常念山脈(長野) 燕岳(2763.0m) 2024年11月9日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 2:59 第一駐車場−−3:09 中房温泉−−5:11 合戦小屋−−5:28 合戦ノ頭−−6:00 燕山荘−−6:20 燕岳 6:53−−7:09 燕山荘−−7:26 合戦ノ頭−−7:35 合戦小屋−−8:33 中房温泉−−8:38 第一駐車場

場所長野県安曇野市/大町市
年月日2024年11月9日 日帰り
天候快晴 ほぼ無風
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場有明荘付近の3箇所に登山者用駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望文句なしの大展望
GPSトラックログ
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コメント冬晴の好天時に燕岳に登る。まだ燕山荘が営業している影響で金曜夜でも第一駐車場は7割くらい入っていて、下山時には第一/第二駐車場は満車で主に第三駐車場が使われていた。夜から快晴で満天の星空で冷え込んだが(おそらく-5℃くらい)風が無く日差しが出てからは体感的には暖かく感じられるほど。数日前に降った雪はかなり溶けてしまい登山道の踏み固められた雪が残っている程度だったが、凍結して下りではアイゼンが必要なレベルだった。奥日光と袈裟丸連峰がすっきりと見えていた。中房温泉までの県道はそろそろ凍結の危険性があり濡れた路面の1箇所で横滑りした。路面上を流れる水が何か所もあり、今以上に冷えたら冬タイヤ必須。


燕岳山頂から見た日光白根と男体山、袈裟丸連峰(最遠は大真名子山の166km)。空気の透明度は良かったが中越地方の山は霞んでしまっていた


第一駐車場 中房温泉登山口
先人の足跡。複数いるようだ 標高1950m付近で今シーズン初の雪が登場
合戦小屋 安曇野/松本の夜景
合戦沢ノ頭 燕山荘の光が見えた。南には大天荘の光も
午前6時の10分前にライト不要な明るさに 燕山荘。思ったより雪は少ない
テント場。金曜の宿泊でも混雑している 燕岳に向かう
イルカ岩 南斜面なので燕岳は全く白くない
山頂目前で日の出 白い花崗岩が赤く染まる
燕岳山頂 燕岳から見た立山、剱岳
燕岳から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
燕岳から見た常念岳〜大天井岳、槍穂
燕岳から見た後立山。旭岳や鑓ヶ岳は南斜面でも真っ白だった
燕岳から見た東の展望
燕岳から見た中越の山々。もっと空気が澄んでいれば守門岳のすぐ左に飯豊連峰が見えるはず。守門岳の距離は約168km
燕岳から見た越後駒ヶ岳、中ノ岳 燕岳から見た奥日光の山々。大真名子山まで約166km
燕岳から見た皇海山、鋸山、庚申山、袈裟丸連峰〜赤城山
燕岳から見た秩父〜奥多摩の山々。武甲山が見えているのに気付かなかった。武甲山まで約135km
燕岳から見た奥秩父、八ヶ岳
燕岳から見た南アルプス
燕岳から見た笠ヶ岳 下山開始
テント場 山荘を見上げる。お花畑はすっかり冬枯れ
山荘から合戦沢ノ頭まで断続的に凍結箇所あり 合戦沢ノ頭(2488.2m三角点の肩)
合戦沢ノ頭より下部は凍結なし 合戦小屋
合戦小屋の索道が動いているのを初めて見た 盛大な霜柱
有明温泉登山口 第一駐車場


 今週は今年初めて寒気が入って北アルプスでも続々と初雪の便りが届いた。11月に入っての初雪はかなり遅いが今年の暑さでは仕方ないだろう。登山口までの車道の凍結も心配な時期となり行先に悩むところ。実は2週間前の針ノ木岳で発熱して以降、ずっと調子が悪い状態が続いている。金曜日も微熱が出て山は休もうかとも思ったが、もう週末のルーティーンとして定着しており、体を動かさない方がメンタル的にも悪い。本来ならば未踏の海谷山塊の駒ヶ岳や鬼ヶ面山でも登ろうかとも思ったが、危険地帯の連続する箇所で体調が万全でない状態で臨むのは危険と判断。標高差があっても登山道がしっかりして危険個所が無い北アルプスの方が安全だろう。

 雪が降ったことで行先の選択に少し悩む。私の登山靴はもう寿命で防水性能は全く期待できない。新雪が積もって軽くてもラッセル状態だと今の気温ではまだ雪が溶けて浸水の可能性が高い。しかし入山者がいて雪が踏み固められていればその心配はない。この点を考慮して燕岳をチョイスした。先日の降雪で10cmくらい積もったそうだが、登山道は南斜面が大半でありその後の好天でかなり溶けただろうし。当日の予想気温は-2,3℃で風は弱く快晴だ。冬の空気に覆われているので透明度は高いはずで、もしかしたら飯豊が見えるかもしれない。

 土曜朝の松本の予想最低気温は-1℃だったので、中房温泉までの県道が凍結していないかちょっと心配だ。今シーズン初めてチェーンを車に積んだ。私の場合は夜の早い時刻に通過するのでまだ凍結していないだろうが、下山後の帰り道が危ない。有明神社から山の中に入って高度を上げていくと気温は+4℃まで低下するがマイナスにはならなかったので往路では凍結は無かった。しかし予想外に路面上を水が流れる箇所が多く、これ以上気温が下がったら凍結箇所が何か所も出てきそうだ。見た目では分からなかったが帰り道にはこのうち1箇所が凍結していて、車が少し横滑りした。

 金曜夜の中房温泉第一駐車場は7割くらい埋まっていた。もう夏山シーズンではないがこの人気。さすがである。安眠できるよう車の主が山に入って不在の車に挟まれた区画に車を入れた。今週は気温が下がって車内の気温は+2℃まで下がっていたが、防寒装備を追加したので寒くはなかった。山頂到着は日の出の時刻として午前3時に出発。この時刻でもまだ下界から上がってくる車の明かりが目立った。頭上は満天の星空だ。体調が心配なので念のために解熱薬と鼻炎の薬を飲んでおく。

 中房温泉登山口から急登が始まる。出発時は半袖シャツの上に長袖シャツ、ウィンドブレーカ、ジャンパーの3枚重ねだったが、すぐに体が温まって半袖シャツ+腕カバーに変身。頭には毛糸の帽子、手袋は軍手+防水防寒手袋の2枚重ねだ。尾根の出出しだけは登山道が湿っていたが凍結は無し。その先の木の階段にまだ濡れた足跡が複数付いていて、この時期のこの時刻に先行者がいることが判明。まあ、メジャーなルートなのでいても不思議ではないか。こちらは先行者がいようがいまいが歩くペースは変わらない。

 気温が低くて汗を全くかかずに済むので防寒装備や軽アイゼンで多少荷物が増えても疲労感は少ない。どこで雪が出てくるかと思ったら標高1950m付近で木の根の上に薄っすらと残った雪が出現し、今シーズン初めて見た雪となった。しかし登山道にも周囲にもこれ以外に全く雪は見えなかった。

 最初の先行者に追い付いたのは第二ベンチで、そのさらに先の先行者には合戦小屋でほぼ追い付いたが、小屋の先では光が全く見えなくなった。小屋でも光は無かったのでもしかしたらトイレに立ち寄っていたのかも。小屋の先からは登山道脇に雪が見られるようになったが、登山道の歩く場所には雪は全く無かった。南斜面だからなぁ。

 高度が上がって気温が下がってきたため合戦沢ノ頭で防寒装備を追加。登山道が稜線上に移ると踏み固められた雪が登山道を覆う場面が出てきた。登りならどうにかアイゼン無しでも歩けたが、少しでも下りになると良く滑る。この先のルート全体が雪に覆われていればアイゼンを付けるのだが、半分以上は雪が消えた区間でありアイゼンが欲しい場面の方が少ないため、結局は下りでもアイゼンは使わなかった。でも素直にアイゼンを使った方が歩行スピードを落とさずに済むだろう。合戦沢ノ頭では燕山荘と大天荘の光が見えた。燕山荘の光はいつ見てもとても強いもので、テント場の光も建物に負けじとやっぱり強く輝いていた。

 山荘が近付くと登山道の雪は徐々に少なくなって歩きやすくなった。周囲が徐々に明るくなってきたがまだライトが必要な時間帯に燕山荘前に到着。夏場だったら日の出を見ようと山荘前の広場にはたくさんの人が出ているのだが、今は気温は-5℃くらいまで下がって寒いので人の姿は僅か。日の出を山頂で見ようという人は少ないようで、山荘から山頂までの登山道に光は見えなかった。金曜日の宿泊でもテント場は大賑わいだった。

 ここからは花崗岩が風化した白砂の道を行く。周囲の雪はほぼ消えているのに登山道だけは踏み固められた雪が残っている。これが滑りやすいので特に下りでは要注意。わざと雪の脇を歩くことも。ここは登山道が稜線西側に移って北寄りの風が抜けるようになるが予報通り風は弱く、防寒装備の追加は不要だった。体に霧氷が張り付いた先週の爺ヶ岳とは大違いだ。

 イルカ岩、メガネ岩と通過して山頂まであと僅かという場所で日の出を迎えた。この時期は太陽がだいぶ南に移動して両神山のすぐ左側から出てきた。

 朝日に赤く照らされた花崗岩の巨岩帯を登ると燕岳山頂に到着。ライトの光が見えなかったので無人だと思ったら先客が4人いた。今日は快晴で上空にはほぼ雲が皆無で展望は良好。

 まず目が行くのは東方向で四阿山と浅間山間の鞍部の鳥居峠からは袈裟丸連峰から赤城山にかけてが見えていた。肉眼では分からなかったが袈裟丸連峰の左側には足尾山塊の皇海山と鋸山がギリギリで頭を出していた。本白根山と四阿山の間には温泉ヶ岳、日光白根、錫ヶ岳、大真名子山、男体山が見えている。残念ながらこれより北側の奥日光の山々や尾瀬の山々は横手山から裏岩菅山の稜線にブロックされて見ることができない。

 後立山からでは越後三山が良く見えるのだが、燕岳からだと北志賀の山々と被って越後駒ヶ岳と中ノ岳の頭の部分しか見えなかった。北志賀の山々が終わってその奥が見えるようになった場所にあったのは守門岳。その右手にあるはずの浅草岳や毛猛山は北志賀の稜線からかろうじて山頂を出している程度だった。帰宅後にカシミールで確認したところ、守門岳の左隣に飯豊連峰が見えることになっていたが、今回は守門岳が霞んでかろうじて見える程度だったので、飯豊は影も形も見えなかった。

 八ヶ岳の左手には奥秩父、奥多摩、両神山と並んでいる。今回は武甲山の尖った山頂は見えないなぁと思ったら、両神山のギザギザの稜線の一つのように合体して見えていたのだった。長沢背稜線の酉谷山も見えていた。南アルプスは中央アルプスに隠れる直前の加加森山までずらりと並んでいた。

 北アルプスは真っ白になったと思ったが、かなり斑で真っ白には程遠かった。唯一、真っ白に見えるのは後立山北部の旭岳と鑓ヶ岳のみ。今回の登山候補に挙がっていた爺ヶ岳は思ったよりも白さを失っており、これならあっちに登っても良かったかなと感じさせた。

 山頂では30分ほど大展望を楽しんだ。この間に私と同じく日帰り組の男性が登ってきて大天井岳を目指すと言っていた。ただし先着していた幕営の男性の話では大天井岳方面にはトレースは無く、切通し岩よりもずっと手前で積雪のため軽アイゼンが必要な場所があるとのこと。トレースが無いので雪が固まっておらずチェーンスパイクでは対応不可だったとのこと。日帰り男性はアイゼンは持ってきていないとのことだったが行けるところまで行ってみるとのことだった。

 下山を開始したが燕山荘までの間ですれ違ったのは10人程度でかなり少なかった。さすがに山荘を通過すると登りの人が多くなるが、登山口までの合計で100名は越えなかったと思う。好天の週末だがさすがに夏山シーズンよりはかなり人が減っている。

 合戦沢ノ頭を通過すればアイゼンが欲しい場面は皆無となり快調に歩ける。合戦小屋では荷上げ用の索道が稼働しているのを初めて見たが、荷物はまだ途中を上がっているようでワイヤーだけだった。索道が登山道を横切る第二ベンチ直下を通過時は索道は停止していた。

 気温が低下したので下りでも汗をかかずに済んだが、それでも途中からは半袖姿に変身して長ズボンの裾をまくって半ズボン状態にして足を放熱し、手袋は薄い軍手のみとした。登りの人の中にも少ないながら半袖姿もあった。

 9月には人であふれていた登山口は今回は1人だけと静か。車道を下って第一駐車場に戻ると、いつもなら車が通れるように通路になっている場所の一部まで駐車されていて、その奥の車が出られない状態になっている。当然ながら奥の車は前日から山に入っている人のもので、一番手前の通路の車は今朝駐車されたものだろう。それとも関係する全ての車が同じグループのもので、一緒に下山するなんてことがあるのか? 長いこと山登りをやっているが、こんな光景は初めて見た。

 車の中で着替えたり荷物整理していると1台の車が駐車場に入ってきたが、満車なので止められるスペースは無いし、通常なら一周して抜けられるような通路の一部が塞がれているので、バックして戻るしかない状況。でも私が駐車場から出る直前だったので、バックしようとしている男性に声をかけて、私が駐車場から出たらすぐにそこに車を入れることに。

 私が駐車場を出て車を走らせると第三駐車場から歩いてくる登山者の姿が複数あったので、まだ第三駐車場は空きがあったようだ。有明荘前を通過して林道を下っていくが、夏場なら路側の駐車余地に車がびっしり置いてあるのが今は皆無だった。やはり夏場よりも登山者数は減っているのだった。

 登山口から林道にかけての外気温は+4℃前後であったが、低い雲海の層に入ってガスが漂うと気温が低下し、霧が出ている安曇野の下界では+2℃と登山口よりも気温が下がっていた。しかし気温が低かったのは安曇野の盆地内だけで、犀川沿いの国道まで出ると霧から抜けて快晴となり気温が上がってきた。

 風邪気味で体調が良くない中を登った影響で、自宅到着後は薬の効果が切れると微熱がまだ出てきて、その後は寝て過ごした。

 

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