那須 鬼面山(1616m)、飯盛山(1364m) 2014年4月12日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:31 大丸駐車場−−6:58 明礬沢へ下降開始−−7:09 明礬沢渡渉−−7:25 鞍部でスノーシューデポ−−8:13 鬼面山 8:18−−8:36 鞍部−−8:49 飯盛山−−8:55 鞍部−−9:07 明礬沢渡渉−−9:43 大丸駐車場

場所栃木県那須郡那須町
年月日2014年4月12日 日帰り
天候
山行種類残雪期
交通手段マイカー
駐車場大丸の公衆トイレ前の駐車場
登山道の有無無し
籔の有無無雪期は激笹藪らしいが、今の時期は笹が深い場所は雪の下
危険個所の有無大丸方面から明礬沢への下りが急斜面
山頂の展望鬼面山:良好
飯盛山:樹林で無し
GPSトラックログ
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コメント大丸より往復。明礬沢は水量少なく渡渉問題なし。鬼面山〜飯盛山鞍部付近の激烈笹藪は雪の下で楽々だった。南東尾根は雪がかなり落ちていたが笹は背が低くて薄く問題なし。ツツジが生えているが背が高くて籔にならない。山頂付近は背の低いツツジ籔。小さな岩が最高点で栃木の山紀行の山頂標識あり。高い木は皆無で展望良好。飯盛山は山頂直下から雪が消えるが笹は薄く楽々山頂に到着。樹林で展望なし




大丸公衆トイレ駐車場 旧有料道路沿いに上がる遊歩道を歩く
車道に出て遊歩道に入る 沢沿いの道を進む
こんな箱が点在。源泉が通っている 野生動物撮影用カメラ
明礬沢右岸の廃林道? 廃林道から見た鬼面山
ここから明礬沢へ下る。結構な急斜面 小さな堰堤が連続する
振り返る 下部は残雪
明礬沢。水量少ない 地形図のガレマーク地点
尾根を上がると鬼面山〜飯盛山間鞍部の沢
鞍部付近から見た鬼面山。激籔は全て残雪の下
南東尾根に取り付く。下部は急斜面 尾根に乗る。思ったより雪が少ない
今シーズン初めての熊の足跡 こんな雪面は気持ちよく登れるが長続きしない
尾根上の笹は薄く歩きやすい 1か所だけ大岩あり
東の肩直下。籔を避けて雪渓をトラバース 東の肩直下から見た鬼面山山頂方向
鬼面山山頂手前。ツツジ籔 鬼面山山頂
凍った地面に落ちていた山頂標識 鬼面山山頂から見た東の肩
鬼面山山頂からの展望(クリックで拡大)
鬼面山南東尾根から見た飯盛山 鬼面山〜飯盛山間鞍部
飯盛山斜面に取り付く 上部は雪が消えるが笹は薄い
飯盛山山頂 栃木の山紀行
3D標識 飯盛山から見た鬼面山
鞍部の谷を下る 明礬沢への落ち込みが急で往路を下ることに
往路で利用した尾根〜斜面を下る 明礬沢右岸を登る
ここを登る。往路の1本東の堰堤群だった 最後は急斜面
台地に出た 石垣の隙間から湯気が出ている
廃屋に出た 駐車場へ


 栃木の地形図記載の山で「かなり面倒」な山は終わったが「少し面倒な山」は残りがあった。那須の鬼面山と飯盛山である。これらは登山道は無く無雪期は根曲がり竹の強固な藪に覆われているようで、栃木の藪山達人はみなさん苦労して無雪期に登っている。私は手段を選ばず楽に山頂に立つのがモットーなので残雪を利用して登ることにする。ただし、4月中旬でかなり雪は減ってしまっているはずで、どこまで楽できるのかは現場に行ってみないと分からない。

 先人たちは全員が北温泉を起点としているが、こちらは標高が高い大丸温泉を起点とした。こちらの方が残雪が期待できるためだ。また、標高が高い分労力削減も狙う。ただし、このルートは明礬谷へ大きく下る必要があり、標高差のメリットはあまり大きくない。また、明礬谷が渡渉可能な水量なのか情報皆無。また、その両岸のコンタは込み合っていて安全に通過できるルートを見出せるかもカギになろう。

 最近は仕事が忙しく体力、気力とも低下しているが、那須は東北道からほど近いし、今回の2つの山は起点の大丸から近く標高差も大きくなく、半日あれば周回できると考えた。本来はこの貴重な残雪期は豪雪地帯のもっと厳しい山にテントでも背負って入りたいが今の状況では無理があるので我慢。日を跨いで那須ICを降り大丸の駐車場へ。上空は星空だが風が強く時々車が揺れるほど。これだと峠の茶屋経由で茶臼岳や三本槍岳方面は無理があるかもしれないが、私のルートは鬼面山が風除けになるので問題ないだろう。少し酒を飲んで仮眠。辺りは温泉地にふさわしい硫黄臭が漂っていた。

 翌朝、快晴で朝日が眩しい。この時期は冷え込んでも氷点下までは下がらない。火を使って時間がかかる食事ではなく冷たい朝飯で済ませ出発。周囲を見ると茶臼岳は雪が少ない。これから歩くコースの雪は期待できないかもしれないが、用心してスノーシュー、ピッケル、12本爪アイゼンを持っていくことにした。でも結局はスノーシューの出番は無かったが。

 まずは大丸から小さな沢に沿って北上する破線を目指す。駐車場の公衆トイレ横から階段で上に伸びる遊歩道へ。まだ雪に埋もれているが上に乗っても全く沈まず雪はよく締まっていた。すぐに車道に出るがここで右に逃げる。遊歩道が上に続いているが、これは車道に沿って上がっていく破線で目的の道ではない。周囲は半分くらいは残雪に覆われそれらしき道が分からないので雪の上を適当に歩く。雪が消えたところは根曲がり竹の強固な藪。もっと早い時期じゃないとダメだったかもと後悔。

 しかし緩やかな斜面を北に下ると刈り払われた立派な道が登場。地形図どおり谷に沿って奥に向かっている。よかった、破線は生きていたようだ。遊歩道か不明だが源泉からお湯を引く配管が設置されているようで、所々に小さな屋根のような木の蓋が被さった箱あり。近くには黄色い湯の花が捨てられているので定期的に掃除しているらしい。道はこの施設のメンテ用かもしれない。この道の全区画の半分程度は雪に埋まっているが十分にトレースできる。枯れた谷を渡った反対側には護岸の石垣から湯気が出ていた。こんなところにも地熱地帯が。ただしここは源泉ではないようだった。

 なだらかな台地状の尾根を横断し、廃林道と思われる雪に覆われた直線的な地形に合流、ここから明礬沢へと下るわけだが目の前の斜面を見下ろすと恐ろしい傾斜で崖に近い。どこか下れそうな場所がないか探してみるとやや西側の浅い谷地形が一番傾斜が緩そうだったのでそこを下ることにする。北斜面だが雪は皆無、ただし見える範囲で藪も皆無。傾斜がきついので雪解けが早いようだ。

 谷には小型の堰堤が何段も設置され、そのうち1つからは湯気が出ていた。ここはどこでも温泉が出てきそうな(水さえあれば)。堰堤の真中は段差が高いので下れないため主に左側(西側)を巻いていく。やがて堰堤が終わって傾斜が緩むと同時に残雪が現れる。ここも雪は良く締まっていて歩きやすい。

 問題の明礬沢だが沢音が大きく聞こえている。恐る恐る接近すると意外に水量は少なく細い沢で、場所を選べば簡単に渡れる程度で安心。まずは難関を1つクリア。対岸も切り立った地形が続いており場所を選ばないと取り付けそうにない。やや下流方向に小さな尾根が突き出しており、そこが唯一の安全そうな場所なので下流に移動、デブリ跡の重なった場所で渡る。

 目の前の斜面は左半分は笹薮、右半分は笹無しなのでそちらを選ぶ。尾根末端まで移動するのが面倒なので適当に取り付く。地形図の崖マークは実際は斜面が崩壊してなだらかになった土の斜面で、今は薄く藪が生えていてそこからも登れそうなくらいだった。その崩壊地と尾根の境界を上がり、上部で傾斜がきつくなる前に右に逃げて尾根に乗る。尾根上も笹は皆無で歩きやすい。

 尾根を這い上がって傾斜がなくなると鬼面山、飯盛山間の鞍部の沢に出る。沢といっても今は完全に雪の下、この一体は緩斜面で今まで無かった残雪が広範囲に残っている。過去の記録ではこの鞍部から鬼面山南東尾根までの間が相当な笹薮とのことだが、見える範囲はほとんど残雪に覆われて笹が出ているのはごく僅かな場所だけだった。これだけでも残雪期に来たメリットがある。

 当初計画では最初に飯盛山に登る予定だったが、元気なうち、雪が締まった時間帯に鬼面山を目指すことに計画を変更。この雪質ではスノーシューの出番は今後もないと判断しデポする。念のためにGPSで位置を記録。ただし周囲の地形で場所はおおよそ確認できよう。

 なだらかな斜面を南東尾根に向かって上がっていく。ここも無雪期は相当な激藪らしいが全て藪は雪の下。尾根直前はかなりの傾斜で雪壁に近い状況だが、その手前でアイゼンを装着していたので蹴りこんでピッケルで確保しつつ突破した。まあ、高さにして2mくらいなので落ちても怪我すらしないだろうけど。ここで今年初めて熊の足跡を発見。エッジの鋭さからして今朝付けられたものに間違いない。爪の跡までくっきり残っている。私と同じく登り方向だが、こっちは鈴を鳴らしているし熊の方が歩くのは早いだろうから追いつくことはないだろうと心配すらしなかった。毎年、残雪期は必ず熊の足跡を見るのでもう慣れてしまった。

 南東尾根に乗ると思いのほか雪が少なく、背の高い笹があちこちに姿を表わしている。ほとんどはジグザグに迂回して雪のつながった区間を歩いたがたまに笹の中を通過、しかしここは密度はそれほど高くなく無雪期でも歩ける程度だった。やがて左手に大きな雪田が出現、それなりの傾斜だがここは気持ちよく登っていく。しかしそれより上部はかなり雪が消えてしまい、ほとんどは笹の中を歩く。しかしここまで登ると笹の種類が変わって膝から腰の高さになり密度は低い。生えている木はやや背は低いが頭より高い位置で枝分かれしているので邪魔ではない。たまにツツジらしい低木が混じって邪魔をするが数は少ない。

 1箇所だけそそり立つ大岩を通過、ここは雪が残った西側を巻いた、というよりもこの尾根は東側はほとんどの場所で切れ落ちているので巻くなら西側しかない。

 大岩より先は再び残雪が増えて雪の上を歩き、鬼面山東の肩直下に到着。これより上部は雪が無く笹薮で、肩の下に続く急斜面の残雪を伝って西に向かう。というのも地形図を見ると山頂はここより西側にあるからだ。滑落すると100mは落ちそうなので慎重に行動、雪が落ちかけて亀裂が入った場所はその上部の寝た笹の上を歩いた。

 残雪が無くなるところで台地状の山頂の一角に登る。山頂部は高い木は無く笹とツツジ、それに僅かなハイマツに覆われていた。雪はあることはあるがそれらの藪を覆い隠すほどの深さは無く、ツツジ藪を避けつつ一番高そうな場所を目指す。どうやら小ぶりの岩が最高点らしく栃木の山紀行の山頂標識が置いてあった。3D標識は見当たらなかったが、後で記録を読んだら東の肩との中間鞍部の笹原付近に付けたとのこと。それを知っていれば探したのだが残念。岩の根元には青い木の板が埋まっていたが、これはSHCのフクダカワスミ組の標識かもしれない。この標識をよく見たのは20年も前の話で、今は知っている人は少ないかもしれない。

 山頂は高い木がないので展望は良好。目の前の朝日岳の荒々しい姿がすばらしい。茶臼岳のずんぐりした溶岩ドームもよく見えている。関東平野方面は霞がかかって遠くまで見えなかった。茶臼岳からはロープウェイのアナウンスらしい音声が聞こえていた。どうやら強風でロープウェイが運転中止する可能性があるようだ。この山頂も風が強いからな。風が強くて寒いので短時間で撤退。

 下山前に東の肩から飯盛山を見下ろし雪の付き方を観察。どうやら山頂付近まで雪がつながっているようで楽できそうだ。鬼面山南東尾根と違ってあちらの尾根はかなり緩やかなので雪が遅くまで残るのだろう。楽勝で登れそうだ。

 急な南東尾根を下るが最後は往路より南にずれた場所に出てしまい、雪のない急斜面をちょっとだけトラバースして緩斜面帯へ。もうアイゼンは用無しなので脱いでつぼ足で歩く。たかがアイゼンでも足の先に錘を付けるのと同じことで足が軽くなる。

 GPSの助けを借りるまでもなくスノーシューデポポイントを発見、今度はこれにアイゼンも加えてデポし飯盛山の登りにかかる。ここは北側から緩やかな尾根でつながっている。その尾根上は山の上から見下ろした感じよりも雪の残り方が少なく、所々で笹が出てしまっていて左から迂回したり。出ている笹は2〜3mはありそうな背の高いヤツだった。でもここはまだ藪の核心部よりは薄い場所らしい。密度はそれほどでもない。

 雪は山頂直下まで続いているかと思いきや、意外にあっさりと無くなってしまい笹に突入。しかしさっきよりもさらに容易な笹に変わっていて腰の高さにほどほどの密度なので乾いていれば全く問題なし。

 最高点の飯盛山山頂は南が切れ落ちた場所であるが樹林に覆われて展望が悪い場所だった。山頂標識は3D標識に栃木の山紀行の名コンビ。ここはいつまでこの状態が保たれるだろうか。私が体験したとおり、残雪期ならいとも簡単に登れてしまう山だから心配だ。

 時間的に早いがこれで本日の目的は達成。下山にかかる。デポしたスノーシューとアイゼンを回収し、鞍部の雪が詰まった沢を下っていく。このまま沢を下ろうかと思って傾斜が増す場所から下を見下ろしたが、どうも下部は垂直に近い傾斜のようなので諦め、往路で利用した尾根と崩壊斜面を下ることにする。こちらは雪も藪も無く安全地帯だ。

 帰りの明礬沢は雪解けで水量が増すこともなく変わらぬ状況。帰りに明礬沢を遡上し過ぎないよう今回唯一の目印を残した場所で沢を離れ雪渓を登り、左手の連続堰堤へ取り付く。下りでは分からなかったが小型堰堤の連続する小さな谷は実は隣り合って2つあり、往路は西側を下って帰りは東側を登った。最上部の堰堤に小さな墳気口があったのが帰りは見当たらなかったし、どうも帰りの方が傾斜がきつかったので気づいた。最後は谷を離れて左に逃げてかなりの急斜面をよじ登って台地上へ。

 あとは大丸の駐車場までのんびり歩き。この道がどのに出るのか確認するため最後まで辿ってみたら、最上部の廃屋を経由して旅館裏の南側を通って車道に出た。

 今回は短時間だったがなかなか有意義な山だった。大丸を起点としたが藪の状況、明礬沢への下降を考えると北温泉から往復しても変わらなかったと思う。

 

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