業道を登る
尾根に復帰。えらく明瞭な道 作業道入口の目印

 林道本線に出て左に向かい、横断する尾根に取り付こうとしたが法面が続いてよじ登るのは困難で、もう少し先まで進んでみた。林道が左にカーブして沢を横断するところに造林小屋があり、その手前で右手に登る作業道を発見。薄いし土砂がかぶって滑りやすいがどうにか取り付き、10mくらい登ると道が明瞭となる。ジグザグに登るとすぐに尾根に復帰。登山道と言ってもいいような明瞭な道が付いており、赤布もぶら下がっていて登山者も利用するようだ。あとはこのまま尾根を辿って山頂を目指せばいい。

植林の尾根を登る 照葉樹が混じってきた
唐松植林帯に変わる 笹交じりだが踏跡(鹿道?)あり

 しばらくは植林帯が続き、藪はないが道が薄い箇所も登場するが、地形は明瞭なので登りは問題ない。傾斜が緩む箇所では尾根が広がるので下りは要注意かもしれない。標高が上がって1400mまで来ると唐松の植林帯に変わると同時に立ち枯れした笹が目立つようになる。昔から感じているが、どうも唐松の植林をすると笹がはびこるようだ。日当たりの影響だろうか? 笹の中には鹿道だろうか、まだ道が続く。鹿の糞が目立つようになってきた。

傾斜が緩むと雪が現れる 古びた標識が登場
全て鹿の足跡 笹の尾根を鹿道を辿る

 標高1450m付近で尾根が左に曲がり、なだらかなほぼ水平な移動に変わる。落葉した唐松なので日当たりがいいが雪が目立つようになる。といっても深さ1cm程度だ。雪の上には無数の鹿の足跡。人間の足跡は皆無。1カ所で文字がほとんど消えた古い木製の標識があったが、ここまで標識の類は皆無だったのでネットで見た登山ルートとはかなり別の場所を登ってきたようだ。

この先で展望が開ける 展望地から見た竜馬ヶ岳
展望地から見た高塚山から続く稜線
展望地から見た聖岳。意外に雪が少ない
明るい尾根を西に進む 間もなく竜馬ヶ岳

 山頂手前の小ピーク西側で展望が開け、白い山が見えていたが、見える範囲が狭いので現地では南アのどの山なのか判断がつかなかったが、家に帰ってPCでシミュレーションしたら聖岳や上河内岳であった。そこからさらに笹の小ピークを超えて疎らな落葉樹林をなだらかに登ったピークが竜馬ヶ岳であった。

竜馬ヶ岳山頂 高塚山への道。はっきりしている

 そこそこメジャーな山だと認識していたが山頂標識はなく、テープが巻かれているだけだった。樹林は薄いがすっきりと景色を見せなくする程度は生えており、写真を撮る気分にはなれなかった。今は落葉しているのでまだ見晴らしがあるが、葉が茂った時期では頭上は開けても周囲は何も見えないだろう。ここまで休憩なしで歩き続けたので休憩。風はほぼ無風で日差しがあり、暖かかった。

南へ向かう。明るい尾根 尾根が広がっている間は踏跡は薄い
尾根が狭まると道が明瞭化 このピークは1361m峰

 岩岳山へと南へ下ると南向きの尾根に変わって雪は今までより減る。この尾根上は唐松植林が無いのが原因が、笹は皆無で疎らで明るい落葉樹林が続き、この時期に歩くのは気分がいい。目印は多いが道は薄く、藪がないので尾根を外さぬよう適当に下っていく。尾根の幅が狭まると道がはっきりしてくるのはどこも同じか。

1361m峰へ最後の登り 1361m峰(岩嶽神社)
岩嶽神社の説明 鞍部へ下ると小ぶりの鳥居
小ピークには祠 樹林の隙間から見た京丸山
こんな警告が 西側に下る登山道分岐

 最初のピーク、1361m峰へ登るとてっぺん付近だけ杉だったか檜だったか針葉樹が生えて、建物が鎮座していた。これが岩嶽神社だ。道の状態はここから数ランク上がり、もう登山道のレベルであった。最初の小鞍部を超えたピークには祠があり、その次の鞍部で登山道が左ではなく右、つまり西に降りていた。なんと、ここへのメインルートは杉川側ではなく小俣京丸側だったのだ! ネットで見た記事の林道は全て杉川沿いの林道を指しているのだとばかり思っていたが、全く違っていたのだった。これで今まで標識が無かったことが納得できた。ただ、どのみち東京から向かうことを考えると稜線西側まで行くにはさらに時間がかかるし、今回のように3山を周回するなら杉川側の方が断然有利なので、正しい情報を知っていたとしても今回のルートを取っただろうけど。

フィックスロープまである登山道に 竜馬ヶ岳までの尾根
樹林の隙間から大札山 岩岳山山頂

 右に降りる登山道を見送って直進、こちらにはフィックスロープまで出てきて道のグレートがアップ。そして岩岳山山頂に到着すると先客が1名いた。山で人に会ったのはいつ以来だろう? まさか北鎌じゃなかったよなぁ、いや、富山の牛岳が最後だった。とにかく数ヶ月ぶりには違いない。少し前には他の登山者もいたようで、思ったよりはメジャーな山らしい。地形図に破線が書かれていないので藪山扱いかと思ったら、その人に聞いたらガイドブックにも出ているとのこと。なんだ、そうだったのか。ガイドブックなど何年も購入していないからなぁ。最近はネットと地形図(これもネットで閲覧だが)があればどこでも行ってしまうからなぁ。

再び西方面の分岐登場。でも通行不可? 入手山方面も通行不可? 同じ個所の標識。通行可能そうだが
岩岳山〜入手山間で一緒だった男性 入手山山頂

 しばし話してから出発。あちらも入手山に向かうのでそのお尻を見ながらとなった。歩きながらいろいろと話が続いたのは今年秋の南ア南嶺笹山と同じで、写真を撮影するのもほとんど忘れてしまい、気づいたら入手山山頂だった。おかげでこの間の地形や植生は全く記憶にない。ただ、迷うような箇所がなかったのだけは間違いない。先行者とここでもしばしおしゃべりを楽しみ、彼はここで南の主稜線を下り、私は北東尾根に入った。私にとっては本日最後の見せ場である。

北東尾根の出だしは不明瞭 すぐに尾根がはっきりする
籔無し植林の尾根が続く 目印あり

 ネットではこの尾根に道があるようなことが書かれていたが、実際には踏跡は薄く道とは言えなかったが藪は無いので支障はなかった。歩く人がいるようで上部では目印を頻繁に見かけた。ただ、その付近は尾根は明瞭、樹林の背が高くてある程度の範囲が見渡せるのでルートを外す心配はほぼ無かった。

1022m峰の登り 1022m峰てっぺん
まだ植林の尾根が続く 目印も続く
標高850m付近から照葉樹の籔に突入 目印がぐっと減る
伐採時に使ったのか? 籔の隙間をつなぐ

 地形図にもある1022m峰で唯一の登りがあり、てっぺんを超えて下りにかかる。しばらくは歩きやすい植生が続いたが、標高850m付近から尾根の南側直下だけ伐採された状態が続き、尾根直上の日当たりが良くなった影響か背の低い照葉樹の藪がうるさくなった。尾根北側は植林帯で藪はなく歩きやすいのだが、尾根の傾斜はそこそこきつく、もし北側に枝尾根分岐があったら気づかずに吸い込まれることは確実であり、安全を考えて藪につっこんでもできるだけ尾根上を下った。たま〜に赤テープがあったりするが、これまでとは比較にならないほど少ない。もしかしたら杉の植林帯に別ルートがあるのだろうか? とにかく最後まで藪を我慢して下った。まだ下りだからいいか。でも登りだったら安全だから植林中を登るか。

ここで尾根を外れて左へ 振り返れば露岩。あのまま尾根を下るのはやっぱ無理
杉の植林帯を下る 道に出た
下ってきた斜面 フィックスロープと古びた木の桟橋

 ほとんど藪をくぐって尾根末端付近まで来たが、そこは切れ落ちてまっすぐ進めなかったので左の植林帯に逃げる。しかしその傾斜も半端ではなく、ここを下ったら早々に行き詰まりそうなのでしばしトラバース。小さな谷地形を超えて小尾根にかかったタイミングで下に移動する。今度は安全な斜面が続き、すぐに作業道に出た。たぶん往路で見たフィックスロープのあった道だろう。ジグザグに下って最後は沢沿いに出て、ロープのある危なっかしい桟橋を渡ってガレを乗り越えて林道に出た。

ゲート通過 土砂崩れまで猟師の軽トラが入っていた

 林道には銃を持った猟師が。今は狩猟期間だからいても当然か。こちらは豪勢に鈴を鳴らしていたので大丈夫だった? 変なところから出てきたら熊と間違えられて撃たれそうだ。ゲートを超えて崩壊箇所の先には1台の軽トラ。やはり軽い車なら入れたのだ。その後も点々と猟師が登場、どうやら林道に獲物を追い込む作戦らしい。獲物はイノシシとのこと。この辺でも数が増えているそうだ。駐車箇所に戻ると数台の車で賑やかで、1台を除いて地元猟師だった。みんな高齢で山に上がるのはもう無理で、私の今日の行動を教えたら「勢子(獲物を追い立てる役)にちょうどいい」とのことだった。

 

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